アジア太平洋地域のオフィス市場は戦略的成熟の新たな時代を迎えました
「アジア太平洋地域のオフィス需要 – 拡大市場をナビゲートする」報告書
●過去10年間でアジア太平洋地域のオフィスストックは39都市にわたり約2倍の23億3,000万平方フィートに拡大
●インド、東南アジア、中国本土の17都市が、9億平方フィートのオフィス吸収量の3分の2を占める
●イノベーション主導型でテクノロジーを活用したESG対応のグレードAオフィススペースへの需要が高まっています
アジア太平洋地域のオフィス市場は、10年にわたる急速な拡大と、将来を見据えた革新的なワークスペースへの需要の高まりを背景に、戦略的成熟の新たな時代を迎えつつあります。グローバル不動産総合サービス会社クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(グローバル本社:米国イリノイ州シカゴ、日本本社:千代田区永田町、C&W)の報告書「アジア太平洋地域のオフィス需要 – 拡大市場をナビゲートする」によると、過去10年間で同地域のグレードAオフィスストックは39都市にわたり約2倍の23億3000万平方フィートに増加しました。これは毎年ワシントンD.C.に相当する規模のオフィスストックが追加された計算となります。需要は引き続き堅調で、同期間に約9億平方フィートが吸収され、その3分の2はインド、東南アジア(SEA)、中国本土の17都市で発生しました。
「アジア太平洋地域におけるオフィス空間へのテナントの取り組み方に、根本的な変化が見られます」と、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのインド・東南アジア・アジア太平洋地域最高経営責任者、アンシュル・ジェインは述べています。「もはや単なる拡張が目的ではありません。オフィスはブランド表現、文化の調和、パフォーマンス向上のためのプラットフォームへと進化しています。インドの安定した需要から、東南アジアの産業構成の変化、そして中国のイノベーション主導型成長に至るまで、企業は人材育成を促進し、ESGへの取り組みを支援し、長期的な回復力を可能にする空間を優先しています。」
アジア太平洋地域の需要要因と市場進化
過去10年間で空室率は13%から18%以上に上昇しましたが、この変化はより広範な進化を反映しています。テナントの選択基準が厳格化する中、オーナー側はよりスマートで持続可能なビルで対応しています。この変化を牽引する3つの主要エンジンが、中国本土、インド、東南アジアです。
イノベーション主導の成長が中国のオフィス環境を再構築
中国のグレードAオフィス稼働ストックは、テクノロジー・メディア・通信(TMT)、専門サービス、金融分野からの持続的な需要に支えられ、6億4000万平方フィートと2倍以上に拡大しました。
これらの業種が引き続き主導する一方、AI、バイオ製造、量子コンピューティングなどの新興産業が新たな需要の創出に貢献しています。上海と深センでは、今後1年間で合計3,800万平方フィートの新規グレードAオフィス供給が見込まれており、これはロンドン中心部の5年間の総供給量を上回る規模です。
テナントがより優れたビルへ集約し、オーナーがESGや技術的要請に応えるため資産の再配置を進める中、品質重視の傾向が明確に進行中です。入居者は空気質からエネルギーシステムに至る運用実績に基づきビルを評価する傾向が強まっており、不動産が事業戦略を支える方法の変化を示しています。
グローバル・ケイパビリティ・センター(GCC)とスタートアップが牽引するインドのオフィス需要
インドは世界でも最も堅調なオフィス市場の一つであり、2023~24年には主要都市で年間4,000万平方フィートを超える純吸収量を記録しました。世界のグローバル・キャパビリティ・センターの約50%がインドに拠点を置くことから、同センターの賃貸活動がインド全体の約30%を占めるのは当然の傾向と言えます。同時に、製造業の成長と活気あるスタートアップエコシステムが新たな需要層を生み出し、デジタルトランスフォーメーションや研究開発の拠点としてのインドの地位を強化しています。
主要都市 |
2024年第3四半期~2025年第2四半期の純吸収量(百万平方フィート) | 2025年第2四半期時点の空室率 |
ベンガルール |
14.0 | 9.3% |
ムンバイ |
12.2 | 11.2% |
デリー首都圏(NCR) |
8.4 | 20.7% |
ハイデラバード |
8.2 | 22.9% |
プネ |
7.6 | 13.1% |
バンガロールやムンバイなどの都市が主導し、バンガロールだけで1年間に吸収したオフィススペースは、多くの欧州都市が5年間で吸収する量を上回りました。需要はグレードA+ビルに集中する傾向が強まっており、これらのビルでは賃料が5~10%高くなり、空室率が3~6%低くなっています。
セクターの多様性とプライム賃料がSEAのオフィス市場を牽引
東南アジアのオフィス市場は着実に成長を続け、現在稼働中のグレードA物件は総面積2億3500万平方フィートに達し、過去5年間で10%増加しました。ほとんどの市場で空室率が高い状況にもかかわらず、マニラ、バンコク、ホーチミン市などの都市におけるトップクラスの開発物件では、過去最高水準の賃料を達成しており、プライムグレードAスペースは、グレードA市場全体のベンチマークを20%以上上回る賃料プレミアムを実現しています。
•特にハノイ、クアラルンプール、シンガポール、バンコクなどの都市では、中産階級の拡大と消費活動の活発化を背景に、銀行や金融企業が主導的な役割を果たしています。
•テクノロジー企業、IT・BPM(情報技術・ビジネスプロセス管理)プロバイダー、医療関連企業も地域全体で拡大を続けており、テナント構成はより多様化・高度化しています。
•東南アジアは、世界的なハイブリッドワークの潮流のなかにあっても、強固なオフィス文化と経済的回復力を背景とし、多くのテナントが規模縮小ではなく、より質の高いスペースへのアップグレードを進めています。
今後の展望
アジア太平洋地域のオフィス市場は拡大を続けるだけでなく、成熟期を迎えています。テナントはより選択的になり、オーナーはより革新的になり、都市間の競争は激化しています。次の段階は戦略的な再構築によって定義され、不動産はブランド、文化、パフォーマンスを支える基盤となるでしょう。
「アジア太平洋地域のオフィスセクターは、今まさに大きな変革期を迎えています。量から質への転換が進み、空間の質、ESG目標との整合性、イノベーションを支える能力が新たな基準となりつつあります。本レポートは、市場がこれまで歩んできた道筋だけでなく、その将来の方向性を示しています」― ドミニク・ブラウン博士(クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド 国際リサーチ部門責任者)
レポートはこちらからダウンロードいただけます。
以上
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドについて
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(NYSE: CWK)は、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)はニューヨーク取引証券所に上場している世界有数の事業用不動産サービス会社です。世界約60カ国、400拠点に約52,000人の従業員を擁しています。施設管理、売買仲介、鑑定評価、テナントレップ、リーシング、プロジェクト・マネジメントなどのコア・サービス全体で、2024年の売上高は94億ドルを記録しました。Better never settlesという企業理念のもと、受賞歴のある企業文化が評価され、業界やビジネス界から数々の称賛を受けています。詳しくは、公式ホームページ www.cushmanwakefield.com にアクセス下さい。
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このプレスリリースを配信した企業・団体

- 名称 クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド株式会社
- 所在地 東京都
- 業種 不動産業
- URL https://cushmanwakefield.com
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