ウパダシチニブの第III相寛解導入療法試験では、クローン病患者の臨床的および内視鏡的転帰の改善確認

アッヴィ

2022年3月15日

アッヴィ合同会社

ウパダシチニブの2番目の第III相寛解導入療法試験において、クローン病患者さんの臨床的および内視鏡的転帰の改善を確認

ー 中等症から重症のクローン病患者さんを対象とした2番目の第III相導入療法試験であるU-EXCEL試験において、プラセボ群と比較して、ウパダシチニブ(45 mg、1日1回投与による寛解導入療法)群で有意に高い割合の患者さんが、主要評価項目である12週時の臨床的寛解a,bおよび内視鏡的改善cのいずれも達成1

ー 今回の試験において、ウパダシチニブ群はほとんどの主な副次評価項目を達成し、この試験結果は最初の第III相寛解導入療法試験であるU-EXCEED試験と同様の結果1

ー 12週時にステロイド不使用での臨床的寛解dを達成した患者さんの割合も、プラセボ群と比較してウパダシチニブ群で有意に高い結果1

ー 安全性に関する結果は、これまでに確認されているウパダシチニブの安全性プロファイルと一致し、新たな安全性リスクは認められず1-6

ー ウパダシチニブはアッヴィが発見し、開発した選択的かつ可逆的なJAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤であり、中等症から重症のクローン病およびその他複数の免疫関連炎症性疾患に対する経口剤として開発中1,6-14

 

イリノイ州ノースシカゴ、2022年2月24日(米国時間)―アッヴィ(NYSE:ABBV)は、第III相寛解導入療法試験であるU-EXCEL試験において良好なトップライン結果を発表し、ウパダシチニブ(45 mg、1日1回)が主要評価項目である12週時の臨床的寛解a,bおよび内視鏡的改善cのいずれも達成したことを報告しました1。U-EXCEL試験は、既存治療や生物学的製剤で効果不十分または不耐容であった中等症から重症のクローン病の成人患者さんを対象にウパダシチニブの安全性と有効性を評価する、2つの第III相寛解導入療法試験のうちの2番目の試験です1

 

アッヴィのvice chairman兼presidentのMichael Severino M.D.は次のように述べています。「今回の試験結果は、U-EXCEED試験のデータを裏付けるとともに、ウパダシチニブが中等症から重症のクローン病患者さんの臨床的および内視鏡的転帰に影響を及ぼす可能性があることを示唆するものです。多くの消化器専門医との数十年にわたる協力関係は、炎症性腸疾患の患者さんのために多くの治療選択肢を発見し開発するという、アッヴィのコミットメントを示しています」

 

U-EXCEL試験では、U-EXCEED試験と同一の主要評価項目および主な副次評価項目を採用し、臨床的寛解をクローン病活動性指数(CDAI)および患者さんの報告による排便回数/腹痛症状(SF/AP)を指標として評価しました1。ウパダシチニブ45 mg 1日1回投与による12週間の寛解導入療法を行ったウパダシチニブ群では、プラセボ群と比較して有意に高い割合の患者さんが12週時にCDAIに基づく臨床的寛解を達成しました(それぞれ49%、29%、p<0.0001)1。SF/APに基づく臨床的寛解についても同様の結果が得られました(ウパダシチニブ群51%、プラセボ群22%、p<0.0001)1。ウパダシチニブ45 mg群ではプラセボ群と比較して有意に高い割合の患者さんが12週時に内視鏡的改善を達成しました(それぞれ46%、13%、p<0.0001)1

 

U-EXCEED寛解導入療法試験の結果と同様に、ベースライン時にコルチコステロイドを服用していた患者さんのうち、12週時にステロイド不使用でのCDAIおよびSF/APに基づく臨床的寛解dを達成した患者さんの割合においても、ウパダシチニブ45 mg群がプラセボ群と比較して有意に高値を示しました1。また、2週時にCR-100に基づく早期症状改善(CDAIがベースラインから100ポイント以上減少)した患者さんの割合、および4週時に臨床的寛解を達成した患者さんの割合も、ウパダシチニブ45 mg群が有意に高値を示しました1

 

メイヨークリニック(ミネソタ州ロチェスター)の消化器病学および肝臓病学部門の教授(professor of medicine in the division of gastroenterology and hepatology at Mayo Clinic in Rochester, Minnesota)でU-EXCEL試験の治験責任医師であるEdward V. Loftus Jr. M.D.は次のように述べています。「今回の試験において、免疫抑制剤や生物学的製剤で十分な効果が得られなかった中等症から重症のクローン病患者さんにおいて有意な改善が認められたことは大変喜ばしいことです。この結果から、ウパダシチニブは、既存治療や生物学的治療を受けたものの、諸症状や腸管の炎症を含む疾患のコントロールが困難な患者さんの助けになる可能性があることが示唆されました」

 

12週時の有効性の結果1

 

プラセボ群 (n=176) ウパダシチニブ45 mg群 (n=350)

臨床的寛解(CDAIに基づく)a

29% 49%*

臨床的寛解(SF/APに基づく)b

22% 51%*

内視鏡的改善c

13% 46%*

* 12週時の臨床的寛解(米国FDA管轄地域ではCDAI、EU EMA管轄地域ではSF/APに基づく)および内視鏡的改善の双方を主要評価項目(co-primary endpoints)としました。両主要評価項目において、プラセボに対する統計学的有意差が認められました(p<0.0001)。

a 臨床的寛解(CDAIに基づく)は、CDAIが150未満の場合と定義しました。

b SF(排便回数)/AP(腹痛)に基づく臨床的寛解(PRO-2とも呼ばれます)は、非常に軟らかい便または水様便の1日の平均回数が2.8回以下であり、かつ1日の平均腹痛スコアが1.0以下であり、かついずれもベースラインからの悪化が認められない場合と定義しました。

c 内視鏡的改善は、中央判定による簡易版クローン病内視鏡スコア(SES-CD)がベースラインから50%超低下(ベースラインSES-CDが4であった患者さんについてはベースラインから2ポイント以上低下)した場合と定義しました。

 

12週間の二重盲検、プラセボ対照期間におけるウパダシチニブ45 mgの安全性プロファイルは、様々な適応症を対象としたこれまでの試験で確認された安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性リスクは認められませんでした1。ウパダシチニブ45 mg群で最も多く認められた有害事象は、ざ瘡と貧血でした1。重篤な有害事象はウパダシチニブ45 mg群では6.9%、プラセボ群では6.8%の患者さんに認められました1。重篤な感染症の発現率はウパダシチニブ45 mg群では1.1%、プラセボ群では1.7%でした1。ウパダシチニブ45 mg群の2.9%の患者さんで帯状疱疹が報告されましたが、いずれも非重篤でした1。プラセボ対照期間中に消化管穿孔と判定された症例も死亡例も認められませんでした1。主要心血管イベント(MACE)と判定された例がプラセボ群で1例報告されました1

 

ウパダシチニブ45 mgの投与を受けている患者さんで12週時に臨床的寛解が達成されなかった患者さんを、さらに12週間ウパダシチニブ30 mgを継続投与するコホートに組み入れました1。このコホートでは、COVID-19による死亡例が1例確認されています1。プラセボの投与を受けている患者さんで12週時に臨床的寛解が達成されなかった患者さんを、12週間ウパダシチニブ45 mgを投与するコホートに組み入れました1。これらの患者さんにおいて、消化管穿孔と判定された例が1例報告されました1

 

U-EXCEL試験では、治験薬投与下でMACE、悪性腫瘍または静脈血栓塞栓性イベントと判定された例は、ウパダシチニブの投与を受けた患者さんにおいて報告されませんでした1

 

U-EXCEL試験の詳細な結果は、学会や査読誌にて公表する予定です。最初の寛解導入療法試験であるU-EXCEED試験の第III相パートで得られた主要な結果は202112に発表されており、両試験から継続する維持療法試験が現在進行中です。クローン病に対するウパダシチニブの使用は承認されておらず、その安全性および有効性は規制当局によって評価されていません。

 

d ステロイド不使用での臨床的寛解とは、ベースライン時にコルチコステロイドを服用していた患者さんにおいて、臨床的寛解(CDAIが150未満またはSF/APで1日の平均SFが2.8回以下でベースラインからの悪化がなく、かつ1日の平均APスコアが1以下でベースラインからの悪化がない)が得られるとともにコルチコステロイドの使用を中止している場合と定義しました。

 

クローン病について

 

クローン病は、胃腸管(消化器)に炎症が起きることにより、持続的な下痢や腹痛をきたす慢性全身性疾患です15-17。進行性の疾患であり、多くの患者さんにおいて時間経過とともに悪化します 16,17。クローン病の徴候・症状は予測できないため、患者さんにとって身体面だけでなく精神面、経済面でも大きな負担となることがあります18

 

U-EXCEL試験について1,14

 

U-EXCEL試験は、中等症から重症のクローン病を有する成人患者さんを対象に、ウパダシチニブ45 mgによる寛解導入療法の有効性と安全性を評価することを目的とした2つの第III相、多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照寛解導入療法試験のうち2番目の試験です。U-EXCEL試験には、1剤以上の既存治療や生物学的製剤で効果不十分または不耐容であった患者さんが対象となりました。

 

U-EXCEL試験で設定された主要評価項目および副次評価項目は、米国食品医薬品局(FDA)とEU欧州医薬品庁(EMA)の管轄地域でわずかに異なっております。主要評価項目は、12週時の臨床的寛解(米国FDAの管轄地域ではCDAIを用い、EU EMAの管轄地域ではSF/APを用いて1日の排便回数と腹痛スコアにより評価しました)および内視鏡的改善(SES-CDに基づく)の達成としました。詳細は、www.clinicaltrials.gov (NCT03345849)をご覧ください。

 

クローン病を対象としたウパダシチニブの第III相試験プログラムについて14,19,20

 

ウパダシチニブの国際共同第III相試験プログラムは、寛解導入療法試験2試験および維持療法試験1試験から構成され、中等症から重症のクローン病患者さん計1,000名以上を対象に、ウパダシチニブの有効性、安全性および忍容性を評価しています。これらの試験の詳細は、www.clinicaltrials.gov (NCT03345836、NCT03345849、NCT03345823)をご覧ください。

 

ウパダシチニブについて

アッヴィの科学者が発見し、開発したウパダシチニブは、選択的かつ可逆的なヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤で、複数の免疫関連炎症性疾患を対象に研究が進められています6-14,21。酵素および細胞を用いた分析系において、ウパダシチニブはJAK-2、JAK-3およびTYK-2と比較してJAK-1に対し強い阻害活性を示すことが確認されています21。特定のJAK酵素の阻害が治療効果にどのような意義を持つのかについては現時点ではわかっていません。

 

関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)、体軸性脊椎関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、巨細胞性動脈炎および高安動脈炎を対象とするウパダシチニブの第III相試験が進行中です7-14。ウパダシチニブのクローン病に対する規制当局の承認はされておらず、その安全性および有効性は評価されていません。

 

世界各国で処方情報は異なります。完全な情報は、各国の製品表示をご参照ください。

 

消化器領域におけるアッヴィについて

潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患(IBD)の領域を大きく発展させるため、アッヴィは強固な臨床試験プログラムを実施し、最先端の研究に取り組んでいます。革新と学習、そして適応を通して、IBDによる患者さんの負担をなくし、患者さんの生活を長期にわたって改善していくことを目指しています。消化管領域におけるアッヴィについて、詳細はこちらをご覧ください。

 

アッヴィについて

アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製と提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。患者さん一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、神経疾患、アイケア、ウイルス、ウイメンズヘルス、消化器疾患、さらにアラガンエステティクスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.com をご覧ください。Twitterアカウント@abbvieFacebookInstagramYouTubeLinkedInでも情報を公開しています。

 

 

1. AbbVie. Data on File: ABVRRTI73568.

2. Cohen S., et al. Safety profile of upadacitinib in rheumatoid arthritis: integrated analysis from the SELECT phase III clinical programme. Ann Rheum Dis. 2020 Oct 28;80(3):304-11.

3. Mease, P.J., et al. Upadacitinib in Patients with Psoriatic Arthritis and Inadequate Response to Biologics: 56-Week Data from the Randomized Controlled Phase 3 SELECT-PsA 2 Study. Rheumatol Ther. 2021 Apr 28. doi: 10.1007/s40744-021-00305-z. Online ahead of print.

4. Guttman-Yassky E., et al. Once-daily upadacitinib versus placebo in adolescents and adults with moderate-to-severe atopic dermatitis (Measure Up 1 and Measure Up 2): results from two replicate, double-blind, randomized controlled phase 3 studies. Lancet. doi:10.1016/s0140-6736(21)00588-2.

5. Van der Heijde, D., et al. Efficacy and safety of upadacitinib in patients with active ankylosing spondylitis (SELECT-AXIS 1): a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2/3 trial. Lancet. 2019 Dec 7;394(10214):2108-2117. doi: 10.1016/S0140-6736(19)32534-6. Epub 2019 Nov 12.

6. RINVOQ [Summary of Product Characteristics]. AbbVie Deutschland GmbH & Co. KG; September 2021. Available at: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/rinvoq-epar-product- information_en.pdf.

7. Pipeline – Our Science | AbbVie. AbbVie. 2022. Available at: https://www.abbvie.com/our-science/pipeline.html. Accessed on January 11, 2022.

8. A Study to Evaluate Efficacy and Safety of Upadacitinib in Adult Participants With Axial Spondyloarthritis (SELECT AXIS 2). ClinicalTrials.gov. 2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04169373. Accessed on January 11, 2022.

9. A Study to Evaluate the Safety and Efficacy of ABT-494 for Induction and Maintenance Therapy in Subjects With Moderately to Severely Active Ulcerative Colitis. ClinicalTrials.gov. 2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02819635. Accessed on January 11, 2022.

10. A Study to Compare Safety and Efficacy of Upadacitinib to Dupilumab in Adult Participants With Moderate to Severe Atopic Dermatitis (Heads Up). ClinicalTrials.gov. 2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03738397. Accessed on January 11, 2022.

11. A Study of the Efficacy and Safety of Upadacitinib (ABT-494) in Participants With Moderately to Severely Active Ulcerative Colitis (U-ACCOMPLISH). ClinicalTrials.gov. 2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03653026. Accessed on January 11, 2022.

12. A Study to Evaluate the Safety and Efficacy of Upadacitinib in Participants With Giant Cell Arteritis (SELECT-GCA). ClinicalTrials.gov. 2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03725202.Accessed on January 11, 2022.

13. A Study to Evaluate the Efficacy and Safety of Upadacitinib in Subjects With Takayasu Arteritis (TAK) (SELECT-TAK). ClinicalTrials.gov. 2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04161898. Accessed on January 11, 2022.

14. A Study of the Efficacy and Safety of Upadacitinib (ABT-494) in Participants With Moderately to Severely Active Crohn's Disease Who Have Inadequately Responded to or Are Intolerant to Conventional and/or Biologic Therapies. ClinicalTrials.gov. 2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03345849. Accessed on January 11, 2022.

15. Kaplan, G. The global burden of IBD: from 2015 to 2025. Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2015Dec;12(12):720-7. doi: 10.1038/nrgastro.2015.150.

16. The Facts about Inflammatory Bowel Diseases. Crohn's & Colitis Foundation of America. 2014.Available at: https://www.crohnscolitisfoundation.org/sites/default/files/2019-02/Updated%20IBD%20Factbook.pdf. Accessed on January 11, 2022.

17. Crohn's disease. Symptoms and Causes. Mayo Clinic. 2022. Available at: https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/crohns-disease/symptoms-causes/syc-20353304. Accessed on January 11, 2022.

18. The Economic Costs of Crohn's Disease and Ulcerative Colitis. Access Economics Pty Limited. 2007. Available at: https://www.crohnsandcolitis.com.au/site/wp-content/uploads/Deloitte-Access-Economics-Report.pdf. Accessed on January 11, 2022.

19. A Study of the Efficacy and Safety of Upadacitinib (ABT-494) in Participants With Moderately to Severely Active Crohn's Disease Who Have Inadequately Responded to or Are Intolerant to Biologic Therapy. ClinicalTrials.gov. 2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03345836. Accessed on January 11, 2022.

20. A Maintenance and Long-Term Extension Study of the Efficacy and Safety of Upadacitinib (ABT-494) in Participants With Crohn's Disease Who Completed the Studies M14-431 or M14-433. ClinicalTrials.gov.2022. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03345823. Accessed on January 11, 2022.

21. RINVOQ® (upadacitinib) [Package Insert]. North Chicago, Ill.: AbbVie Inc.

 

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