動的条件下でのX線CT撮影技術を開発

ゴム材料に限らず生体撮影も可能、バイオ関連分野への応用にも期待

早稲田大学

2023年11月7日

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発表のポイント

材料の内部構造を非破壊検査する方法として普及しているX線CT※1は、動的条件下での材料の観察には不向きであった。
ストロボ効果※2を利用した動的条件下でのX線CT撮影技術を開発し、複合化したゴム材料の動的粘弾性試験※3と動的X線CTによる計測を同時に行うことが可能になった。

心臓のような繰り返し変形するようなものであれば、生体の動的X線CT撮影も可能となる技術で、テラヘルツ波を用いたCT撮影など、材料に限らず医療・バイオ関連分野への応用も期待できる。

 

早稲田大学理工学術院の松原真己(まつばら まさみ)准教授を中心とする研究グループは、複合化したゴム材料の内部構造および動的挙動と減衰特性にどのような関係性があるのかを解明するために、ストロボ効果を利用した動的条件下でのX線CT撮影技術(以下、動的X線CT )を開発(図)、動的X線CTと動的粘弾性試験を同時に実施する実験系を構築し、ゴム材料のミクロな内部構造とマクロな特性である減衰特性の関係を分析しました。

 

本研究成果は、オランダのエルゼビア社が発刊する国際学術誌『Mechanical Systems and Signal Processing』にて、2023年10月19日(木)に掲載されました。

 

図:動的X線CTの概略図

 

論文情報

雑誌名:Mechanical Systems and Signal Processing

論文名:In-situ measurement of dynamic micro X-ray CT and dynamic mechanical analysis for rubber materials

DOI:10.1016/j.ymssp.2023.110875

 

用語解説

※1 X線CT

X線を用いて物体の断面像や立体像を得る手法。CTはComputed Tomographyの略で、コンピューター断層撮影を意味しています。

 

※2 ストロボ効果

ストロボはストロボスコープの略で、ある時間間隔で光を点滅させることを指します。この点灯タイミングで撮影すれば、対象物が高速回転体であれば、あたかも止まったような画像を得ることができます。通常、回転体の回転周期よりも十分に短いフレームレート(1秒間に撮影できる画像の枚数)のカメラで撮影しなければ、回転体の撮影はできませんが、ストロボの点灯タイミングと回転体の回転位相をコントロールすることで、回転周期よりも長いフレームレートのカメラでも撮影が可能となります。ここではその効果をストロボ効果と呼んでいます。

 

※3 動的粘弾性試験

試験片に変位振動を与え、それによって発生する応力と歪みを測定することにより、貯蔵弾性率、複素弾性率、損失係数(減衰特性)といった力学的特性を測定する方法です。

 

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