在大阪セルビア共和国名誉総領事館が協力する セルビア共和国内「修道院壁画修復プロジェクト」が完了
2021年12月
大日本除虫菊株式会社
大日本除虫菊株式会社(KINCHO 本社:大阪市西区)代表取締役社長、上山直英が名誉総領事を務める在大阪セルビア共和国名誉総領事館(大日本除虫菊株式会社内)が支援をおこなった「セルビア修道院壁画修復プロジェクト」が完了しました。
場所:ジュルジェヴィ・ストゥポヴィ修道院ドラグティン王礼拝堂
(ノヴィ・パザルという町の高台にあります)
この修道院は、1170-71年に中世セルビア王国ネマニチ朝の創始者ステファン・ネマニャによって建てられ、今回修復した礼拝堂は1283年頃ネマニャの曾孫にあたるドラグティン王によって建立されました。セルビア中世美術を代表する修道院建築とフレスコ画を有しています。しかし、オスマン帝国に支配されて以降、14世紀末から20世紀前半まで廃墟となっていました。
今回の「セルビア修道院壁画修復プロジェクト」に対して、在大阪セルビア共和国名誉総領事館は支援に協力し、貴重な文化遺産の維持に貢献できました。このプロジェクトをご紹介いただいた、東北学院大学理事長特別補佐の鐸木道剛様および実践女子大学の嶋田紗千様に感謝いたします。
<セルビア共和国とKINCHO>
殺虫剤の原料でもある除虫菊はユーゴスラビア(現セルビア共和国)が原産地です。
当社初代社長である上山英一郎は、除虫菊の用途を開発し、効率のよい除虫菊の栽培方法を考案して生産量を拡大したことから、昭和4年(1929)、時の国王アレキサンドル一世(【参考】近年「アレクサンダル一世」とも表記される)から大阪駐在ユーゴスラビア王国名誉領事の称号を贈られました。
第二次世界大戦後、金鳥とセルビア共和国との親交は、一度は途絶えておりましたが、平成16年(2004)上山直英社長が、在大阪セルビア・モンテネグロ(旧ユーゴスラビア、現セルビア)の名誉総領事に就くことになりました。これは、セルビアと日本が伝統的に培ってきた友好関係を、さらに発展させたいという想いがこめられたものです。
セルビア修道院壁画修復プロジェクトの概要報告
在大阪セルビア名誉総領事館
1. 修復の概要
●事業対象の名称(写真①)
ジュルジェヴィ・ストゥポヴィ修道院 ドラグティン王礼拝堂内フレスコ画
●所在場所(地図A・B)
セルビア共和国ノヴィ・パザル近郊 ジュルジェヴィ・ストゥポヴィ
●修復実施者(業者)名
保存修復工房レスコン 代表:ドラガン・スタノイェヴィッチ
●責任者
セルビア共和国文化遺産保護研究所
嶋田紗千 実践女子大学非常勤講師 (日本側の協力者)
写真① 出典:(C) Slobodan Palma Botoski
地図A:セルビア内の所在地 |
地図B:ノヴィ・パザル内の所在地 |
2. 修道院の現状
【損傷要因】
(1)風化(水分、霜、塩分、様々な微生物):壁画表面の塩分結晶化、剥離・亀裂
(2)戦争による破壊:壁画の剥落
(3)平常時における故意的な破損:個人の名前を書く、ひっかき傷
(4)長年の使用による劣化:蝋燭の煙による煤や埃、他の粒子の堆積
3. 修復の意義と目的(出典:嶋田様作成のプロジェクト概要より抜粋)
中世時代の首都ラスに位置するジュルジェヴィ・ストゥポヴィ修道院は、中世セルビア王国ネマニチ朝の創始者ステファン・ネマニャ(1113-1200)が建てた、セルビアを代表する修道院の一つである。12-13世紀の貴重な文化遺産が集中して残るこの地域は、1979年に世界遺産「スタラ・ラスとソポチャニ修道院」として認定された。しかし、フレスコ画の修復処置を長期に渡って要求してきたが、自国では費用を捻出できず、支援が必要とされた。今回の修復の目的は、描かれた場面を鮮明にしつつ、今後数十年に渡り、フレスコ画をよりよい状態で維持することである。
4. 作業期間
開始:2021年9月6日頃
終了:2021年10月31日頃
5. 修復の工程
A)壁面の漆喰の安定化:基盤の漆喰における固定、保有壁の固定
B)壁画塗装された表面の固定
C)破損部分周辺の固定
D)壁画の洗浄:フレスコ画の表面に堆積した粒子の除去
E)基層からの塩の抽出(セルロースの圧縮による漆喰からの塩分抽出)
F)すべての損傷部分(穴、亀裂など)の穴埋め
G)穴埋めした部分を周りの色調になじませる(再塗装)
H)壁画部分を鮮明にするための損傷軽減措置
6. 修復の光景
修復前(2021年9月7日撮影) | 修復後(2021年11月2日:嶋田撮影) |
※修復前後の写真は、撮影器具、照明器具の関係で照度が異なります
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 大日本除虫菊株式会社
- 所在地 大阪府
- 業種 化学
- URL http://www.kincho.co.jp/
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