2021年度東京ビジネスデザインアワード 最優秀賞・優秀賞を発表
最優秀賞は、「特殊印刷加工技術を応用したプロダクトと実験ブランド開発」の提案
2022年2月9日
公益財団法人日本デザイン振興会
東京都が主催し、公益財団法人日本デザイン振興会(会長:川上元美、所在地:東京都港区)が企画・運営を行う東京ビジネスデザインアワードは、東京都内の中小企業の持つ技術や素材等をテーマにデザイナーから新規用途開発とビジネス全体のデザイン提案を募集、両者をマッチングして製品・サービスの実現化を目指すコンペティションです。
2021年度で開催10回目の節目を迎えた本年度のアワードは、コロナ禍にもかかわらず新規事業、商品開発に強い意欲を持つ企業から応募、選出されたテーマ12件に対して150件を超えるデザイン提案が寄せられました。これらの提案から審査委員会による審査を経て、11件の企業テーマとデザイナーからの提案がマッチングし、「テーマ賞」として選出されました。
このたび2月8日(火)に提案最終審査会を開催し、テーマ賞を獲得した11組のデザイナーによるプレゼンテーションと試作品による審査を実施しました。この結果、デザイン性や実現可能性、ビジネスプランの完成度などが最も高く優れている提案として、2021年度東京ビジネスデザインアワード最優秀賞に歌代 悟(クリエイティブディレクター/デザイナー)の「特殊印刷加工技術を応用したプロダクトと実験ブランド開発」、優秀賞には井下恭介(デザイナー) 、増谷誠志郎(デザイナー)【SANAGI design studio】の「光を使ったウェルネスプロダクトの提案」、小林 諒(デザイナー/株式会社Onesal)、上田和実(プランナー/株式会社ナディア)、武市美穂(デザイナー/株式会社ナディア)の「資源循環を実現するサスティナブル・アパレルブランド戦略」がそれぞれ選出されました。
各テーマ賞のデザイン提案については、企業とデザイナーの間で提案の事業化に向けた検討が早速始まっています。東京ビジネスデザインアワード発の、企業とデザイナー協業による今後の展開にご注目ください。
■東京ビジネスデザインアワード 最終提案審査結果
●最優秀賞(1件)[企業、デザイナーにそれぞれ賞金50万円]
提案名: 特殊印刷加工技術を応用したプロダクトと実験ブランド開発
提案者: 歌代 悟(クリエイティブディレクター/デザイナー)
企業テーマ: 広色域の印刷表現と立体的質感を表現する「印刷技術」
内容: 特殊印刷加工技術の研究・発信ブランド「印刷加工実験室」
企業: 株式会社新晃社(北区)
●優秀賞(2件) [企業、デザイナーにそれぞれ賞金10万円]
提案名: 光を使ったウェルネスプロダクトの提案
提案者: 井下恭介(デザイナー) 、増谷誠志郎(デザイナー)【SANAGI design studio】
企業テーマ: 電子回路とプラスチックの「設計・試作・加工技術」
内容: やわらかに時を刻む「ひかりどけい」
企業: 泰興物産株式会社(立川市)
提案名: 資源循環を実現するサスティナブル・アパレルブランド戦略
提案者: 小林 諒(デザイナー/株式会社Onesal)、上田和実(プランナー/株式会社ナディア)、武市美穂(デザイナー/株式会社ナディア)
企業テーマ: さとうきびの搾りかすから生まれた「サスティナブル素材」
内容: 地球と肌に優しい、サブスクリプション型のアンダーウェアブランド
企業: 株式会社Rinnovation(文京区)
各企業テーマの詳細は、公式サイトをご覧ください。 https://www.tokyo-design.ne.jp/award.html
●東京ビジネスデザインアワード審査委員長 山田 遊 提案最終審査講評
東京ビジネスデザインアワードは今回で10周年を迎えました。過去数年審査委員として参加する中で、各提案のレベルは年々高くなってきていると感じていますが、とりわけ今年度の審査は実力伯仲、例年と比較してもクオリティーが拮抗(きっこう)していたとの印象を受けました。最優秀賞、優秀賞を受賞されたテーマ賞の提案はもちろん、その他テーマ賞を受賞された提案も素晴らしい内容であったことは改めて強くお伝えしておきたいと思います。
特に今年は企業、デザイナーともに「ビジネスデザイン」に対して高い解像度を持つようになってきているという印象を持ちました。その一方で、ビジネスデザインの部分がきれいに設計されているからこそ、相対的に付随するプロダクトデザインの落としどころが多少見えづらく感じたのも事実です。この二つを同時に高いクオリティーでまとめるということは一筋縄ではいかないものだなと、今年度の審査を経て改めて実感しました。
東京ビジネスデザインアワードは、審査員が審査会終了後も並走し、プロジェクトの行く末を見守るといういわば「家族感」のある大変ユニークなアワードです。このアワードを機会にマッチングしたデザイナーと企業が足並みをそろえ、共に希望を持って前にすすみ、より多くの成功例が生まれていくことを期待しています。
●東京ビジネスデザインアワード審査委員総評
今回最優秀賞、優秀賞を受賞された提案は、それぞれ「その先」が明確に見えたことが象徴的でした。最優秀賞の「特殊印刷加工技術を応用したプロダクトと実験ブランド開発」は、プロダクト提案を超えて組織そのもののカルチャーをデザインし、モチベーションの向上にまで影響を与えた拡張性に、優秀賞の「光を使ったウェルネスプロダクトの提案」は、実験をくり返し今のクオリティのその先を追求していく姿勢に、「資源循環を実現するサスティナブル・アパレルブランド戦略」は、自社の成長だけではなく地域経済に貢献する循環型のビジネスモデルの可能性に実現化への期待を集めた点が評価につながりました。
●2021年度東京ビジネスデザインアワード審査委員会
山田 遊 バイヤー 株式会社メソッド 代表取締役
石川俊祐 デザインイノベーション KESIKI INC. 共同創設者
宇南山加子 デザイナー/ディレクター 株式会社SyuRo 代表取締役
日髙一樹 特定訴訟代理人・弁理士/デザインストラテジスト 日高国際特許事務所 所長
小池美紀 PR &コミュニケーションディレクター 株式会社ハウ 代表取締役
坊垣佳奈 株式会社マクアケ 共同創業者/取締役
2021年度東京ビジネスデザインアワードは、提案最終審査会をもって全てのプロセスを終了しました。今後はテーマ賞を受賞した各提案のビジネスの実現化サポートに向けて、審査委員と事務局が各種セミナーや個別コンサルティングなどによるサポートを提供します。
●最優秀賞
特殊印刷加工技術を応用したプロダクトと実験ブランド開発
クリエイティブディレクター/デザイナー 歌代 悟氏受賞コメント
試作の段階で20〜30種類のパターンを組み立てることになりましたが、この中の半分以上は取り組みの初期から一緒になってもの作りに取り組んできた現場のスタッフが自主的に作成し、提案してくれたものでした。現場主導の力が新晃社のもの作りの強さであり、良いもの作りの原点と感じた出来事でした。まずは「印刷加工実験室」プロジェクトの第一歩として、試作に取り組んできた折り紙「SAWARIGAMI」の実現に向けて進めていきたいと思います。
株式会社新晃社 取締役社長 森下晃一氏受賞コメント
今回東京ビジネスデザインアワードに参加してデザイナーとの出会いの機会をいただき、今まで自社だけでは考えつかなかった発想や新しい可能性を見つけることができました。また、デザイナーが自社の技術に真摯 (しんし)に向き合い取り組んでくれたことで現場の職員も発奮し、今まで以上に真摯にもの作りに取り組む創造的で良い時間が過ごせたと感じています。これからの展開がとても楽しみです。
歌代 悟(うたしろ さとる)氏
●優秀賞
光を使ったウェルネスプロダクトの提案
デザイナー 井下恭介氏、増谷誠志郎氏【SANAGI design studio】受賞コメント
とにかく手を動かしながら、同時進行でエンジニアリングとデザインをそれぞれの領域で突き詰めていく。そんな協業期間のもの作りでした。今回のテーマ以外にも、泰興物産はビジネス実現化につながる可能性のある高い技術を複数保有しています。デザインの力でより多くの挑戦に共に取り組んでいこうと、さらなる協業も見据えています。
泰興物産株式会社 丸田哲郎氏受賞コメント
マッチングから最終審査会まで、直前まで試行錯誤しながらの挑戦でしたがそれは同時にとても楽しい時間でした。この成果をここで終わらせず、更にブラッシュアップを加え、より良い形で世の中の人に見ていただきたいなと思っています。
井下恭介(いした きょうすけ)氏
●優秀賞
資源循環を実現するサスティナブル・アパレルブランド戦略
デザイナー 小林 諒氏、プランナー 上田和実氏、デザイナー 武市美穂氏受賞コメント
これまでの「人間中心」のもの作りから「地球中心」のもの作りを設計していく必要があると考えており、このサービスにはものを選ぶ新しい判断基準を提起し、これまでの価値観を変えていける力があると信じています。さとうきびは、沖縄以外にもインドネシアやタイでも非常に生産量が多いため、こういった地域に向けてスケールしていくチャンスも感じています。
株式会社Rinnovation 代表取締役 山本直人氏受賞コメント
実際にさとうきびの生産地である沖縄の畑や工場を訪問して見学するなど、デザイナーチームは製品単体のみならず生産背景の部分まで、深い理解をもって提案に取り組んでくれました。この結果、的確な改良案や分析の実行につながり、今回の優秀賞受賞という結果に至ったと実感しています。このサービスを通じて、循環型の経済の構築に寄与していきたいと考えています。
小林 諒(こばやし りょう)氏
2021年度 東京ビジネスデザインアワード テーマ・デザイナー 一覧
企業テーマ1:木材を木ダボでつなげてつくるエコな「木質素材」
株式会社長谷萬(江東区)
デザイン提案:DLTの製法を応用したプロダクトとそのブランド展開
荒木宏介(デザイナー)【STUDIO KOSUKE ARAKI】
<優秀賞>
企業テーマ2:電子回路とプラスチックの「設計・試作・ 加工技術」
泰興物産株式会社(立川市)
デザイン提案:光を使ったウェルネスプロダクトの提案
井下恭介(デザイナー)、増谷誠志郎(デザイナー)【SANAGI design studio】
企業テーマ3:大小多彩に加工できる高度な「メタル加工技術」
株式会社葵製作所(八王子市)
デザイン提案:板金加工のサンプル帳として機能するプロダクトブランドの提案
稲葉太郎(プロダクトデザイナー)【やまのデザイン】
企業テーマ4:マグネシウム合金の高精度な「切削加工技術」
セキダイ工業株式会社(大田区)
デザイン提案:切削加工で作る金属の卓上小物のプロダクト
大木陽平(デザイナー)【side inc.】
企業テーマ5:糊貼り不要、再使用も可能な「紙器設計技術」
株式会社協進印刷(世田谷区)
デザイン提案:紙器設計技術を活用したブランディング提案
増谷誠志郎(デザイナー)、井下恭介(デザイナー)【SANAGI design studio】
< 最優秀賞>
企業テーマ6:広色域の印刷表現と立体的質感を表現する「印刷技術」
株式会社新晃社(北区)
デザイン提案:特殊印刷加工技術を応用したプロダクトと実験ブランド開発
歌代 悟(クリエイティブディレクター/デザイナー)
<優秀賞>
企業テーマ7:さとうきびの搾りかすから生まれた「サスティナブル素材」
株式会社Rinnovation(文京区)
デザイン提案: 資源循環を実現するサスティナブル・アパレルブランド戦略
小林 諒(デザイナー/株式会社Onesal)、上田和実(プランナー/株式会社ナディア)、武市美穂(デザイナー/株式会社ナディア)
企業テーマ8: アパレル向け生地を活用したオリジナル「製本加工技術」
株式会社新里製本所(文京区)
デザイン提案:「愛着と記憶」をテーマにしたプロダクト
星川雅未(デザイナー)、上田和実(プランナー)、森 修(マーケティングコンサルタント)、秋山カズオ(コミュニケーションディレクター)【太陽と笑顔】
企業テーマ9: 航空・宇宙業界でも採用される高度な「工業ゴム精密加工技術」
株式会社東金パッキング(東村山市)
デザイン提案:吸音スポンジ加工技術で実現する、快眠サポート寝具の提案
岩渕修学(ビジネスデザイナー/グーグル合同会社)、 德岡淳司(コピーライター)、山本しおり(キュレーター)、榎木勇人(プランナー/日本オラクル株式会社)
企業テーマ10: 業界の未来を担う「裂地袋物縫製技術」
有限会社プレジール(世田谷区)
デザイン提案: 形を変えて想いを繋ぐ、裂地のアップサイクルシステム
井下恭介(デザイナー)、増谷誠志郎(デザイナー)【SANAGI design studio】
企業テーマ12:ユーザーの声をリアルタイムに変換する「AI声質変換技術」
クリムゾンテクノロジー株式会社(世田谷区)
デザイン提案: 「AI声質変換技術」を活用した幼児向け玩具提案
今井裕平、木村美智子、田中直人、片山諒、有木陽美、山下蓮佳(デザイナー)【株式会社kenma】
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- 名称 公益財団法人日本デザイン振興会
- 所在地 東京都
- 業種 芸術・エンタテイメント
- URL https://www.jidp.or.jp/
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