中国における医療AIコンテストでASEANとの医療協力の可能性が浮き彫りに

Guangxi Zhuang Autonomous Region Healthcare Security Administration

 

2026年National Healthcare Security Medical Imaging AI Recognition Competition決勝

 

AsiaNet 201959 (0213)

 

【南寧(中国)2026年10月28日新華社=共同通信JBN】中国南部の広西チワン族自治区南寧市で10月22日から23日まで、医療画像診断人工知能(AI)に関する全国コンテストが開催され、研究者、医療従事者、テクノロジー企業が参集、医師の疾患発見支援用のAIツールの試験を行うとともに、中国と東南アジア諸国間の医療分野における協力の可能性を模索しました。

 

2026年National Healthcare Security Medical Imaging AI Recognition Competition(国家医療保障・医療画像診断AI認識コンテスト)には、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国からの参加チームを含め1332チームが登録し、そのうち計66チームが決勝に進出しました。

 

中国国家医療保障局(China's National Healthcare Security Administration)と広西チワン族自治区政府(Guangxi regional government)が共催し、広西チワン族自治区医療保障局(Healthcare Security Administration of Guangxi)が運営を担当した本コンテストには、CTスキャンを使った肺がん検診、MRIを使った脳腫瘍の分析、マンモグラフィーを使った乳がん検診など8つの部門が設けられました。

 

医療画像技術の進歩で、より詳細な画像が得られるようになり、放射線科医が検討すべきデータ量も増加しています。かつては100枚程度の画像しか得られなかった1回の胸部CTスキャンで、現在は数千枚もの画像が得られるようになり、小さな異常の適時発見はますます困難になっています。

 

参加チームの1つである上海のSenseLungは、疑わしい肺結節を特定し、その特徴を分析、構造化レポートを作成して放射線科医を支援するAIツールを開発しました。同チームの取り組みは、疾患の診断や患者の経過観察にまで及んでいます。

 

しかし、異常の発見は課題の一部に過ぎません。病院によって使用する画像診断装置やスキャン手順が異なるため、大きな医療センターで良好な性能を発揮するAIモデルであっても、小さな病院では同様の結果が得られない可能性があります。

 

そのため本コンテストでは、検出精度だけでなく、アルゴリズムがさまざまなソースから得られた医療画像のばらつきにどれだけうまく対処できるかも評価されました。

 

こうした課題は中国に限ったことではありません。ASEANの国々は、医療制度、デジタル化の進捗度、医療資源へのアクセス状況などがさまざまです。AIを活用した診断の導入を検討している病院にとって、既存の機器や臨床ワークフローとの互換性は、管理された環境下での試験結果と同じくらい重要なこともあります。

 

本コンテストは、臨床医と技術開発者との連携の重要性も浮き彫りにしました。

 

マンモグラフィーの分野では、広西チワン族自治区人民病院と地元のテクノロジー企業のチームが、疾患の兆候となる可能性のある乳房のしこりや微細な石灰化を特定するAIモデルを開発しました。

 

放射線科医は、エンジニアが臨床ニーズを理解してモデルを改良できるよう支援し、医療の専門知識とAI開発がいかに連携できるかを実証しました。これは、国境を越えた共同研究を支える可能性を秘めたアプローチです。

 

ベトナムと国境を接する広西チワン族自治区は、長年にわたり中国とASEANとの交流の玄関口としての役割を果たしてきました。中国・ASEAN人工知能応用協力センター(China-ASEAN Artificial Intelligence Application Cooperation Center)や防城港国際医学開放試験区(Fangchenggang International Medical Opening-up Pilot Zone)などの取り組みにより、AIや医療分野での協力のさらなる舞台が生まれつつあります。

 

本コンテストは海外の参加者にも門戸を開いており、AI研究を臨床試験や商用化につなげる取り組みの一環となっています。

 

広西チワン族自治区当局が発表した計画によると、同自治区はASEANのパートナーと連携し、国境を越えた臨床検証や実証プロジェクトを通じて、医療画像診断AIをさまざまな医療現場にどのように適応させられるかを模索していこうとしています。

 

こうした協力は、ソフトウエアの移転だけにとどまりません。画像診断装置、医療手順、患者データ、プライバシーに関する規則、規制要件などの違いは、AIシステムを臨床現場に安全に導入できるかどうかに影響を及ぼし得るからです。

 

質の高い医療画像データへのアクセスは、もう1つの重要な要素です。中国では、医療機関間での画像記録の共有や検索を円滑にするため、医療画像クラウドインフラの整備が進められています。適切な安全対策が講じられれば、こうしたインフラはAIの開発や評価にも寄与できるはずです。

 

吉林大学第一病院の放射線科長で、中国放射線医学会の次期会長でもあるZhang Huimao氏は、医療画像データインフラは、臨床診療だけでなく、AIモデルの開発、試験、評価の支えにもなり得ると話しています。

 

とはいえ、コンテストで好成績を収めたからといって、そのAIツールが自動的に病院で使用できるというわけではありません。AIモデルには、さまざまな医療機関、医療機器、患者集団を対象とした臨床検証が求められており、必要に応じて規制当局の承認も得なければなりません。

 

広西チワン族自治区は、本コンテストから生まれた技術の商用化や実用化を支援するため、製品の検証、産業の発展、臨床試験、ASEANのパートナーとの協力を盛り込んだ3カ年行動計画を策定しました。

 

中国とASEANにとって、その潜在的なメリットは技術交流だけにとどまりません。専門の放射線科医へのアクセスが限られている地域では、信頼性の高いAI支援ツールが、医師が疑わしい所見をより迅速に特定し、診断効率を高める一助となり得ます。

 

しかし、AIは医師に取って代わるものではなく、支援するためのものです。医師は臨床判断を下す際、患者の症状や病歴、その他の検査結果を考慮しなければならないからです。

 

本コンテストは、医療画像診断におけるAIの可能性を垣間見せてくれました。有望なアルゴリズムを、国境を越えた病院で活用できる信頼性の高いツールにするには、さらなる検証、適応、そして協力が必要であり、その究極の目標は患者ケアを向上させることにあります。

 

ソース:Guangxi Zhuang Autonomous Region Healthcare Security Administration

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