Withコロナ時代のテレワークに関する意識調査。生産性を向上させる鍵は“文章によるコミュニケーション”
2021年2月2日
公益財団法人 日本漢字能力検定協会
【Withコロナ時代のテレワークに関する意識調査】
テレワーク経験者のうち、生産性向上を実感しているのは47%
生産性を向上させる鍵は“文章によるコミュニケーション”
公益財団法人 日本漢字能力検定協会(本部:京都市東山区/代表理事:髙坂節三/以下、当協会)では、テレワークを経験したことがある全国のオフィスワーカー534名を対象に、インターネットで意識調査を実施しました。
その結果、文章によるコミュニケーションを得意とする人は苦手とする人に比べて、テレワークによる生産性が高まったと感じていることが分かりました。また、日常業務全般での生産性向上のために文章力を高めたいと回答した人が91.4%に上るのに対し、文章力向上のために何らかの研修を行っている企業は44.0%に留まっており、社員のニーズと企業の研修内容のギャップが明らかになりました。
以下に、その詳細をお知らせします。
調査概要
■調査期間:2020年12月15日(火)~2020年12月17日(木)
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:テレワークを経験したことがあるオフィスワーカー
■回答者数:534名
調査結果の詳細
テレワークによる生産性の変化
テレワークにより「生産性が高まった」と思う人は半数を下回る結果に。
全国のテレワークを経験したことがあるオフィスワーカー534名にインターネットでアンケートを行ったところ、テレワークにより「生産性が高まった」と思う人は46.8%、思わない人は53.2%となった【図1】。この一年で急速に広がったテレワークだが、生産性が変わらない・または下がったと感じる人がやや優勢であることが分かった。
【図1】あなたは、テレワークを活用した結果、生産性が高まったと思いますか。(n=534、単一回答)
テレワークで「生産性を下げると思う要素」の1位は「コミュニケーション力がない」。
テレワークで生産性を下げると思う要素を尋ねたところ、1位が「コミュニケーション力がない」(42.3%)、2位が「デジタルツールを使いこなすことができない」(34.3%)、3位が「セルフマネジメント力がない」(33.9%)という結果になった【図2】。
【図2】テレワークで生産性を下げる要素は何だと思いますか。あてはまるものをすべてお答えください。(n=534、複数回答)
文章によるコミュニケーションが得意な人はテレワークによって生産性が高まったと回答。
テレワークではメールやチャットなど文章によるコミュニケーションの機会が増加することに着目し、「文章によるコミュニケーション力」と生産性について尋ねてみた。文章によるコミュニケーションが得意か苦手かを聞く質問では、「得意・やや得意」と答えた人が6割に上った【図3】。「得意・やや得意」と回答した群と「苦手・やや苦手」と回答した群を比較したところ、「得意・やや得意」と回答した群では55.8%の人が「生産性が高まった」と感じているのに対し、「苦手・やや苦手」と回答した群で「生産性が高まった」と感じる人は33.6%に留まることが分かった【図4】。この結果からは、文章によるコミュニケーション力が生産性の向上あるいは低下に影響している可能性がうかがえる。
【図3】あなたは、文章によるコミュニケーションが得意ですか。(n=534、単一回答)
【図4】あなたはテレワークを活用した結果、生産性が高まったと思いますか。(「あなたは文章によるコミュニケーションが得意ですか」の回答別)(n=534、単一回答)
各コミュニケーション方法に対する意識
メールを得意とする人は76.6%と高い結果に。しかしコミュニケーションの相手に不快を感じやすいのもメール。
コミュニケーションの方法別に得意か苦手かを尋ねたところ、「得意・やや得意」と回答する人が最も多い方法は「対面での会話」ではなく「メール」という結果になった【図5】。
一方で、コミュニケーションの中で不快に感じたことがある方法を部署内外の上司・先輩・同期同僚・後輩・役員・顧客などの相手別に尋ねたところ、すべての対象において「メール」が最も多くなった(「不快に感じたことはない」、「該当するメンバーがいない」を除く)【図7】。
【図5】以下のコミュニケーションの取り方について、あなたの考えに近いものをお答えください。(n=534、単一回答)
【図6】あなたは、業務中に、相手のコミュニケーションの取り方について不快に感じたことがありますか。(n=534、単一回答)
【図7】(【図6】で「はい」と回答した人のうち)あなたが不快に感じたのは誰からの、どの方法でのコミュニケーションについてですか。あてはまるものをすべてお答えください。(n=292、複数回答)
■具体的な意見
・大きな仕事を人に頼む時にチャットで簡単に済まされたこと。(40代)
・こちらの都合を考慮しないで一方的に通告してきて締め切りなどを示してくるもの。(50代)
・結論ありきの一方的な通知メール。(60代)
・<すべてチャットでのやり取りで>仕事の依頼に対し、自身の仕事状況を伝え「時間がかかる」旨連絡したところ「ならいいです」の一言で対話が終わった。感情が読めず、もやもやした。(30代)
・表情が分からない状態で、ネガティブな文面を送ってこられると背景も分からず、喧嘩を売られているように思った。(20代)
・悪意は無いのかも知れないが、言葉づかいが強くなってしまい、脅威的(原文ママ)な印象であった。(30代)
・メールの文章がわかりにくく、何を言いたいのか伝わらない。無駄に文章が長い (どちらも日本語の問題かもしれませんが)間違いを指摘した際に、お詫びのメールを受け取ったが、対面なら温度も伝わるが、メールだけだと、本心なのか建前なのかがわからず、モヤモヤする。(40代)
・メールの返信が遅く、作業効率が低下した。(30代)
文章力養成に対する意識と研修環境
95.9%がビジネスにおいて文章力が必要と回答。なお、生産性向上のために文章力を高めることが必要だと91.4%が答えている。
ビジネスにおいて文章力が必要であると95.9%が回答した【図8】。文章力が必要であると思う理由については、1位「生産性向上(情報流通のスピード向上・情報流通の質向上)」、2位「暗黙知の形式知化(マニュアル作成など)」、3位「異業種・組織間連携(合意形成)」という結果に【図9】。
日常業務全般での生産性向上のために文章力を高めたいと思うと回答した人は91.4%に上った【図10】。
【図8】あなたはビジネスにおいて文章力は必要であると思いますか。(n=534、単一回答)
【図9】文章力が必要であると思う理由について、あてはまるものをお答えください。(n=512、複数回答)
【図10】あなたは、日常業務全般での生産性向上のために文章力を高めたいと思いますか。(n=512、単一回答)
91.4%は日常業務全般での生産性向上のために文章力を高めたいと考えるが、研修を行っている企業は半数以下の44.0%に留まる。
日常業務全般での生産性向上のために文章力を高めたいと回答した人は91.4%に上った【図10】。一方で、勤務する会社では、文章力向上のための研修を行っていないと答えた人が299名(56.0%)と最も多く、研修を受けたいと考える社員に対して、企業がその要望に応えられていないことが分かった【図11】。
【図11】あなたが勤務する会社では、文章力向上のための研修を行っていますか。行っている研修について、あてはまるものをお答えください。(n=534、複数回答)
企業研修担当者のコメント
Withコロナ時代には生産性を高めるため、文章でのコミュニケーション力が必須
新型コロナウイルスによって、かつてないスピードで働き方改革が推進され、同時にテレワークを導入する企業が急速に増加しました。今回の調査からテレワークで生産性が「向上した」と回答する人が46.8%、「向上していない」と回答する人が53.2%と拮抗している状況が見えてきました。また、この両者の違いに「文章力」が関係している可能性が示されました。
以前に比べてメールやチャットなど「文章によるコミュニケーション」の機会は格段に増加していますが、メールの書き手と読み手の意識について、興味深い違いが判明しました。「メールを得意」と回答する人は76.6%となり、比較的多くの人が自信を持っていることが読み取れる一方で、「業務中に不快に感じたコミュニケーション手段」の1位もメール(不快に感じたことはないを除く)となったのです。メールの送り手は良いコミュニケーションが出来ていると感じているが、受け手は相手に不満を持っている、そんな状況がうかがえます。この隔たりが生産性を下げる要因になっている可能性がありそうです。これからのWithコロナ時代に生産性を向上させるには、この「文章でのコミュニケーション力」が重要な鍵を握るといえるでしょう。
一方、文章力の育成に目を向けると、ほとんどの人が業務のために文章力を高めたいと希望しているものの、勤務する企業に研修の機会が無い人が半数を超えることが分かりました。当協会では、法人向け文章力アセスメントツール『論理的文章力トレーニングfor Business』やオンライン研修などの論理的文章力育成コンテンツを展開していますが、研修など能力養成に関する問い合わせが前年度の約2倍となっており、企業側においても課題感が高まっていることを実感しています。
テレワークが当たり前になった今、新たな時代を生き抜くために、文章によるコミュニケーション力を高めることが以前にも増して必要になっているのではないでしょうか。
公益財団法人 日本漢字能力検定協会
普及第二部
部長 山田 乃理子(やまだ のりこ)
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 公益財団法人日本漢字能力検定協会
- 所在地 京都府
- 業種 教育サービス
- URL https://www.kanken.or.jp/
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