山の中にいるような“壮大なスケール”の庭づくり

積水ハウス

2023年8月25日

積水ハウス株式会社

 

K様邸の水が流れるお庭

 

 

水の風景や自然音にはストレス緩和に癒し効果

皆さんは、日頃、水のある風景を身近に感じることはありますか。文部科学省は、“美しい生き生きとした水のある風景は、人の心をなごませる”とし、「景観としての水」に理想郷を見出し、それを手元に引き寄せ、創り出されたのが庭園における水であると定義しています(※1)。

 

※1:文部科学省 「水の特性を生かした様々な活用 景観としての水」 

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu0/shiryo/attach/1331587.htm

 

日本を代表する庭園「兼六園」

 

 

こうした“心がなごむ理想郷”をお客様の庭に実現させたのが、積水ハウス神奈川中央支店で外構造園を手掛ける樹木医の村上裕介です。今回は、庭づくりにおいて妥協しない村上と同じ価値観を持つオーナーK様の庭づくりのストーリーをご紹介します。

 

積水ハウス神奈川中央支店 村上裕介 

 

 

信頼関係で築く妥協なしの庭づくり

35年前、K様が積水ハウスで家を建てた際のコンセプトは、夏には樹が生い茂り、梢の風がそよぎ、冬には芝庭の草花に陽が差し込み、四季を通じて花が咲いているお庭でした。今回は、「広い敷地に木々が茂り、季節の花が咲き、小鳥がさえずる庭を造りたい」という思いから、森に隣接した緑豊かな土地を購入。「造園家になる」という幼いころからの夢を叶えるため、建物が完成した後にお庭の工事を、K様自らが計画することを考えておられました。

 

そんな中、エクステリア担当の村上との出会いがありました。

村上は計画当初から、K様の“お庭の工事は自分で”との思いを大切にしながら、家の顔となるファサードの造園工事だけは村上に任せて欲しいと、お願いしていました。そして、K様からは「自然な雑木の樹形のものを採用したい」というご要望があり、エゴノキを中心とした「5本の樹」をご提案。たまたまK様のもとの家にもシンボルツリーとしてエゴノキがあり、幼少の頃から大好きだったため、村上と意見が一致しました。

 

エゴノキが美しいK様邸のファサード

 

 

庭のイメージは「無鄰菴」と「水の流れ」

完成したファサードの植栽を妻のM様が気に入られたこともあり、K様は庭づくりも村上と一緒に作っていこうかな。と思い始めました。そして、村上に自ら細かく書き留めた要望書を手渡しました。その要望書には、京都の「無鄰菴」をモデルにし、樹林地を借景にしたモミジの群落と起伏のある広い芝庭、大自然を感じられるお庭がありました。そして、平面図と、購入樹種、ご自宅からの移植樹木、元々住まわれていたお庭から移植するための準備として、樹木の根切りまで完璧に計画されたものでした。

 

「要望書を拝見し、その空気感や自然を再現することを考えた時、木、石、水が織りなす大自然の景色が浮かびました。近代造園の礎として憧れの『無鄰菴』ですから、そのような仕事をさせて頂くことに胸が躍りました。」(村上)

 

村上は、K様に自身の想いを重ねたご提案書と、構想に無かった水が流れる様子をイメージしたスケッチ、そして、村上の実家の庭で撮影した水が流れる動画をお見せしました。心地よい水の音や水の煌めきに心打たれたK様は、そのとき、村上の情熱を信じて任せて下さいました。

 

 K様邸の庭をイメージしたスケッチ (左)完成したK様邸の庭(右)

 

 

「動画をご覧頂いて、K様とお庭の空気感を共有することが出来たと感じた瞬間でした。自分の両親へ癒しの庭ができたらと、実家につくった水の流れる庭でしたが、今思えば、実験的に好奇心でやっていたことが今回の大きな仕事につながり、結果として実ったと思います。」と村上。

 

「無鄰菴」をイメージして完成したK様の庭園の水辺

 

 

スケール感の表現のために、こだわった樹木と石の選定

K様の庭は敷地が広く、植樹本数は約150本。村上にとってこれほどの造園工事は初めてのスケール感だったため、まず、高木を立て、骨格を作り、中木、低木の順に選定を行いました。樹木選びには、農園に7、8回足を運び、こだわりを持って選定しました。

 

村上が現場で選んだモミジ(左上) K様邸に植栽される高木(左下) クレーンで下ろす高木(右)

 

 

 

気に入った石に番号を明記(左) 保管場所で石を選ぶ村上(右)

 

 

チームワークで実現した避暑地のような庭

工事中は、完成イメージのスケッチを現場に貼り付け、職人さんと共に場所を確認しながら、ひとつひとつ丁寧に作業していきました。水の流れは専門部署の協力を得て、ポンプや水の補給について検討し循環させるようにしました。

 

庭づくりは建物のお引き渡し後にスタート。K様には住みながら進捗を見て頂き、ささいな事でも共有し進めました。時にはご意見を頂き、やり直すこともありましたが、施工を担当する植木屋さんも共感し、快く引き受けてくれ、村上の気持ちを支えてくれました。

 

「K様がお庭を作りたいという夢を預かっているということを常に思いながら進めました。妻のM様からは、熱中するところが夫のK様に似ていると言われたことがあります。」と、村上は笑顔でいいます。

 

工事着手前のお庭(左上) 石をクレーンで下ろす作業(右上)

職人さんと共に作業する村上(左下) イメージに近くなった工事中の庭(右下)

 

 

完成した庭を見て、妻のM様は笑顔で話します。

「3、4カ月で出来た庭とは思えない、まるで山の中にいるような風景です。最初は大きな石が運ばれてきたので、庭が石だらけになるのではないかと心配で、半分くらいに減らした方がいいんじゃないかな?と思っていました。工事が進むうちに、川底や岸にうまく埋め込まれ、見事な沢の流れになりました。朝から水の流れる音や、アゲハチョウなどさまざまな蝶が訪れ、メジロ、ウグイス、シジュウカラのさえずりが聞こえ、朝夕には、鳥たちが水浴びを楽しむ姿も見られます。住宅街にいることを忘れ、まるで避暑地にいるかのような気分です。今は仕事で土日しか庭を楽しむ時間がありませんが、リタイヤした後は、一日中庭でゆっくりしたいです。工事中には、道行く人から『料亭ができるのですか?いつ開店しますか?』と尋ねられることもありました。」(妻のM様)

 

避暑地のようなK様邸の庭

 

 

K様は、これまでの庭づくりを振り返りながら、今後の楽しみを語ります。

「当初は里山の雑木林と芝庭の半々にしようと考えていましたが、村上さんの提案で、これに沢の流れが加わりました。出来上がってみると、山奥で見る自然な枝ぶりの樹木が並び、長年にわたり住んでいたような庭になりました。季節ごとに花が咲き、ヤマモモやイチジク、キンカン、カキ、小ミカンも実るので、庭仕事をしながら果実を食べるのが楽しみです。幼い頃住んでいた家は庭が広く、多くの樹々に親しんで育ったので懐かしい気持ちもあります。最近コオロギの声も聞こえてくるんですよ。これから数年で森のようになるのが楽しみです。満足な庭ができたので、今後、どうやって手を加えていこうか、とワクワクしています。一年中花が絶えない庭にしたいと思っていますが、どこまでできるか楽しみです。この庭は植木屋さんをはじめスタッフの皆さんのチームワークで実現しました。素晴らしい人柄の皆様に恵まれたと感謝しています。」(K様)

 

バルコニーから庭を臨む(左) 家の中から庭を臨む(右)

 

 

緑に囲まれたK様邸(左) 広がりのある芝生(右)


 

人生100年時代。豊かに楽しく生きることを追い求めるK様は、「トライ&エラーでいい」と言います。仕事が終わったら趣味に没頭し、化石や恐竜の骨、鉱石収集、野菜づくり、蘭のお世話と、忙しい毎日ですが、今回の庭づくりを通して、妻のM様に感謝の気持ちを伝えました。「多趣味の私に協力してくれて感謝しています。」と普段なかなか口にできない思いを伝えると、妻のM様は笑顔で、「元気で長生きしてください」と答えました。

 

 

 

緑の生命力で住まい手と心のつながりを紡ぐ

庭は単なる場所ではなく、住まい手と深く結びついています。そこで過ごした思い出が原風景として心に刻まれ、かけがえのない特別な場所になります。樹木は自然への畏敬の念を感じさせ、人が及ばない驚くべき生命力と壮大なスケールを持っています。1本の樹からも、その場所の森林や環境の中で光を求めて成長していく自然の姿を思い描くことができます。私はそれを伝えたい。体感して欲しいと考えています。緑の魅力をご提供することで、新しい感動や、価値観を感じて頂くことが、この仕事の醍醐味だと思っています。

 

左から現場監督 根本 聡、インテリアコーディネーター 川原 和子、設計担当 永谷 真澄、

エクステリア担当 村上、営業担当 深沢 康晴

 

 

積水ハウスは、これらの魅力をお客様にも体感して頂きたいと願い、「5本の樹」計画の庭づくりを推進しています。皆さんも、自宅の庭で、緑の生命力やスケール感を体感してみませんか。

 

積水ハウスの「5本の樹」計画

https://www.sekisuihouse.co.jp/gohon_sp/

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