冬の火災は『ゼロ距離』と『ほったらかし』に注意!

~過去5年で347件事故発生 電気暖房器具は使う前に点検も!~

製品評価技術基盤機構(NITE)

     

 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE(ナイト))は、本格的な冬を迎えるにあたり、使用頻度が増える電気暖房器具として、「こたつ」※1と「電気ストーブ」※2による火災の危険性を注意喚起します。

 

こたつのヒーターユニットにふとんが接触して発火

 

 

 NITE(ナイト)に通知された製品事故情報※3では、2017年度から2021年度※4の5年間に「こたつ」、「電気ストーブ」の事故は347件発生しており、そのうち26件は死亡事故です。

 

 電気暖房器具は、火を使わないため安全に見えますが、可燃物がヒーター部に接触したことによる火災「ゼロ距離火災」や、電源を切らずにその場を離れたり、電源コードの異常を放置したりしたことによる火災「ほったらかし火災」が発生しています。

 

 寒さが一層増すこの時期、使用上の注意をよく確認し、電気暖房器具とその周囲を点検することで事故を未然に防ぎましょう。

 

 

■補足説明

(※1)本資料では、電気こたつを指します。

(※2)本資料では石英管ヒーター、カーボンヒーター、シーズヒーター、ハロゲンヒーター、パネルヒーター、電気ファンヒーター、オイルヒーターなどをまとめて「電気ストーブ」と記述します。

(※3)消費生活用製品安全法に基づき報告された重大製品事故に加え、事故情報収集制度により収集された非重大製品事故やヒヤリハット情報(被害なし)を含みます。

(※4)2017年4月1日~2022年3月31日の事故を対象とします。

 

 

 

■こたつ、電気ストーブの気を付けるポイント

○可燃物と接触しないように距離をとる。衣類などを乾かさない。

○就寝時や外出時に電源プラグをコンセントから抜いておく。

○電源コードの破損がないか点検する。電源コードは踏まない、引っ張らない、折り曲げない。

○定期的に清掃を行い、ほこりを取り除く。

○リコール対象になっていないか確認する。

 

▼NITE公式YouTube動画  こたつ「1.布団を押し込んで発火」 ▼ 

 

 

▼NITE公式YouTube動画  こたつ「2.洗濯物を乾かそうとして発火」 ▼ 

 

対象製品例および製品分類

 

 

 

 

 

 

 

1.事故発生状況

 NITEに通知された製品事故情報のうち、2017年度から2021年度に発生したこたつ、電気ストーブの事故347件について、発生状況を示します。

 

1-1.年度ごとの事故発生件数

 図1に「年度ごとの事故発生件数」を示します。事故件数全体では、横ばい又は微減の傾向となっていますが、発火による事故件数では、2019年度以降に増加もみられます。

 

 

図1:年度ごとの事故発生件数

 

 

 

1-2.被害状況別の事故発生件数

 表1に「被害状況別の事故発生件数」を示します。死亡事故が毎年のように発生しています。

 

 

 表1:被害状況別の事故発生件数

  死亡 重傷 軽傷 拡大被害※5 製品破損 総計

こたつ

           
2017年度 1     4   5
2018年度     1 4   5
2019年度 1 2   8 1 12
2020年度 1     1   2
2021年度 1     3 1 5
4 2 1 20 2 29
電気ストーブ            
2017年度 8 1 4 38 19 70
2018年度 6 1 2 30 27 66
2019年度 2 3   23 25 53
2020年度 3 1   32 34 70
2021年度 3 1 7 31 17 59
22 7 13 154 122 318
総計 26 9 14 174 124 347

(※5) 製品本体のみの被害(製品破損)にとどまらず、周囲の製品や建物などにも被害を及ぼすこと

 

 

 

1-3.月別の事故発生件数

 図2に「月別の事故発生件数」を示します。11月頃から事故が多く発生し、12月から1月にかけて最も多くの事故が発生しています。

 

 

 

図2:月別の事故発生件数

 

 

1-4. 事故原因別の事故発生件数

 2017年度から2021年度に発生した、こたつ、電気ストーブの事故347件のうち、調査の終了した事故306件の事故原因別の事故発生件数を図3に示します。

 

 こたつでは6件(23%)、電気ストーブでは143件(51%)が製品の不具合などによる事故であり、そのうちこたつでは3件、電気ストーブでは63件がリコール対象製品によるもので、電子部品の不良や組立時の作業不備により、使用中の製品が発火する事故などが発生しています。

 

 

 

図3:事故原因別の事故発生件数(こたつ・電気ストーブ)

 

 

 

1-5. 誤使用・不注意事故における事象別の事故発生件数

 表2-1、2-2にこたつ、電気ストーブの誤使用・不注意による事故69件における「事象別の被害件数」を示します。

 

 可燃物の接触による事故が多く発生し、電気ストーブでは4件の死亡事故が発生しています。火を使用していないため、可燃物を近づけることに関して火災の危機意識が薄れることが要因と考えられます。電源コード及び電源プラグが発火する事故も多く、一般に電気暖房器具は消費電力が大きいため電源コードの負荷も大きいことや、電気ストーブでは軽くて向きや位置を移動させやすいため電源コードに引っ張りなどの負荷がかかりやすいことが要因と考えられます。

 

 

表2-1:事象別の被害件数(こたつ)

  死亡 重傷 軽傷 被害拡大 製品破損 総計
可燃物が放射熱※6で加熱又は接触して発火       3   3
電源コード(コードプロテクター部、内部配線コードを 含む)が繰り返しの引っ張り、折り曲げなどで断線・ショートし発火         2 2
電源プラグ周辺(刃受け間やプラグ内部)が接触不良などで異常発熱、発火       1   1
総計       4 2 6

(※6) 放射熱とは、電磁波のかたちで製品から放出される熱。 

 

 

 

表2-2:事象別の被害件数(電気ストーブ)

  死亡 重傷 軽傷 拡大被害 製品破損 総計
可燃物が放射熱で過熱又は接触して発火 3 1 2 21   27
電源コード(コードプロテクター部、内部配線コードを含む)が繰り返しの引っ張り、折り曲げなど 断線・ショートし発火       14 7 21
電源プラグ周辺(刃受け間やプラグ内部)が接触不良などで異常発熱、発火       3 2 5
修理不良による電源コード(内部配線コードを含む)の発火       3 1 4
転倒させて発火 1 1   1   3
 清掃不足によるトラッキング現象で発火     1     1
製品の取付不良による異常発熱       1   1
経年劣化と異物の挟み込みによる異常発熱         1 1
総計 4 2 3 43 11 63

 

 

2.事故事例

2-1.可燃物の接触による事故

(1)こたつの事故

事故発生年月 2019年1月 (大阪府、60歳代・男性、拡大被害)

【事故の内容】

こたつ布団が焦げた。

【事故の原因】

こたつの中にこたつ布団を押し込んだため、布団がヒーターユニットに接触し、焦げたものと考えられる。

なお、本体及び取扱説明書には、「布団をこたつの中に押し込んで使用しない」旨、記載されている。

SAFE-Lite検索キーワード】

こたつ、布団

 

(2)電気ストーブ(電気ファンヒーター)の事故

事故発生年月 2020年1月 (東京都、40歳代・女性、拡大被害) 

【事故の内容】

電気ストーブを使用中、電気ストーブ及び周辺を焼損する火災が発生した。

【事故の原因】

使用者は外出時に電気ストーブを通電状態にしており、電気ストーブの前に積み上げて置いていた衣類等の可燃物が接触した、又は放射熱により出火したものと考えられる。

なお、取扱説明書には、「乾燥等の他の目的で使用しない。燃えやすいものの近くで使用しない。外出するときは電源プラグをコンセントから抜く。火災の原因になる。」旨、記載されている。

SAFE-Lite検索キーワード】

電気ファンヒーター、衣類

 

 

■こたつ、電気ストーブの気を付けるポイント

○可燃物との近接、接触に注意する。衣類などを乾かさない。

 こたつの中に押し込まれたこたつ布団等がヒーターユニットに接触していたり、電気ストーブの周辺に置かれた衣類が放射熱により過熱されたりしたことによる火災が発生しています。こたつでは、座椅子や座布団などがヒーターユニットに近接していないかにも注意してください。また、電気ストーブでは、近くのカーテンが接触して発火した事故や、上方で乾かしていた衣類が落下して接触して発火した事故もあります。

 

 周辺の可燃物との近接、接触に注意し、衣類の乾燥には使用しないでください。

 

 

 

○就寝する前に消す。

 電気ストーブをつけたまま就寝すると、寝具などの可燃物が高温部に触れ、発火するおそれがあり、危険です。さらに就寝中は発見が遅れやすく、大きな火災につながるおそれがあります。また、こたつでは低温やけどのおそれもあります。就寝時の使用は絶対にしないでください。

 

 

電気ストーブ_寝具の接触

 

 

○その場を離れる時や外出時などには消す。

 使用中にその場を離れている間に、可燃物が接触して火災が発生した事故があります。また、ペットが可燃物を電気ストーブの前に運んで火災になった事例もあります。発見が遅れ、製品のみならず周辺を焼損するおそれがあるため、別の部屋に移動するときや外出時など、製品から離れる際は電源を切り、電源プラグを抜いてください。

 

 

2-2.電源コードの損傷による事故

(1)こたつの事故

事故発生年月 2019年12月  (福井県、80歳以上・女性、製品破損)

【事故の内容】

火災警報器が鳴動したため確認すると、こたつの電源コード部を焼損する火災が発生していた。

【事故の原因】

使用者がこたつの保管時に電源コードをヒーターユニットに巻き付けていたため、電源コードに繰り返し屈曲等の外力が加わり、内部の芯線が断線、スパークが発生して火災に至ったものと考えられる。

なお、取扱説明書には、「コードをねじったり、無理に引っ張ったりしない。」旨、記載されている。

SAFE-Lite検索キーワード】

こたつ、断線

 

(2)電気ストーブの事故

事故発生年月 2021年1月 (兵庫県、年齢・性別不明、製品破損)

【事故の内容】

電気ストーブを使用中、電源コードから火花が出た。

【事故の原因】

電源プラグ側のコードプロテクター部に引っ張りや屈曲などの負荷が加わったことから、芯線が断線し、短絡・スパークが発生したものと考えられる。

SAFE-Lite検索キーワード】

電気ストーブ、断線

コードプロテクター部でスパーク

 

 

 

■こたつ、電気ストーブの気を付けるポイント

○電源コードを引っ張らない、折り曲げない、踏まない。

 電源プラグと電源コードの付け根(コードプロテクター)や電源コードが断線し、スパークが発生し火災に至っています。

 

 こたつや電気ストーブを使用する際は、机(こたつ)や椅子の脚で電源コードを踏みつけていないか確認し、移動させたり片付けたりする際は、電源コードを無理に引っ張らないようにしてください。電源プラグを抜き差しする際は電源プラグを手で持って抜いてください。

 

 また、保管時には電源コードをこたつのヒーターユニットや電気ストーブの本体などにきつく巻き付けないでください。電源コードの付け根や電源コードに負荷が加わり、断線するおそれがあります。

 

電源コードをきつく巻き付けない

 

 

○電源コードの点検を行う。

 シーズンの使用開始時や使用前に電源コードの破損はないか、また使用中に電源コードが触れないほどに熱くなっていないか点検を行ってください。破損や異常を確認した場合は、使用を中止してください。また、改造や自分で修理をしないでください。

 

 

2-3.手入れ不足による事故

電気ストーブの事故

事故発生年月 2018年3月 (福岡県、40歳代・男性、軽傷)

【事故の内容】

使用中の電気ストーブ付近から出火して、周辺を焼損し、1人がやけどを負った。

【事故の原因】

電源プラグを延長コードのマルチタップに長期間接続したまま放置していたため、接続部にほこり等が蓄積し、トラッキング現象※7が生じて焼損したものと考えられる。

SAFE-Lite検索キーワード】

電気ストーブ、トラッキング現象

(※7)付着したほこりや水分によりトラック(電気の通り道)が生成され、異常発熱する現象。

 

 

■こたつ、電気ストーブの気を付けるポイント

○定期的に清掃を行う。

 電源プラグのほこりに注意してください。電源プラグ付近に堆積したほこりでトラッキング現象が発生するおそれがあります。また、電気ストーブの中にほこりなどが堆積してヒーターに接触することで発煙する事故や、ほこりで吸気部が閉塞することで異常発熱が生じる事故が発生しています。毎年の使用開始前に清掃を行い、シーズン中も定期的に清掃をしてください。

 

トラッキング現象による火災

 

 

2-4.リコール製品の事故

(1)こたつの事故

事故発生年月 2020年2月 (大阪府、60歳代・女性、拡大被害)

【事故の内容】

こたつを使用中、こたつ及び周辺を焼損する火災が発生した。

【事故の原因】

ヒーターユニットを台に固定するための樹脂部品が不具合品であったため、樹脂部品が熱で破断し、ヒーターユニットが落下して付近の可燃物に接触し焼損に至ったものと考えられる。

SAFE-Lite検索キーワード】

こたつ、リコール

 

(2)電気ストーブの事故

事故発生年月 2020年12月 (長野県、年齢・性別不明、製品破損)

【事故の内容】

電気ストーブ使用中、電気ストーブを焼損する火災が発生した。

【事故の原因】

電気ストーブのスイッチ部に使用されていた電子部品が不良品であったため、当該電子部品が異常発熱して火災に至ったと考えられる。

SAFE-Lite検索キーワード】

電気ストーブ、リコール

 

 

■ リコール製品の事故を防ぐ 

○最新のリコール情報を入手する

 事業者、消費者庁、経済産業省及びNITEなどはホームページでリコール情報を掲載しています。お持ちの製品がリコール製品かどうかを確認することが可能です。

 製品が発売されてから数年後にリコールを実施したという事例や、型式などに限定せず、長期間使用していることを注意喚起している製品などもあります。

 また、使用しなくなり保管されていた製品がリコール製品だった事例もあるため、併せて注意が必要です。

 

【NITE AR-Shot(ナイト アルショット)のご紹介】

NITEが公開しているiPhoneR向けアプリ『NITE AR-Shot』を使用することによって、製品のリコール情報をスマートフォンのカメラ機能を使って調べることができます。

・アプリ公式サイト

https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/ar-shot.html

 

【消費者庁のリコール情報検索サイトのご紹介】

消費者庁のリコール情報サイトにおいて、最新のリコール情報や、キーワードによるリコール情報の検索を行うことができます。

さらに、「リコール情報メールサービス」に登録することでリコール情報が提供されます。

https://www.recall.caa.go.jp/

 

 

■事故品・事例を確認

【一般消費者用検索ツール「SAFE-Lite」のご紹介】

     NITEはホームページで製品事故に特化したウェブ検索ツール「SAFE-Lite(セーフ・ライト)」のサービスを行っております。製品の利用者が慣れ親しんだ名称で製品名を入力すると、その名称(製品)に関連する事故の情報が表示されます。

https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/safe-lite.html

 

 

 

■独立行政法人 製品評価技術基盤機構 製品安全センターの概要

 NITE 製品安全センターには、消費生活用製品安全法などの法律に基づき、一般消費者が購入する消費生活用製品(家庭用電気製品やガス・石油機器、身の回り品など)を対象に毎年1千件以上の事故情報が寄せられます。

 製品安全センターでは、こうして収集した事故情報を公平かつ中立な立場で調査・分析して原因究明やリスク評価を行っています。原因究明調査の結果を公表することで、製品事故の再発・未然防止に役立てています。

 

 

 

 

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

プレスリリース添付画像

図1:年度ごとの事故発生件数

図2:月別の事故発生件数

コードプロテクター部でスパーク

電源コードをきつく巻き付けない

AR-Shot

消費者庁リコール情報サイト

SAFE-Lite

図3:事故原因別の事故発生件数(こたつ・電気ストーブ)

こたつのヒーターユニットにふとんが接触して発火

可燃物との近接、接触に注意する。衣類などを乾かさない

対象製品例および製品分類

電気ストーブ ふとんの接触

トラッキング現象による火災

図2:月別の事故発生件数

プレスリリース添付動画

  • ジャンル
    家電
  • キーワード
    製品評価技術基盤機構、NITE、暖房器具、電気暖房器具、こたつ、ストーブ、電気ストーブ、火災

このプレスリリースを配信した企業・団体

  • 名称 独立行政法人製品評価技術基盤機構
  • 所在地 東京都
  • 業種 政府・官公庁
  • URL https://www.nite.go.jp/
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