リンヴォック、アトピー性皮膚炎を対象としたデュピクセントとの非盲検直接比較試験について新データ発表
2024年5月15日
アッヴィ合同会社
リンヴォック(R)(ウパダシチニブ)について、アトピー性皮膚炎を対象としたデュピクセント(R)(デュピルマブ)との非盲検直接比較試験において主要評価項目およびすべての副次評価項目で優越性を示す新たなデータを発表
ー ウパダシチニブは主要評価項目である16週時のほぼ完全な皮膚症状の改善(EASI 90)およびかゆみの軽減(WP-NRS 0/1)の同時達成において、デュピルマブに対する優越性を示した1
ー 第IIIb/IV相直接比較試験であるLEVEL UP試験は、全身療法が効果不十分、または全身療法が推奨できない中等症から重症の成人および青少年のアトピー性皮膚炎患者さんを対象とし、ウパダシチニブとデュピルマブを比較1
ー ウパダシチニブの安全性プロファイルは、アトピー性皮膚炎を対象としたこれまでの試験結果と一致しており、16週の投与期間中に新たな安全性シグナルは認められず1,2
イリノイ州ノースシカゴ、2024年4月25日-アッヴィ(NYSE:ABBV)は本日、全身療法が効果不十分、または全身療法が推奨できない中等症から重症の成人および青少年(12歳以上)のアトピー性皮膚炎患者さんを対象とした、ウパダシチニブ(リンヴォック(R)、15 mg 1日1回(QD)で投与を開始し、臨床反応に応じ用量調節)とデュピルマブ(デュピクセント(R)、添付文書に基づく用量を投与)の安全性および有効性を比較評価した、第IIIb/IV相の非盲検、有効性評価者盲検化試験であるLEVEL UP試験で良好なトップライン結果が得られたと発表しました。
アッヴィのsenior vice president, chief medical officer, global therapeuticsであるRoopal Thakkar, M.D.は次のように述べています。「多くのアトピー性皮膚炎の患者さんは、既存の治療を受けていても依然として日常生活に大きな影響を及ぼし得る強いかゆみと炎症性の皮膚症状を抱えながら生活しています。本試験の結果は、中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者さんが、かゆみがない、またはほとんどない状態、そして皮膚症状の改善の両方を目指せることを示しています」
LEVEL UP試験では、主要評価項目において、ウパダシチニブはデュピルマブよりも優れた有効性を示しており、16週時に「EASI(Eczema Area and Severity Index、湿疹面積・重症度指数)スコアの90%以上の改善(EASI 90)」および「最悪のかゆみのNRS(Numerical Rating Scale、数値評価スケール)スコア0または1点(WP-NRS 0/1)」のどちらも達成した患者さんの割合がウパダシチニブ群で有意に高い結果となりました[ウパダシチニブ群の19.9%に対し、デュピルマブ群では8.9%でした(p<0.0001)]1。
EASIは、アトピー性皮膚炎の重症度と範囲の評価に用いられている、臨床的に有効な指標です。一方、WP-NRSは患者さんが毎日のかゆみの程度を報告するために使用する評価ツールです(0点が「かゆみがまったくない」、10点が「想像できる範囲で最もひどいかゆみ」)。
ウパダシチニブはすべての順位付けされた副次評価項目において、デュピルマブに対して優越性を示しました。順位付けされた副次評価項目には、ほぼ完全な皮膚症状の速やかな改善や、かゆみがない/ほとんどない状態の速やかな達成が含まれており、以下のとおり、最初の2項目の達成割合で、ウパダシチニブ群がデュピルマブ群よりも有意に高かったことが示されました。
・16週時にEASI 90を達成[(40.8% 対 22.5%、p<0.0001)]1。
・16週時にWP-NRS 0/1を達成[(30.2% 対 15.5%、p<0.0001)]1,a。
LEVEL UP試験結果については、今後の医学学会で発表される予定です。
LEVEL UP試験は、アトピー皮膚炎を対象に、1日1回15 mg QDの開始用量のウパダシチニブ投与と、添付文書に基づく用量のデュピルマブ投与とを直接比較した最初の試験です。ウパダシチニブは、成人および青少年(12歳以上、体重40 kg以上)患者さんに対し、1日1回15 mg QDの用量で投与を開始し、臨床反応に応じて30 mg QDまで増量しました。デュピルマブは成人および体重60 kg以上の青少年患者さんに対し、600 mgで投与を開始した後、300 mgを隔週(Q2W)投与しました。体重60 kg未満の青少年患者さんには400 mgで投与を開始した後、200 mg Q2Wの投与を行いました1。
ジョージ・ワシントン大学医学健康科学部の皮膚科学教授・臨床研究部長(professor of dermatology and director of clinical research at the George Washington University School of Medicine and Health Sciences)であるJonathan Silverberg M.D., Ph.D., MPHは次のように述べています。「アトピー性皮膚炎患者さんは、疾患の治療を行っているにも関わらず、病状が最適にコントロールされた状態に至らない方が非常に多いです。LEVEL UP試験の結果からは、ウパダシチニブのような治療薬が単にかゆみの軽減や皮膚症状を改善するだけではなく、EASI 90かつかゆみNRSスコア 0/1という複合的な指標によって示されるアトピー性皮膚炎の高い治療目標を達成できることが示唆されました」
LEVEL UP試験で認められたウパダシチニブの安全性プロファイルは、これまでに行われたアトピー性皮膚炎を対象とするウパダシチニブ臨床試験の結果と一致していました1,2。また、試験期間中に新たな安全性シグナルは認められませんでした1。第1ピリオドで最も多く報告された有害事象(AE)はウパダシチニブ群およびデュピルマブ群ともに鼻咽頭炎でした1。重篤なAEの割合は、ウパダシチニブ群およびデュピルマブ群で差がありませんでした(0.9%)。デュピルマブ群では重篤な感染症が1件報告されましたが、ウパダシチニブ群では報告されていません1。悪性腫瘍、判定された重大な心臓の有害事象、判定された静脈血栓塞栓事象(VTE)または治験薬投与下の死亡は、どちらの投与群でも報告されていません1。
[a] この評価項目は、ベースライン時のWP-NRSスコアが1点を超えている患者さんを対象に評価を行っています。
アトピー性皮膚炎について
アトピー性皮膚炎は、慢性で再発を繰り返す炎症性の疾患です。その特徴は、激しいかゆみの症状と掻破行動を繰り返すことで、皮膚がひび割れ、鱗状となり、滲出液が出るようになります3,4。成人の10%および青少年の24.6%がアトピー性皮膚炎に罹患すると推定されています4-6。成人患者さんのうち20%~46%が中等症から重症です7。アトピー性皮膚炎の多様な症状が、患者さんに多大な身体的、心理的および経済的に大きな負担となることがあります4,8。
LEVEL UP試験について
LEVEL UP試験は、全身療法が効果不十分、または全身療法が推奨できない中等症から重症のアトピー性皮膚炎の成人および青少年(12歳以上、体重40 kg以上)患者さんを対象に、ウパダシチニブとデュピルマブの有効性と安全性を比較する、第IIIb/IV相、多施設、無作為化、非盲検、有効性評価者盲検化試験です。本試験は、35日間のスクリーニング期間、16週間の投与を行う第1ピリオドおよび16週間の投与を行う第2ピリオドで構成されています。第1ピリオドでは、患者さんをウパダシチニブ15 mg QD投与群またはデュピルマブ表示用量投与群のどちらかに無作為に割り付けました。第2ピリオドでは、治験実施計画書に規定される基準に従って、患者さんにウパダシチニブを投与しています。主要評価項目は、16週時における、EASI(Eczema Area and Severity Index、湿疹面積・重症度指数)スコアの90%以上の改善(EASI 90)および最悪のかゆみのNRS(Numerical Rating Scale、数値評価スケール)スコア0または1点(WP-NRS 0/1)の同時達成です。順位付けされた主な副次評価項目は、16週時のEASI 90達成、ベースライン時のWP-NRSが1点を超えている患者集団における16週時のWP-NRS 0/1達成などです。本試験に登録された患者さんにおけるAD病変の体表面積(BSA)の平均は38%で、患者さんの42%はベースライン時に重症(vIGA-AD=4)でした。本治験の詳細な情報については、https://www.clinicaltrials.gov/をご覧ください(NCT05601882)。
リンヴォック(R)(ウパダシチニブ)について
アッヴィの科学者が発見し開発したリンヴォックはJAK阻害剤であり、複数の免疫介在性疾患を対象に研究が進められています。酵素アッセイおよび細胞アッセイの結果に基づくと、リンヴォックはJAK2、JAK3およびTYK2に比べ、JAK1に対してより強力な阻害活性を示します2。特定のJAK酵素の阻害が、治療効果および安全性とどのように関連しているかについては現時点では明らかになっていません。
進行中のリンヴォック臨床試験には、円形脱毛症、強直性脊椎炎、アトピー性皮膚炎、体軸性脊椎関節炎、クローン病、巨細胞性動脈炎、化膿性汗腺炎、乾癬性関節炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、高安動脈炎、潰瘍性大腸炎、尋常性白斑を対象とするものがあります9-22。
アッヴィについて
アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製とソリューションの提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、精神・神経疾患、アイケア、さらに美容医療関連のアラガン・エステティックスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.comをご覧ください。X(旧Twitter)@abbvie、Facebook、LinkedInやInstagramでも情報を公開しています。
References:
1.AbbVie. Data on File ABVRRTI78473.
2.RINVOQ [Package Insert]. North Chicago, IL: AbbVie Inc.; 2023.
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6.Blauvelt A, Guttman-Yassky E, Paller AS, et al. Long-Term Efficacy and Safety of Dupilumab in Adolescents with Moderate-to-Severe Atopic Dermatitis: Results Through Week 52 from a Phase III Open-Label Extension Trial (LIBERTY AD PED-OLE). Am J Clin Dermatol. 2022;23(3):365-383. doi:10.1007/s40257-022-00683-2
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13.A Study Comparing Upadacitinib (ABT-494) to Placebo and to Adalimumab in Participants With Psoriatic Arthritis Who Have an Inadequate Response to at Least One Non-Biologic Disease Modifying Anti-Rheumatic Drug (SELECT - PsA 1). ClinicalTrials.gov. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03104400 . Accessed April 9, 2024.
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18.A Study to Evaluate the Efficacy and Safety of Upadacitinib in Participants with Takaysu Arteritis (TAK) (SELECT-TAK). ClinicalTrials.gov. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT04161898 . Accessed April 9, 2024.
19.Program to Assess Adverse Events and Change in Disease Activity of Oral Upadacitinib in Adult Participants With Moderate to Severe Systemic Lupus Erythematosus (SELECT-SLE). ClinicalTrials.gov. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT05843643 . Accessed April 9, 2024.
20.A Study to Assess Change in Disease Activity and Adverse Events of Oral Upadacitinib in Adult and Adolescent Participants With Moderate to Severe Hidradenitis Suppurativa Who Have Failed Anti-TNF Therapy (Step-Up HS). ClinicalTrials.gov. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT05889182 . Accessed April 9, 2024.
21.A Study To Assess Adverse Events and Effectiveness of Upadacitinib Oral Tablets in Adult and Adolescent Participants With Vitiligo (Viti-Up). ClinicalTrials.gov. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT06118411 . Accessed April 9, 2024.
22.A Study to Evaluate the Safety and Effectiveness of Upadacitinib Tablets in Adult and Adolescent Participants With Severe Alopecia Areata (Up-AA). ClinicalTrials.gov. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT06012240 . Accessed April 9, 2024
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 アッヴィ合同会社
- 所在地 東京都
- 業種 医薬品
- URL http://www.abbvie.co.jp/
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