2022年度東京ビジネスデザインアワード 最優秀賞・優秀賞を発表

最優秀賞は「プリント基板の新しい使い方を提案するサウンドプロダクト」に決定

2023年2月10日

公益財団法人日本デザイン振興会

2022年度東京ビジネスデザインアワード 最優秀賞・優秀賞を発表

最優秀賞は「プリント基板の新しい使い方を提案するサウンドプロダクト」に決定

 

東京都内の中小企業活性化策として東京都が主催し、公益財団法人日本デザイン振興会(会長:内藤廣、所在地:東京都港区)が企画・運営を行う東京ビジネスデザインアワードは、本日2022年度の最優秀賞1件、優秀賞2件を発表しました。

 

東京ビジネスデザインアワード(以下TBDA)は、東京都内の中小企業の持つ技術や素材等をテーマにデザイナーから新規用途開発とビジネス全体のデザイン提案を募集、両者をマッチングして製品・サービスの実現化を目指すコンペティションです。本年度は10件のテーマに対し寄せられた提案から、審査委員会による一次審査、テーマ選定企業を交えた二次審査を経て9件がテーマ賞として選出されました(別頁参照)。

このたび2月9日(木)に提案最終審査会を開催し、テーマ賞を獲得した9組のデザイナーによるプレゼンテーションと試作品による審査を実施しました。この結果、デザイン性や実現可能性、ビジネスプランの完成度などが最も高く優れている提案として、2022年度東京ビジネスデザインアワード最優秀賞に「プリント基板の新しい使い方を提案するサウンドプロダクト」、優秀賞に「スクリーン印刷による新たな魅力の開発」「貼箱製造の技術と設備を活用した箱だからできる玩具の提案」が選出されました。

 

アワードの主催者である東京都・産業労働局商工部長 緑川武博氏は祝辞の中で「コロナ禍に加え原油・原材料等の高騰、人手不足など厳しい経済状況が続く中、チャンスを見いだし新たな挑戦をする企業とデザイナーの姿勢、チームワークに感銘を受けた。次年度以降、東京都は現在よりさらに規模を拡大させて中小企業支援の施策を継続していくので、各種制度を大いに活用してほしい」と述べ、企業のさらなる取り組みに期待を寄せました。各テーマ賞のデザイン提案については、企業とデザイナーの間で事業化に向けた検討が早速始まっています。TBDA発の、企業とデザイナーの協業による今後の展開にご注目ください。

 

 


2022年度東京ビジネスデザインアワードは、提案最終審査会をもって全てのプロセスを終了しました。今後はテーマ賞を受賞した各提案のビジネスの実現化に向けて、審査委員と事務局が各種セミナーや個別コンサルティングなどによるサポートを提供します。

 

【最優秀賞】提案名:プリント基板の新しい使い方を提案するサウンドプロダクト

提案者:田村匡將(代表・建築家・デザイナー)、元木龍也(エンジニア)、高橋窓太郎(ビジネスアーキテクチャー)、本杉一磨(建築家・デザイナー)【デデデ】(東京・文京)

企業テーマ:半田付け不要の基板ジョイント導通技術

企業名:有限会社ケイ・ピー・ディ(葛飾区)

 

提案内容:半田付け不要の基板ジョイント導通技術から、歯車の凹凸がかみ合うと音が鳴る仕組みを発想した。物理的なかみ合いによって電気的に導通されるという知的好奇心をくすぐるギミックと、身の回りの音を組み合わせて拡張させる楽しさ、またそこで生まれる偶発的な音楽との出会いを一つのプロダクトに落とし込んだ。

 

審査委員評価:課題の難易度とプロダクトの完成度、発想を短期間でプロダクトに起こした技術力と新規性。

今までにない新しい遊びの在り方や、カルチャーをも生み出す可能性にあふれた提案で、今あるモノの見方をデザインの視点で転換した好例。

 

田村匡將氏(デデデ代表・建築家/デザイナー)受賞コメント

 

メンバーそれぞれが持つ能力をうまくかみ合わせ、ケイ・ピー・ディさんとスピード感を持って打ち合わせを何度も重ねてきました。技術面でたくさん注文をつけてしまったこともありましたが、このように形作ることができ良い結果につながったことを、大変うれしく思っています。これまでのDJ経験を生かして、今後このプロダクトでアーティストを目指すかもしれません。

 

有限会社ケイ・ピー・ディ 加藤木一明氏 受賞コメント

 

社内だけではこういったアイデアを出すことは難しく、きっとこのようなプロダクトは生まれなかったと思います。デザイナーチームの皆さんと共に打ち合わせを重ね、少しずつアイデアが形になっていく今、改めてものづくりの楽しさをかみ締めています。これからがスタートであるということを忘れず前向きに、基板の発展のため、業界への貢献のために努力していきたいと思います。

 



 

【優秀賞】提案名:スクリーン印刷による新たな魅力の開発

 

提案者:大木陽平(デザイナー)【株式会社サイド】(東京・世田谷)

企業テーマ:大型シルクスクリーン印刷による膜厚を出した平滑な大判フィルムの作成技術

企業名:司産業株式会社(板橋区)

 

提案内容:スクリーン印刷の可能性を引き出すための、研究と実験、開発と発信を目的としたプロジェクト。

 

審査委員評価:印刷を「刷るもの/刷られるもの」、という区分で捉えたテーマの作り方はデザイナーならではの発想で秀逸。協業がインナーブランディングの役割を果たし、社内の活性化という副次的価値を生み出している点も含め、今後の展開に期待が寄せられる。

 

大木陽平氏(デザイナー)受賞コメント

 

マッチングからの短い時間の中、司産業の皆さんが社を挙げて頑張ってくださいました。休日返上で開発・実験に付き合ってくださったこともありました。皆さんに良い結果でお返ししたい、と思っていたのでありがたくうれしい気持ちでいっぱいです。

 

司産業株式会社 浅野衣理奈氏 受賞コメント

 

このアワードへの挑戦から、社員の姿勢が変わったと実感しています。大木さんが与えてくれた気付きのさざ波は事務社員やパート職員にまで波及し、実験や研究を行うラボには所属を超えて人が集まるようになりました。投げかけられた難しい課題に対しても、職人が生き生きと、腕を磨く機会と捉えて取り組んでいます。これを機に、さらに素晴らしい製品づくりを目指してまいります。

 


 

 

【優秀賞】提案名:貼箱製造の技術と設備を活用した箱だからできる玩具の提案

 

提案者:泉伸明(アートディレクター/デザイナー) 【株式会社キュー】(東京・渋谷)

企業テーマ:貼箱製造で培った技術及び加工設備

企業名:株式会社泰清紙器製作所(練馬区)

 

提案内容:企業の持つ多種多様の加工技術と用途に合わせた素材選び、設計・開発力を駆使し、箱にコンテンツを掛け合わせることで貼箱の新たなる価値を創造。貼箱だからできる、環境に配慮した紙製玩具の提案。

 

審査委員評価:絵本×ゲームはありそうでなかなかない。「絵本」の提案でありながら製本しておらず、既存の技術をうまく工夫しできることで実行している点も高評価。価格面でも実現性が感じられる。仕掛けとしては積み木やビー玉、販路もマーケティング次第では多方面に展開の可能性があるのでは。

 

泉伸明氏(アートディレクター/デザイナー)受賞コメント

 

今回の提案を形作るにあたり、企業側のチームからは専門家の視点で積極的に提案をいただくことができました。この多大なサポートがあってこその結果だと感じています。受賞したこれからが本番なので、引き続き実現化に向けて協力していきたいと思います。

 

株式会社泰清紙器製作所 下山卓紀氏 受賞コメント

 

短期間ながら試作と検討を繰り返し、完成度の高いプロトタイプが製作ができたのは、泉さんの尽力のたまものと感謝しています。今回の結果は、泉さんなしではなし得なかったものです。今後、価格設定やマーケティングなど商品化に向けてしっかりと取り組んでまいります。

 



 

2022年度東京ビジネスデザインアワード審査委員長 山田遊 提案最終審査講評

 

本年で11回目を迎える東京ビジネスデザインアワード(TBDA)には数年審査委員として、そしてここ2年は審査委員長として関わらせていただいています。年を追うごとにデザイン提案のレベルは上がっていると感じていましたが、今年は試作品を含む各提案のクオリティーが過去一番に高かったのではないでしょうか。審査委員間での議論も白熱し、結果発表までの時間をオーバーしてしまうほどでした。繰り返しになりますがそれほどに個々の提案は素晴らしく、それぞれの結果は紙一重であったことは強く伝えておきたいと思います。

 

昨年ある海外のデザイン賞でグランプリを受賞した際に、主催者から「デザイン賞は、デザイナーのためのものではない。クライアントである企業や団体と共に、デザインを活用してよかったと感じる機会を創出することがその役目」と言われました。帰国後にふとその言葉を思い出した時、「これは企業とデザイナーが協業するTBDAそのものではないか」と改めて気付いた時の驚き。本日はその気付きの意味を改めてかみ締めながらの最終審査となりました。

 

デザインはものづくり、産業化とともに生まれ二人三脚で歩んできたはずなのに、いつの間にか全く違う物事として異なる領域で扱われています。しかし本来、「ものづくりをする企業とデザイナー」は不即不離の関係の中で共にあるもの。本日の最終審査の過程にて、TBDAは「デザインと産業が歩んできた歴史を体現している」アワードだと再認識した次第です。このアワードをきっかけに並走し、新たなものづくり、サービスづくりを社会の中で体現していただけることを心から願い、応援しています。

 

●2022年度東京ビジネスデザインアワード審査委員会

山田 遊  バイヤー|株式会社メソッド 代表取締役

石川 俊祐  デザインイノベーション|KESIKI INC. 共同創設者

宇南山 加子  デザイナー、ディレクター|株式会社SyuRo 代表取締役

小池 美紀  PR &コミュニケーションディレクター|株式会社ハウ 代表取締役

日髙 一樹  特定訴訟代理人・弁理士 /デザインストラテジスト|日高国際特許事務所所長

坊垣 佳奈  株式会社マクアケ 共同創業者 / 取締役

 


本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

プレスリリース添付画像

集合写真

アワード進捗

【最優秀賞】田村匡將氏

【最優秀賞】田村匡將氏&有限会社ケイ ・ピー ・ディ 加藤木一明氏

【優秀賞】大木陽平氏

【優秀賞】大木陽平氏&司産業株式会社 浅野衣理奈氏

【優秀賞】泉伸明氏

【優秀賞】泉伸明氏&株式会社泰清紙器製作所 下山卓紀氏

2022年度東京ビジネスデザインアワード テーマ・デザイナー一覧

1_シームレスな圧着技術で機能とデザインを楽しむプロダクト

2_プリント基板の新しい使い方を提案するサウンドプロダクト

3_海洋生分解性複合素材を活かした経年変化を楽しむプロダクト

4_絶対にゆるまないナットのゆるぎない価値を伝えるPR戦略

5_スクリーン印刷による新たな魅力の開発

6_パーマロイプロダクトを通したブランド戦略の提案

7_医療器械職人によるソリューションサービスの構築とブランド展開

8_貼箱製造の技術と設備を活用した箱だからできる玩具の提案

9_エビデンスプラットフォームを活用した付加価値アピール

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このプレスリリースを配信した企業・団体

  • 名称 公益財団法人日本デザイン振興会
  • 所在地 東京都
  • 業種 芸術・エンタテイメント
  • URL https://www.jidp.or.jp/
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