Beyond SDGs推進センターの学生主体のAI教育実践が、スタンフォード大学発行『AI Tinkery Playbook』に掲載
米国外の教育機関としては唯一、コメントや学びの空間が写真とともに紹介
金沢工業大学Beyond SDGs推進センター(センター所長 平本督太郎教授)がスタンフォード大学の「AI Tinkery(エーアイ・ティンカリー)」に着想を得て進めてきた学生主体のAI教育の実践が、スタンフォード大学の学習研究拠点・Stanford Accelerator for Learningにより2026年8月に発行された教育者向けガイド『AI Tinkery Playbook』に掲載されました。
同プレイブックには、スタンフォード大学のほか、AI Tinkeryの展開を始めた米国の学校・学区の事例が紹介されています。
金沢工業大学は米国外の教育機関の事例として唯一掲載されたばかりでなく、大学としてもスタンフォード大学以外では唯一の掲載となりました。金沢工業大学からは教員と学生のコメントおよび学びの空間の3点が写真とともに紹介されています。

1. 「AI Tinkery Playbook」とは
「AI Tinkery Playbook」は、スタンフォード大学が運営する「AI Tinkery」の考え方と実践方法を、世界の教育者が自分の学校でも再現できるようにまとめたガイドブックです。冒頭には、スタンフォード大学教育大学院長のDan Schwartz教授によるメッセージが掲げられています。
プレイブックは、次の内容で構成されています。
● 指針となる4つの原則「CHAT」:
Collaborative(協働的)、Human-centered(人間中心)、Applied(実践的)、Thoughtful(思慮深い)
● 活動(Activities):
「AIを理解する」「AIを形づくる」「AIを評価する」という3つの学習目標に沿った活動集(Tinkery Toolkit)
● 空間(Spaces):
学校や大学の中にAI Tinkeryの空間をつくる方法と実例
● 人(People):
AI Tinkeryの運営を支える利用者・リーダー・メンター(協力者)の役割
● 参加方法(Play with us!):
世界の教育者がつながる「AI Tinkery Network」への参加案内
各章には、AI Tinkeryを自校で実践を始めた教育者の声が「COMMUNITY SPOTLIGHT(コミュニティ・スポットライト)」として掲載されており、金沢工業大学もその一つとして紹介されています。
2. 金沢工業大学に関する掲載内容
金沢工業大学の事例は、次の3か所に掲載されています。
1)教員のコメント(COMMUNITY SPOTLIGHT)
AI Tinkeryの指針「CHAT」を解説するページに、平本督太郎教授(Beyond SDGs推進センター所長)と池田梨花講師(同センター KIT AI Tinkeryプログラムディレクター)の顔写真とコメントが掲載されました。同じページには、米国ワシントン州のPeninsula School District(ペニンシュラ学区)の事例が並んで紹介されています。
2)学生のコメント(STUDENT SPOTLIGHT)
「Activities(活動)」の章に、金沢工業大学AI Tinkeryプログラムに参加する学生のコメントが「STUDENT SPOTLIGHT(学生スポットライト)」として掲載されました。
プレイブック全体の中で学生の声が掲載されているのは、この1か所のみです。
同じページには金沢工業大学の「AI Tinkery @ KIT Prototype Space」で学生が活動する写真も掲載されています。
3)学びの空間(Spaces)
「Spaces(空間)」の章では、AI Tinkeryを導入した各校がつくった空間の例として、スタンフォード大学、Lakeside Elementary(米国フロリダ州)、Gideon Hausner Jewish Day School(米国カリフォルニア州)とともに金沢工業大学が紹介されました。金沢工業大学については「学生が、学習・文化・AIを組み合わせたゲームやアプリをつくる課題に取り組んでいる」と、学生が制作した教材の写真とともに説明されています。
3. 掲載されたコメント(日本語訳)
掲載された平本督太郎教授・池田梨花講師のコメントは以下のとおりです。
「AIへの過度な依存は、人間の認知の発達を損なうおそれがあります。だからこそ、教育はいますぐ変わらなければなりません。AIとの協働が深まるなかで、私たちは手を動かす実践を通して鋭い感覚を養い、AIに主導権を委ねるのではなく「社会を主体的に設計する側(proactive architects of society)」であり続けなければなりません。「AI Tinkery」が欠かせないのは、そのためです。AI Tinkeryは、遊び心とコミュニティが出会う場であり、人間とAIの新しい関係に正面から取り組むことを可能にします。そうすることで、私たちは教育機関のなかに、学生が主導する新しい文化を築いています。現在、この環境を本学および日本各地の高校に広げ、若い世代が新しい技術を批判的に評価し、持続可能な未来を主体的に築いていけるよう取り組んでいます」
AI Tinkeryプログラムに参加する学生のコメントは以下のとおりです。
「生成AIを探究する大学のプロジェクトを通じて、私はAIを「作業を自動でこなすだけの道具」ではなく、「人間の能力を広げる強力な道具」として見るようになりました。もちろん、AIをカンニングペーパーのように使いたくなる誘惑もありました。しかしこのプロジェクトは、そうではなく、AIとともに学び成長することがどれほど意味のあることかを教えてくれました。AIは人間の創造性に取って代わるものではありません。むしろAIのおかげで、人とテクノロジーが一緒に何を生み出せるのかについて、私はいっそう好奇心を持ち、深く考え、わくわくするようになりました」
※いずれも原文は英語。日本語訳は金沢工業大学によるものです。
4. 掲載に至る経緯
金沢工業大学Beyond SDGs推進センター(旧:SDGs推進センター)は、2025年夏にスタンフォード大学を訪問し、AI Tinkeryの創設者であるKarin Forssell博士との打ち合わせや、Forssell博士がDirectorを務めるLDT(Learning, Design, and Technology)修士課程の成果発表会への参加を通じて、AI Tinkeryの考え方と実践について学びました。
その後、金沢工業大学ではこの考え方に着想を得て、「AI×推し×学習教材」をテーマとする学生主体の教材開発を開始しました。この取り組みは、情報デザイン学部の平本督太郎教授、狩野剛准教授、池田梨花講師の3名による合同研究室「THINK」の学生を中心に進められ、2025年度は17名の学生が5つのチームに分かれて、国語・数学・英語を対象に、小説・ゲーム・音楽などの形式を用いた副教材を構想・開発しました。
2026年3月26日には、来日したForssell博士に対して学生が成果を報告し、生成AIを活用して開発した教材のデモンストレーションを行いました。Forssell博士からは「Tinkery Networkのメンバーにも共有したい素晴らしい事例」との評価をいただいています。
さらに、2026年8月には、金沢工業大学主催のプログラムに参加した学生・中高生とともにスタンフォード大学を訪問し、成果発表会を開催し、Forssell博士から再度高い評価をいただきました。
そして同月、スタンフォード大学が発行したプレイブックに金沢工業大学の事例が掲載されました。
5. 今後の展開
金沢工業大学は、このたびの掲載を機に、AI Tinkery Networkの一員として、スタンフォード大学との連携をさらに深めるとともに、学生主体のAI教育の実践を国内外に発信していきます。
また、大学にとどまらず高校への展開を進め、若い世代が新しい技術の活用可能性を正しく評価し、持続可能な未来を主体的に築いていける学びの環境づくりに取り組んでいきます。
【スタンフォード大学「AI Tinkery」とは】
スタンフォード大学 Stanford Accelerator for Learning内で、Karin Forssell博士(AI Tinkery Director)が運営する、教育者のための「生成AIをいじくり回す(Tinkering)」協働スペースです。生成AIを「禁止する」か「全部任せる」かの二択ではなく、自ら触って、考えて、より良い使い方を探すことを掲げ、生成AIを批判的に試せる場をデザインしています。
▶ https://ai-tinkery.stanford.edu/
なおスタンフォード大学 Stanford Accelerator for LearningのWEBサイトでは、平本 督太郎教授と池田 梨花講師からForssell氏への以下のメールも掲載されています。
“As we move toward closer collaboration with AI, we have to build a sharp sense through hands-on practice, ensuring we remain 'proactive architects of society' instead of letting AI take the lead,“ said professors Tokutaro Hiramoto and Rika Ikeda, who launched the AI Tinkery at the Kanazawa Institute of Technology, in an email to Forssell. “This is why the AI Tinkery is so essential. It offers a space where playfulness and community meet.”
(以下翻訳)
「私たちがAIとのより緊密な協働へと進むなかで、AIに主導権を握られるのではなく、私たち自身が『社会を主体的に設計する担い手』であり続けるためには、実践を通じて鋭い感覚を養う必要があります」と、平本督太郎教授と池田梨花講師は、金沢工業大学でAI Tinkeryを立ち上げた経緯について、Forssell氏へのメールで述べています。
「だからこそ、AI Tinkeryは極めて重要なのです。そこは、遊び心とコミュニティが出会う場を提供してくれます」
【金沢工業大学Beyond SDGs推進センターとは】
脱炭素・循環型社会、Well-being、AI時代の課題に対応する教育研究を推進するセンターです。2031年以降の新たな共通目標である「ポストSDGs」の枠組みづくりへの貢献を見据え、2026年4月1日付で既存の「SDGs推進センター」を「Beyond SDGs推進センター」へと改組・発展させました。本センターでは、これまでSDGs推進センターが担ってきた2つのハブ機能である「学内横断のハブ機能」、「地域・企業・自治体・教育機関など学外の多様なステークホルダーを結びつけるハブ機能」を継承しながら、新たに「国際社会と地方をつなぐハブ」、「先進国とグローバルサウスをつなぐハブ」、「若者と高齢者をつなぐハブ」の3つのハブ機能を新たに強化し、2031年以降の社会を見据えた教育・研究・社会実装活動を推進します。あわせて、日本の若者が国際機関や海外大学など国際的な舞台で学び、発信し、次世代のルールづくりに参画できる機会の創出に取り組みます。本年度は具体的なプログラムとして、「KIT AIティンカリープログラム™」、「サイバーセキュリティプログラム」、「SMILE Method™」を推進し、国内外の多様なステークホルダーとの共創を通じて、社会課題に対する問いの形成、アイデア創出、地域実証、政策提言、社会実装へと接続します。
Beyond SDGs推進センターのウェブサイト
▶ https://www.kanazawa-it.ac.jp/sdgs/
【ポストSDGs、Beyond SDGsとは】
ポストSDGsとは、2030年を達成年とするSDGsの後継となる世界共通の目標を表す用語です。現時点では、既存のSDGsを延長する案や新たな目標を策定する案、目標数を減らす案など、有識者などから複数の方向性が示されている状態であり、国連からは2027年から2031年以降に関する国際的な議論が開始されることが示されています。他方で、Beyond SDGsとは、SDGsとポストSDGsの双方を含んだ概念であり、進捗が思わしくない現行のSDGs達成のために必要なシステムチェンジや具体的な取り組みと、2031年以降の在り方の双方を並列的に考える際に使われる用語です。呼称も統一されているわけではなく、SDGsが2030 Agendaに含まれた概念であったことから、Beyond 2030 Agendaと呼ぶこともあります。これからの概念においては、SDGsに含まれていなかったデジタルガバナンス/AIガバナンス、宇宙ガバナンス、文化などを含めて議論が行われています。
【当リリースに関する関連ニュース】
● 高校生と金沢工業大学の学生がスタンフォード大学を訪問。THINKプロジェクトの成果発表とスタンフォード大学発の学習環境「AI Tinkery」の視察を実施。生成AIに触れ、試し、対話しながら、自ら付き合い方を考える新たな学習環境の国内展開へ(2026年9月3日)
https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2026/0903_stanford-university.html
● 金沢工業大学Beyond SDGs推進センターが AI依存を防ぎ「自ら考える力」を育む新学習メソッド「SMILE Method™」を発表。7月18日・19日開催のDXハイスクール応援プログラムplus およびオープンキャンパスにて、探究学習アプローチと新型ゲーム教材を初公開(2026年7月10日)
https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2026/0710_smile-method.html
● 【AI Tinkery創設者・スタンフォード大学のKarin Forssell博士が来日】
学生によるAI活用教材の成果を報告し、今後の連携強化を確認(2026年7月3日)
https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2026/0703_hiramoto.html
● 金沢工業大学、「SDGs推進センター」を「Beyond SDGs推進センター」へ改組。
2031年以降の新たな国際目標を見据え、次世代グローバルリーダーの育成と産学官民連携を推進(2026年6月29日)
https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2026/0629_beyondsdgs.html
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 学校法人金沢工業大学
- 所在地 石川県
- 業種 大学
- URL https://www.kanazawa-it.ac.jp/
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