デジタル人材育成のためのゲーミフィケーション教材を開発し、無償ダウンロードを開始。

「データサイエンスゲーム スマートシティ版」を開発

金沢工業大学

 デジタル人材育成のためのゲーミフィケーション教材として

「データサイエンスゲーム スマートシティ版」を開発し、無償ダウンロードを開始。

   ~デジタル田園都市国家構想の実装を後押しし、 地域・企業のDXとサステナビリティ向上の両立を実現する データサイエンス力を有した人材の育成を目指します~

 

金沢工業大学では、第1回「ジャパンSDGsアワード」SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞受賞後、SDGs達成に向けた様々な組織との連携を加速させています。

                                                              

この度、経営情報学科とSDGs推進センター(所長:平本督太郎)は、データサイエンス力を有し地域・企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進するデジタル人材育成のためのゲーミフィケーション教材として「データサイエンスゲーム スマートシティ版」を開発し、無償ダウンロードを開始しました。開発は、経営情報学科・SDGs推進センターの教職員、経営情報学科平本研究室・学生団体「SDGs Global Youth Innovators」の学生が行いました。

 

現在、デジタル庁では、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局、内閣府地方創生推進室との連携のもと、デジタル田園都市国家構想を進めています。デジタル田園都市国家構想とは、「心ゆたかな暮らし」(Well-Being)と「持続可能な環境・社会・経済」(Sustainability)を実現していく構想です(デジタル庁ウェブサイトより)。

 

金沢工業大学では、デジタル田園都市国家構想の実装を後押しする、地域・企業のDXとサステナビリティ向上の両立を実現するデータサイエンス力を有した人材の育成を目指しています。

 

SDGsを始めとするサステナビリティに関する動向と、DXを始めとするデジタル・エコノミーに関する動向は、世界的に益々接点を増やしてきており、シリコンバレーを中心に2つの領域にまたがるビジネスへの投資が集まっている状況です。こうした中で、デジタル庁が中心となって進められているデジタル田園都市国家構想では、日本の地方をアップデートして、皆が持続的に豊かでいられる社会を構築することを目指し、サステナビリティとデジタル・エコノミーの両方を内包する取り組みとして全国各地で展開されはじめています。

 

しかしながら、日本にはデジタル人材が不足しており、その人材不足が推進のボトルネックとなってしまっています。特に不足しているのは、プログラミングのスキルを有している人材ではなく、企業のCTO(Chief Technology Officer:最高技術責任者)と同じ役割を担う「スマートシティアーキテクト」です。デジタル化によって生み出される新たな体験やシーンを描き出し、それを実現するために必要なパートナーシップを構築し、多くの市民を巻き込んでいく、そうした俯瞰した視点を持った人材が求められています。簡単に言えば、技術や人や組織をつなぎ合わせることで、都市や生活・ビジネスをアップデートできる人材が求められているのです。

 

そこで、金沢工業大学では、日本の教育機関において取り組まれているプログラミング教育で活用できる、より実践的で、社会ニーズの高いデジタル人材を育成するためのツールとして2022年3月から「データサイエンスゲーム スマートシティ版」の企画・開発を始めました。2022年7月に開催されたオープンキャンパスで完成したゲームを用いた高校生向けワークショップを提供し、その後、小中高生のみならず、多くの企業にも体験いただき、好評を得ることができました。

 

本学がこうした取り組みを進めていくことと並行して、国内でも2022年8月から経済産業省において「ゲーミフィケーションをコアナレッジにしたDXに資する人材育成に係る調査及び検討会」が開始されるなど、日本各地におけるゲーミフィケーションを用いたデジタル人材育成のニーズが広がりつつあります。こうした社会的背景をもとに、この度、金沢工業大学では「データサイエンスゲーム スマートシティ版」のSDGs推進センターウェブサイトでの無料ダウンロードを開始することにいたしました。  

 

データサイエンスゲーム スマートシティ版

 

「データサイエンスゲーム スマートシティ版」ダウンロードページ

https://www.kanazawa-it.ac.jp/sdgs/education/application/

 

本ゲームは、「脱炭素社会」「循環型社会」「ウェルビーイング社会」「自然との共存共創社会」といった4つの理想の社会を達成することを目標としたゲームです。プレイヤーはリソースカードとして、予算とデータを入手していき、それを用いて都市の中の様々な生活・ビジネスシーンを最新技術の活用によりアップデートしていきます。生活・ビジネスシーンがアップデートされることにより、4種類の理想の社会が徐々に実現していきます。どの生活・ビジネスシーンがアップデートされると、どの理想の社会の実現に貢献するのかを予想しながら、理想の社会の早期実現を目指す協力型のゲームです。

 

本ゲームでは、データサイエンスやプログラミングは手段であり、目的を明確にすることが大事というメッセージを強調していますが、プレイ後にデータサイエンスの基礎的な考え方を学べる要素が盛り込まれています。例えば、ゲーム中に生活・ビジネスシーンをアップデートすると、新たなデータ・予算を獲得することができますが、その際に獲得できるデータ量はアップデートされた生活・ビジネスシーンで用いられたデータの加工段階に基づいて決められています。データ分析においては、①記述的(過去に何が起こったのかを理解するために用いられ、単純にデータをさまざまな切り口で記述したもの)、②診断的(過去になぜそれが起こったのかを明らかにする)、③予測的(これから何が起こるのかを推測する)、④処方的(これから何をするべきかを知る)という4つのステップでより価値の高いデータへと加工されていきます。(最終的に意思決定を自動化する「認知的分析」を含め5ステップとする考え方も存在します)

 

  データ分析の4ステップ

 

そのため、本ゲームではアップデートされた生活・ビジネスシーンにおいて、どこまで加工が進んだデータが用いられているのかによってプレイヤーが得られるデータ量を決めています。様々な生活・ビジネスシーンでデータの収集と加工が繰り返し行われることで、別の生活・ビジネスシーンを連鎖的にアップデートしていくために必要な加工済みデータが揃っていくからです。このように、ゲームのプレイ後に振り返り学習を行うことで、データの加工の種類といった基本的な考え方を学べるだけではなく、異なるデータを集め変換し他の用途に用いるといったデジタル田園都市国家構想やスマートシティを推進する際の鍵となるデータ連携基盤の重要性を学ぶことができます。

 

 

データ連携基盤のイメージ

 

さらに、こうした基本的な考え方を学んだあとに、ツールとしてのプログラミングやデータ分析手法を学ぶことで、目的を明確にした学習として通常よりも学習効果の高い教育を行うことが可能になります。

 

金沢工業大学では、これまでにもエドテック企業と連携したSDGs教育の普及拡大等を行ってきました。

 

数百~数千人規模でのSDGs教育支援が可能に。 ゲーミフィケーション教材の開発を産学連携で開始

https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2022/0328_sdgs.html

 

また、2022年11月にはテーマとした学会の全国大会をBeyond SDGsイノベーション学会と共催いたしました。

 

SDGs特別講演会「デジタル・エコノミーとBeyond SDGs」を11月12日(土)に開催し、サステイナブルな未来への展望、ゲーミフィケーション教材の可能性を共有。初代デジタル庁デジタル監・石倉洋子氏による基調講演のほか、学生によるゲーミフィケーション教材活用についての発表も

https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2022/1122_sdgs.html

 

今後、金沢工業大学SDGs推進センターでは、デジタル・エコノミー×サステナビリティの取り組みにより一層注力していく予定です。

 

金沢工業大学では、今後も日本一のSDGs教育推進大学として、教育・地域経営・ビジネスの3つを重点領域としハブ機能を高めていくことで、日本中・世界中にSDGs教育を広め、SDGsの達成に貢献していきます。

 

SDGsの達成に向けた金沢工業大学の取り組み

その他、金沢工業大学のSDGsに関する取り組みについては、SDGs推進センターのウェブサイトをご覧ください。

 

SDGs推進センターのウェブサイト:

http://www.kanazawa-it.ac.jp/sdgs/

 

SDGsとは

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、国連に加盟する世界193か国が合意した17の目標、169のターゲットのことです。貧困等の途上国を中心とした社会課題の解決のみならず、気候変動等の先進国・途上国共通の社会課題の解決について、2030年までに達成すべき目標が設定されており、達成するためには政府・国際機関・民間企業・NGO・学術機関・市民等、様々なステークホルダーのパートナーシップが必要となります。

 

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データ連携基盤のイメージ

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スマートシティ版

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