ヘモグロビン異常症に対する世界初の臨床塩基編集療法
CorrectSequence TherapeuticsのCS-101が輸血依存性β-サラセミア患者1人の治癒に成功
【上海2024年1月10日PR Newswire=共同通信JBN】革新的な改良型塩基編集(tBE)技術を重症患者の治療に役立てているCorrectSequence Therapeutics Co., Ltd.(Correctseq)は2024年1月8日、中国・上海で、輸血依存性β-サラセミアに対する塩基編集療法CS-101の良好な治療結果を発表しました。First Affiliated Hospital of Guangxi Medical University(広西医科大学第一付属病院)との共同研究であるCS-101の医師主導臨床試験(IIT)は、初めて治療を受けた輸血依存性β-サラセミア患者の治癒に成功、2カ月以上にわたり無輸血状態が持続されました。CS-101投与8週間後、患者の胎児ヘモグロビン(HbF)レベルは~95 g/L まで上昇し、全ヘモグロビンの~81%を占めるまでになりました。HbF発現細胞(F細胞)の比率は~80%まで増大しました。患者のヘモグロビン濃度は報告日まで 130 g/L 以上に維持されており、患者は通常の生活を取り戻しています。特筆すべきなのは、私たちの知る限り、これは塩基編集療法でヘモグロビン異常症の臨床的治癒に成功した世界初の報告であることです。
The world's first β-thalassemia patient who received base editing therapy (Correctseq's CS-101) has been two months free from transfusion and has resumed normal life.
β-サラセミアや鎌状赤血球症(SCD)を含むヘモグロビン異常症は、世界で最も一般的な単一遺伝子疾患群で、世界人口の約7%が変異遺伝子を持っています。毎年世界中でヘモグロビン異常症の新生児が約40万人生まれています。β-サラセミアは、β-グロビン遺伝子の変異によって引き起こされる遺伝病で、ヘモグロビン生成不全を引き起こします。CorrectseqのCS-101は、β-サラセミア患者から自己造血幹細胞を採取することから始める個別化治療です。次に、上海科技大学の研究者が開発した改良型塩基編集(tBE)技術(Wang et al., Nat Cell Biol, 2021)を使い、γグロビン(HBG1/2)をコードする遺伝子のプロモーター領域のDNA配列を正確に編集し、胎児ヘモグロビンを遺伝的に持つ集団に自然に存在する一塩基変異を模倣することで、γグロビンの発現を再活性化し、機能性HbFを生成します。最後に編集後の幹細胞を患者に点滴で戻すことで、患者はヘモグロビンに損傷のない血液細胞を継続的に生成できるようになり、頻繁な輸血の必要がなくなります。β-サラセミア患者のヘモグロビンレベルを正常値に戻すため、いくつかの遺伝子編集戦略が検討されてきましたが、CS-101治療と同様、tBEによるHBG1/2プロモーターのBCL11A結合部位の塩基編集が、試験管内と生体内の両方で最高レベルのγグロビン再活性化を発現させることが示されています(Han et al., Cell Stem Cell, 2023)。
CorrectseqのCS-101 IIT試験では、輸血依存性β-サラセミア(β0/β+型)を患う最初の患者が、2023年10月にtBEベースの遺伝子編集治療を受けました。同患者は2歳で輸血を受け始め、CS-101治療を開始するまでは2週間ごとに4単位の赤血球(RBC)を投与されていました。CS-101治療後、患者は造血機能回復に成功、16日以内に好中球の生着が起き、移植後14日目に輸血を中止しました。治療から4週間後の患者のHbF濃度は~16 g/L、全ヘモグロビンの~21%で、F細胞の比率は~23%でした。治療から8週間後、患者のHbF濃度は~95 g/L に上昇、全ヘモグロビンの~81%を占め、F細胞比率は~80%になりました。報告日まで患者のヘモグロビン濃度は 130 g/L 以上を維持、CS-101関連の副作用は観察されていません。
tBE技術を使ったCS-101は、他のCRISPRベースのβ-サラセミア遺伝子編集療法と比較して、効果的な造血機能回復、ヘモグロビンレベルの正常範囲値への早期回復、輸血非依存達成までの期間短縮を示しました。重要なのは、革新的なtBE技術のお陰で、CS-101には大きなDNA断片の欠失、染色体の再配列、オフターゲット変異といった安全性リスクがないことです。結果的にCorrectseqのCS-101は、β-ヘモグロビン異常症のベストインクラスの遺伝子編集療法、ファーストインクラスの塩基編集療法となる可能性があります。
CorrectseqのCS-101 IIT試験の成功は、β-ヘモグロビン異常症患者の治癒に大きな希望を与えます。治癒に成功したこの最初の青年患者に加え、CS-101治療を受けてから1カ月以上、輸血から解放された成人患者も1人います。現在進行中のIIT試験では、さらに有望な結果が得られると期待されています。CS-101は現在、治験薬(IND)段階に移行しており、より多くの患者の治療でさらなる安全性、有効性の評価ができます。SCD患者の治療にCS-101を使用する治験も、鋭意準備が進められています。Correctseqは、革新的な遺伝子編集技術の臨床応用を効率的に進め、世界中の重篤疾患患者に「一度の治療で一生治る」希望を届ける決意を固めています。
謝辞:広西医科大学第一附属病院、上海科技大学、上海臨床研究中心。
▽CorrectSequence Therapeuticsについて
上海科技大学発のインキュベーション企業CorrectSequence Therapeutics™(Correctseq™)は革新的な遺伝子編集技術を利用し、重篤な疾患を患う人々の支援を目指しています。同社は、オフターゲット効果の制御と生体内での編集効率の向上で大きなメリットのある複数の最先端塩基編集システムを開発しました。同社が目指しているのは、さまざまな疾患向けの治療用遺伝子医薬品の発見・開発・製造・商品化です。遺伝性疾患、がん免疫療法、代謝性疾患、感染症を対象とした複数のパイプラインが順調に進行中です。
改良型塩基編集技術とその治療応用の詳細は、 www.correctsequence.com をご覧いただくか、BD@correctsequence.com にお問い合わせください。
PR Newswire Asia Ltd.
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