初期専門能力開発(IPD)による若手技術者の能力開発の仕組みを 全社的に導入します

 株式会社建設技術研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:中村哲己)は、若手技術者の成長スピードを上げることと、国際的に通用する資質を有する技術者を育てていくことを目的として、初期専門能力開発(IPD:Initial Professional Development)による若手技術者の能力開発の仕組みを全社的に導入することとしましたのでお知らせします。

1.当社における技術者教育の現状

 当社における技術者教育のスキームは、「人材ポリシー」や「CTIヒューマンリソースマネジメント基本方針」に基づき、OJT(On-the Job Training)を基本としつつ、OFFJT(Off-the-Job Training)としての体系化された各種研修により構成されています。しかしながら、OJT、OFFJTともに、以下の2点が課題となっていました。

 ① 技術者として有するべき資質の国際標準を意識したものではないこと

 ② 資質獲得の到達点を確認するプロセスがないこと

 また、当社では初期専門能力開発(IPD:Initial Professional Development)※1を意識した「国土文化カフェ~未来を担うエンジニア入門講座~」(参考資料1)を過去4年間試行してきています。受講者およびその上司に対するアンケートの結果、若手技術者にとって専門的学識以外の幅広な知識の習得に対するニーズは高いことが確認されています。


※1 初期専門能力開発(IPD:Initial Professional Development)とは、エンジニアリング系高等教育機関を終了した者が、独立して責任のある業務を行う技術士になるまでの資質・能力向上の活動と定義されています。2016 年12 月の科学技術学術審議会技術士分科会報告書において修習技術者が技術士を目指す活動として位置づけられ、第二次試験口頭試験においてその取り組み姿勢を確認することとされています。

2.当社が導入する初期専門能力開発(IPD)のシステム

 若手技術者の成長スピードを上げることや国際的に通用する資質を有する技術者を育てることを目的に、エンジニア教育の国際標準であるGA(Graduate Attributes)の強化とPC(Professional Competencies)(GAとPCについては参考資料2参照)の習得を能力開発の目標と位置付け、その習熟度を評価する仕組みを当社の「IPDシステム」として構築します。「IPDシステム」とは、高等教育機関を卒業した若手技術者が、技術的実務に就いてから 技術士資格を獲得するまでの期間において、GAを強化しPCを習得するために行う活動(図1)を会社で支援する仕組み(図2)を指します。

図1  技術者のキャリア形成スキーム


図2  IPDシステム

3.国際標準に準拠した能力開発項目

 若手技術者が習得すべき資質能力(コンピテンシー)について、IEA(国際エンジニアリング連合)が定めたPC(参考資料2)を踏まえつつ、建設コンサルタントの業務特性を考慮し、5種類・27項目にわたる、独自の能力開発項目を設定しました。

 1)専門的学識(4項目)

  インフラ整備に関わる技術者に求められる普遍的な知識・能力

 2)コミュニケーションと協働(6項目)

  あらゆるエンジニアリング活動のプロセスで、複数のメディアやツールを用いて、幅広いステークホル 

  ダーと明確で包摂的にコミュニケーションを行い、協働するための能力

 3)業務遂行能力(8項目)

  専門的学識やコミュニケーション能力を駆使して、建設コンサルタント業務を遂行する上で求められる 

  業務遂行能力

 4)業務管理能力(5項目)

  建設コンサルタント業務をプロジェクトとして位置づけ、プロジェクトを管理する能力

 5)技術者倫理(4項目)

  建設コンサルタント業務を遂行する上で、関係法令等の制度が求めている事項を順守するとともに、社

  会の持続性の確保に努め、自らの判断と決定に責任を負うことを理解するための能力

 

4.IPDシステムの運用

 1)能力開発重点項目の設定

  若手技術者の1~3年後の能力開発の到達目標を、若手技術者自身とメンター(IPD支援者)が確認した 

  上で、重点的に習得すべき能力開発項目を選定します。

 2)修習計画の策定

  能力開発に必要な機会として、OJTとOFF-JTによる修習計画を策定します。OFF-JTについては、社内 

  研修や外部のセミナーなどの情報を、研修事務局から提供します。

 3)修習活動のモニタリングと習熟度の確認

  メンターは、修習活動のモニタリングと習熟度の評価を実施します。

  OJTのモニタリングは、ステップレビューや自己チェックの確認時、資料作成時などを活用して頻繁に

  実施し、結果を記録します。

  OJTおよびOFF-JTによる修習活動については、四半期に1回程度1on1ミーティングなどを通じてモニタ 

  リングし、結果を記録します。

 

5.スケジュール

 2022年7月~2023年3月   IPDシステムの試行

 2023年4月~               IPDシステムの本格運用(人事考課の能力開発に反映)

 

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