スポーツマネジメント研究所 プロ野球ファン1,200人アンケート調査結果

前半戦リーグMVP:セ・リーグ 才木浩人(阪神)、パ・リーグ 近藤健介(ソフトバンク)

産業能率大学

 産業能率大学スポーツマネジメント研究所(所長:中川直樹 情報マネジメント学部教授)は、2024年6月末に、プロ野球前半戦MVP等の選手に関する調査と、プロ野球の制度改革等に関する意識調査を実施しました。

 アンケート回答者は、12球団のファン各100名の計1,200名。対象選手(敬称略)は2024年6月20日現在のNPB支配下登録選手807名です。なお、球団別集計表の並びは、昨年度のリーグ最終順位としています。

 

 

 

 

1. 選手に関する調査結果

 

1-1.前半戦リーグMVP (各リーグN=600)

 応援チームが所属するリーグの「前半戦MVP」に相応しい選手を1人だけ選んでもらい、その理由も尋ねました。

 下表では10票以上獲得した選手について、その理由の抜粋を掲載しています。

 

 

 

1-2.後半戦のキーマン各球団トップ3 (各球団N=100)

 応援チームにおける「後半戦のキーマン」とえる選手を1人だけ選んでもらい、応援メッセージを書いてもらいました。

 

 

 

 

1-3.投打のNo.1注目選手 (各球団N=100)

 応援チームの所属選手を「投手」と「野手」(捕手・内野手・外野手)に分けて、それぞれ注目選手を3人まで挙げてもらいました。下表は各球団で最も票を集めた選手です。

 

 

1-4.盗塁・守備のNo.1期待選手 (各球団N=100)

 応援チーム所属の野手の中から「盗塁王」になってほしい選手を2人まで、投手を含む全選手の中から「ゴールデン・グラブ賞」に選ばれてほしい選手3人までそれぞれ挙げてもらいました。

 下表は各球団で最も票を集めた選手です。

 

 

1-5.新人王期待選手 (各球団N=100)

応援チーム所属選手の有資格者の中から「新人王」に選ばれてほしい選手を1人挙げてもらいました。 下表は各球団で最も票を集めた選手です。

 

 

1-6.カムバック・ブレイク期待選手 (各球団N=100) 

 応援チーム所属の新人王有資格選手“以外”の選手の中から「カムバック」(不調などからの復活)を期待する選手と ブレイク(才能の開花)を期待する選手を1人ずつ挙げてもらいました。下表は各球団で最も票を集めた選手です。

 

 

2. プロ野球の制度改革等に関する意識調査結果

2-1.単純集計結果

 意識調査は、10の質問に対して、「はい」か「いいえ」で回答してもらいました。下表は回答者全体(N=1,200)の肯定率(「はい」の比率)が高い順にまとめたものです。

 肯定率がかなり高い項目(75%以上)を赤、比較的高い項目(55%以上75%未満)を橙、50%程度の項目(45%以上55%未満)を黄緑)、低い項目(45%未満)を青で網掛けしています。

 「原文」のままでは集計結果として見づらいため、次節以降の表では短縮化した「ラベル」用います。

 

 

 2018年から始まり、すでに定着した感のある「リクエスト」制度については9割を超える回答者が成功と評価しました。2022年からスタートした「現役ドラフト」制度についても9割近い回答者が成功と評価していました。これら2制度については、プロ野球ファンにおいて総じて否定的意見は少ないと考えられます。

比較的肯定率が高いのは、「セ・リーグDH制に賛成」「ロボット審判導入に前向き」「CSアドバンテージ再考を」になります。これらを含み肯定率がこれ以下の項目については、結論を一般化するのは早計です。次節・次々節において、基本属性(性・年代・応援する球団)とのクロス集計結果を踏まえて考察を加えます。

 

2-2.基本属性クロス集計結果①性・年代

 前節と同じ質問順で、「性年代」ごとの比率を表にしたものが下表になります。 相対的に、肯定率が高いほど暖色、低いほど寒色で網掛けしました。次節も同様です。

 

 

 前節で述べた通り、「リクエスト導入を成功と評価」と「現役ドラフトを成功と評価」については、すべての属性区分で75%を超えていました。

 「セ・リーグDH制に賛成」「ロボット審判導入に前向き」に関しても、すべての属性区分で50%は超えていましたが、40代男性で肯定率がやや低い傾向が見られました。「CSアドバンテージ再考を」については、性差が顕著でした。別途集計したところ、男性の肯定率は62.2%であるのに対し、女性は50.3%に留まりました。男性ファンは2位に大きく差をつけて優勝したチームはもっと優遇されてしかるべきと考えるのに対し、女性ファンではその傾向は強くないようです。

 「エクスパンションに賛成」「ファームチーム拡大を認知」も性差が大きく、前者は男性57.5%・女性36.5%、後者は男性58.6%・女性30.5%でした。これはファームにおける「オイシックス」や「くふうハヤテ」の参入を6割近い男性ファンは認知しているのに対し、女性の認知率は3割程度に留まっていることを意味します。1軍チームの球団数増加についても、6割近い男性ファンは肯定的ですが、肯定的な女性ファンは3割程度に留まり、現状の12球団のままであることを望んでいる女性ファンの方が多いという結果となりました。

 「ピッチクロック導入に賛成」「スポーツくじ導入に賛成」も基本的には男性の肯定率が高く、女性の肯定率が低いという結果を示しています。ただし「ピッチクロック導入に賛成」に関して、女性20代は男性と遜色ない高い値であり、女性30代にいたっては10の区分の中でもっと高い値を示すことから、タイパ(タイム・パフォーマンス)を重視する若年女性の傾向が現れていると読み取ることもできます。「スポーツくじ導入に賛成」に関しては、男性30代では5割を超える一方、女性50代では2割を下回る対照性が目を引きます。4割を下回る男性60代と女性30代以上においては、プロ野球のスポーツくじ導入には否定的意見が大勢を占めているようです。

 最後の「有料チャンネルに登録」は年代の影響が大きく、別途集計した世代ごとの肯定率によると、20代34.4%→30代28.3%→40代26.6%→50代24.2%→60代17.0%と低下します。若年層でもまだ4割未満と多数派ではありませんが、世代が上がるほど有料チャンネル登録率は低下し、60代では男女ともに2割を下回る結果となりました。

 最終節では本調査において性・年代以上の基本属性ともいえる「応援チーム」による傾向の違いについて考察します。

 

2-3.基本属性クロス集計結果②応援チーム

 下表は、前節の「性年代」列を「応援チーム」列に置き換えた表です。「性年代」以上に属性間の差が大きくなる質問項目もあれば、応援チーム間でほとんど違いが見られなくなる項目も散見されます。

 

 全体上位の「リクエスト導入を成功と評価」および「現役ドラフトを成功と評価」に関しては、性年代よりも分散が小さくなります。前節では属性内平均が70%台の区分もありましたが、今回は80%を下回るセルはありません。したがって、どのチームのファンであるかに関わらず、「リクエスト制度」と「現役ドラフト制度」は支持されていることがわかります。表の下の2項目「スポーツくじ導入に賛成」「有料チャンネルに登録」に関しても、性年代10セルの範囲がそれぞれ16.3%~50.9%と14.9%~37.8%だったのに対し、応援チームの12セルの範囲は31.0%~50.0%および16.0%~34.0%と縮小しており、「スポーツくじ導入の是非」や「有料チャンネル登録の有無」に関しては、応援チームによる違いよりも世代の違いによる影響の方が大きいと考えられます。

 上記4項目以外については、応援チームによる傾向の違いが鮮明です。「セ・リーグDH制に賛成」に関しては、セ・リーグ平均が56.3%なのに対し、パ・リーグ平均は67.7%と10ポイント以上の差となりました。すでにDH制が敷かれているパ・リーグのチームを応援するファンはセ・リーグも同様に導入すればよい立場なのに対し、セ・リーグチームを応援するファンはDH制の導入に基本的に慎重です。ただし、セ・リーグ内でも分散は大きく、DeNA・巨人・中日のファンではDH制導入賛成派が6割を超えますが、阪神と広島のファンの中では否定派が過半数の結果となりました。前者の背景には得点力強化の重視、後者の背景には天然芝球場ならではの醍醐味や打席を苦にしない投手の存在などが考えられます。

 「ロボット審判導入に前向き」なのは、親会社がテクノロジーに強みをもち新規参入から日の浅い楽天(肯定率72.0%)とDeNA(同66.0%)のファン、逆に伝統のある阪神(同49.0%)と巨人(同54.0%)のファンでは、そこまで前向きではないことが見受けられます。「CSアドバンテージ再考を」については仮説通り、現在パ・リーグ首位を独走しているソフトバンクのファンが最高値の68.0%、「ファームチーム拡大を認知」に関しても、ファンの居住地が全国に広がる巨人ファンの認知率が高く首肯できる結果となりました。

 「エクスパンションに賛成」の肯定率が高いのは、DeNA(同58.0%)と日本ハム(同58.0%)のファンであり、両チームとも近年地域密着でファン層を拡大している共通点がありますが、その関連性については検証が必要です。同様に「ピッチクロック導入に賛成」は楽天(同58.0%)とソフトバンク(同57.0%)のファンにおいて高い値が、逆に阪神(同32.0%)のファンでは最も低い値となっていますが、その理由についても今後の検証課題とします。本研究所では引き続きプロ野球に関する調査を進めてまいります。今後のプレスリリースにも是非ご注目ください。

 

【調査概要】

調査方法:インターネットリサーチ 調査期間:2024年6月24日~26日の3日間

調査対象:予備調査をもとに抽出したプロ野球12球団のファン100名ずつの計1,200人

調査監修:小野田哲弥(産業能率大学スポーツマネジメント研究所研究員/情報マネジメント学部教授)

調査協力:荒井智尋・小池英華・徳竹彩花・長谷川也紗・松浦航太(小野田ゼミ)

 

【回答者属性】 (N=1,200)

※「性年代」「居住地」内で相対的に度数が多いほど濃色で網掛け

 

【産業能率大学】

■ホームページ:https://www.sanno.ac.jp/

 

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