住友ゴム、タイヤの耐久性能を決めるゴムの破壊メカニズムを発表

~ゴム摩擦理論の世界的権威、Gert Heinrich教授と共同研究~

住友ゴム工業

発行:2025年3月19日

 

住友ゴム、タイヤの耐久性能を決めるゴムの破壊メカニズムを発表 ~ゴム摩擦理論の世界的権威、Gert Heinrich教授と共同研究~

 

 住友ゴム工業(株)(社長:山本悟)は、ドレスデン工科大学(ドイツ・ザクセン州)のGert Heinrich教授との共同研究により、タイヤの耐久性能を決定する重要な要因であるゴムの破壊メカニズムを解明しました。この研究成果は、3月6~7日に米国フロリダ州オーランドで開催された米国化学会(American Chemical Society)※1の招待講演で発表されました。

 

発表の様子 (次世代材料研究部長 多田 俊生)

 

左:多田部長 右:Gert Heinrich教授

 

 当社はGert Heinrich教授が所属するライプニッツ高分子研究所(Leibniz Institute of Polymer Research Dresden)※2との共同研究により、タイヤの耐久性能を決める重要な要素であるゴムの破壊メカニズムを解明しました。

 ゴム材料に生じる割れ目や裂け目が進行する「き裂現象」は、タイヤの耐久性能を決定する重要な要因です。これまでは引き裂き試験などでゴムの耐久性を評価していましたが、き裂先端のミクロスケールでの構造変化については不明点が多くありました。今回の研究ではシミュレーション技術を駆使してゴムのき裂先端にかかる力を解析し、き裂を決定する要因を明らかにしました。

 ゴムのき裂先端では膨張変形を受け、ボイド(物体に含まれる微小な空洞)が発生します。ボイドは成長して合一することで、き裂をさらに悪化させます。一方で、ボイドの発生により、き裂先端に集中する応力が低減することも明らかになりました。

 当社では引き続きボイドの分散状態を変えた際の力の分布と、き裂特性について研究を継続し、耐摩耗性能に優れた環境負荷の少ないタイヤの開発を進めてまいります。

 

 Gert Heinrich教授はポリマー材料とエストラマー技術分野での世界的権威として知られています。

この度、米国科学会がゴム産業の重要な発明、革新、開発に対して大きな貢献をもたらした個人に授与するGoodyearメダルを受賞しました。

 今回の発表はGert Heinirch教授の受賞を記念して開設された特別セッション、Combining Physics, Chemistry & Engineering of Rubber: A Symposium in Honor of Charles Goodyear Medalist Gert Heinrich で招待講演として実施されました。

 

 

 当社は2023年3月に、タイヤ事業における独自のサーキュラーエコノミー構想「TOWANOWA(トワノワ)」※3を発表しました。「TOWANOWA」はバリューチェーン上の5つのプロセスからなる「サステナブルリング」と各プロセスから収集したビッグデータを連携させる「データリング」で構成されており、二つのリング間でデータを共有・活用することで新たな価値提供を目指します。

 

 

 「TOWANOWA」の「材料開発・調達」プロセスにおいて、今回の共同研究で得られたデータを活用することで、より高機能で高品質なタイヤの開発を推進します。「TOWANOWA」を通じ、住友ゴムはESG経営の推進を更に加速させ、2050年のカーボンニュートラルの実現と持続可能な社会の発展に貢献していきます。

 

※1 化学分野の専門家が集まる世界最大の科学団体の一つ。1848年に設立され、研究発表、教育推進、キャリア支援など、多岐にわたる活動を行っている。 https://www.acs.org/

※2 ドイツ・ドレスデンにあるポリマー研究の主要な施設の一つ。1948年に設立され、ポリマーの合成、特性評価、理論、加工に関する基礎研究と応用研究を行っている。 https://www.ipfdd.de/en/home/

※3 タイヤ事業におけるサーキュラーエコノミー構想「TOWANOWA(トワノワ)を策定(2023年3月8日リリース)

https://www.srigroup.co.jp/newsrelease/2023/sri/2023_018.html

 

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