電通PRと東大橋元研究室がネット選挙に関する共同調査実施

電通PRと東大橋元教授は、首都圏の20歳~59歳を対象に参院選の前後でネット調査を行い、ネット選挙解禁が有権者に与える影響を調査。政党・候補者のネット情報を見た人の57.9%が投票に役立ったと評価。35.1%がその情報をネット上に積極的に拡散。また、テレビは調査対象者全体の53.7%、新聞は35.1%が役立ったと評価。

2013年7月24日

株式会社電通パブリックリレーションズ

電通PRと東大橋元研究室がネット選挙に関する共同調査実施

政党・候補者のネット情報を見た人の58%が評価し、35%が拡散

株式会社電通パブリックリレーションズ(代表取締取役社長執行役員:近見竹彦、本社:東京都中央区、以下 電通PR)と東京大学大学院情報学環の橋元良明教授は、参議院選挙におけるネット選挙解禁が有権者に与える影響について共同調査を実施しました。

今回の調査結果では、選挙期間中にインターネット上で政党・候補者の発信した情報を見た人の57.9%が投票に役立ったと評価しており、35.1%がその情報をネット上に積極的に拡散していました。

 また、選挙期間中にインターネット上で政党・候補者の発信した情報を見た人の77.5%は「政治問題に関心がある」と答え、74.9%が「ネット選挙」解禁を評価していました。

調査対象者全体に対して、利用した情報源がどの程度役だったかを問う質問では、テレビ53.7%、新聞35.1%、選挙公報18.9%、インターネットのポータルサイト・ニュースサイト15.5%、家族・友人・知人からの口コミ11.7%、政党・候補者のネット情報10.6%との結果になりました。

調査対象者全体で選挙期間中にインターネット上で「候補者へのなりすましツイート」を見たという人は2.2%、「なりすましのメール」を見たという人は1.2%、「候補者や政党に関するデマや誹謗中傷」を見たという人は6.1%との結果になりました。

今回の調査結果を踏まえ、東京大学橋元良明教授は「選挙期間中にネット上の政党や候補者の情報を見た人は、情報が役に立ったと感じ、『ネット選挙』解禁を肯定的に評価していることが分かった。これらの人は政治的な関心が高く、積極的にインターネット上で選挙に関する情報の書き込みを行っている。『ネット選挙』解禁によって生まれた、ネット上で情報拡散を行う新しいタイプの有権者に対して、積極的に情報を発信する重要性が増している」と述べています。

 本共同調査では、公示前の2013年6月29日(土)~30日(日)と選挙後の7月21日(日)20時~22日(月)の計2回調査を行いました。同一の調査対象者に対する調査結果を比較することで、インターネットを経由した情報伝達等が、有権者の政党に対する政治的関心の変化や投票行動等に与えた影響について分析を行っています。

以下に今回の調査結果の概要をご紹介させていただきます。

■調査結果概要

1. ネット上の「選挙関連情報」「政党・候補者が発信した情報」への接触状況

調査対象者(首都圏 N=1,523)のうち、選挙期間中にインターネット上で選挙関連の情報を見た人は28.8%(N=1,500)。「選挙期間中にインターネット上で政党・候補者が発信した情報を見た人(A)」は18.3%(N=1,482)。

2. 「ネット選挙」解禁への評価

調査対象者全員の「ネット選挙の解禁」に対する肯定的な評価は59.9%、特に20代が67.5%と評価が高かった。「選挙期間中にインターネット上で政党・候補者が発信した情報を見た人(A)」に限定すると、74.9%(うち20代は80.0%)と高い割合で肯定的に評価していた。

3. 「政党・候補者が発信した情報」への評価と信頼性

調査対象者で「政党・候補者の発信する選挙情報」が「役に立った」という人が10.6%、「選挙期間中にインターネット上で政党・候補者が発信した情報を見た人(A)」に限定すると57.9%。

調査対象者で「政党・候補者の発信する選挙情報」が「信頼できた」という人が10.9%、「選挙期間中にインターネット上で政党・候補者が発信した情報を見た人(A)」に限定すると59.4%だった。

4. テレビへの評価と信頼性

調査対象者で「テレビ」の選挙情報が「役に立った」という人が53.7%、「選挙期間中にインターネット上で政党・候補者が発信した情報を見た人(A)」に限定すると70.8%。調査対象者でテレビの選挙情報が「信頼できた」という人が58.5%、「選挙期間中にインターネット上で政党・候補者が発信した情報を見た人(A)」に限定すると71.9%だった。

5. 新聞への評価と信頼性

調査対象者で「新聞」の選挙情報が「役に立った」という人が35.1%、「選挙期間中にインターネット上で政党・候補者が発信した情報を見た人(A)」に限定すると51.7%。調査対象者で新聞の選挙情報が「信頼できた」という人が38.1%、「選挙期間中にインターネット上で政党・候補者が発信した情報を見た人(A)」に限定すると51.0%だった。

6. 政治関心度

調査対象者で「政治問題に関心がある」という人は54.6%、「選挙期間中にインターネット上で政党・候補者が発信した情報を見た人(A)」に限定すると77.5%とさらに政治的関心が高かった。

7. インターネット上の選挙に関する書き込み状況

「選挙期間中にインターネット上で政党・候補者が発信した情報を見た人(A)」のうち、もっとも多く書き込んだのは、Twitterで30.3%。いずれかに書き込んだ人は35.1%となった。

8. ソーシャルメディアでの政党・候補者へのフォロー状況

調査対象者全体の5.3%、調査対象者中のソーシャルメディア利用者(N=1,021、調査対象者の67.0%)の7.9%がソーシャルメディアで政党・候補者をフォローしていた。「選挙期間中にインターネット上で政党・候補者が発信した情報を見た人(A)(N=271)」に限ると22.9%がソーシャルメディアで政党・候補者をフォローしていた。

9. ソーシャルメディアでの投稿(ツイートなど)状況

ソーシャルメディア利用者(N=1,021)のうち、選挙期間中に選挙についてソーシャルメディアに投稿(ツイートなど)した人の割合は9.3%。「選挙期間中にインターネット上で政党・候補者が発信した情報を見た人(A)」のうちソーシャルメディア利用者に限ると、29.4%がソーシャルメディアに投稿(ツイートなど)していた。

10. ソーシャルメディアでの投稿の引用(シェアやリツイートなど)状況

ソーシャルメディア利用者のうち、選挙期間中に選挙関連の記事や他人の投稿を引用(シェアやリツイートなど)した人は7.6%。「選挙期間中にインターネット上で政党・候補者が発信した情報を見た人(A)」のうちソーシャルメディア利用者に限定すると、26.1%がソーシャルメディアで引用(シェアやリツイートなど)していた。

11. 選挙期間中に「知りたかった情報」

選挙期間中、「知りたかった情報」で最も比率が高かったのは,調査対象者全体では「政党や候補者の公約や主張」で49.2%、その情報に接したのは41.2%、その情報が役に立ったのは35.2%。

「選挙期間中にインターネット上で政党・候補者が発信した情報を見た人(A)」に限定すれば、「知りたかった情報」で最も比率が高かったのは,「政党や候補者の公約や主張」で64.6%、その情報に接したのは60.1%、その情報が役に立ったのは56.5%。

 

12. 選挙期間中の「デマや誹謗中傷」「なりすまし」への接触状況

調査対象者のうち、選挙期間中にインターネット上で「候補者になりすまして発信されたツイート」を見たという人は2.2%、「候補者になりすまして発信されたメール」を見たという人が1.2%。「候補者や政党に関するデマや誹謗中傷」を見た人は6.1%だった。91.8%の人は上記のいずれも目にしなかったと答えた。

13. 調査対象者の投票状況

調査対象者の今回の投票率は70.7%に対し、「選挙期間中にインターネット上で政党・候補者が発信した情報を見た人(A)」は86.2%。

■本調査の趣旨

近年、オンラインメディアやソーシャルメディアの急速な普及に伴い、テレビ・新聞・雑誌・ラジオなどの従来型のマスメディアを起点とする情報波及構造が、大幅に変容しつつあります。

この状況を踏まえ、電通PRでは、日本人の情報行動の研究に取り組んできた東京大学大学院情報学環の橋元良明教授と、メディアの変化が情報波及構造と生活者に与える影響について共同研究を開始しました。本調査はその共同研究の一環として、ネット選挙の解禁が有権者への情報伝達構造と投票行動に及ぼす影響を明らかにするために、実施したものです。

本調査では、インターネットを活用した広報活動や、政党の広報活動を支援している電通PRと、日本人の情報行動に関する知見を持つ橋元良明教授の専門性を活かし、ネット選挙解禁の影響に関する分析に取り組んでおります。

■調査主体について

株式会社電通パブリックリレーションズ

 電通PRは、1961年の創立以来、クライアントとステークホルダーの良好な関係を生み出す戦略パートナーとして、国内外の企業・政府・団体のコミュニケーションをサポートしてきました。ソーシャルメディア、デジタル・マーケティング、イシューマネジメントなどで高い専門性を備えたコンサルタントを含む、総勢228名の社員が、戦略提案からクリエイティブなソリューションの提供までフルラインでサポートしています。

企業幹部・政治家の「パブリックスピーキング力」を鍛える「リーダーシップコミュニケーションプログラム」、企業アカウントの運用開始を強力にサポートする「ソーシャルメディアスターターパック」など多彩なサービスを提供しております。

東京大学大学院情報学環教授 橋元良明氏

東京大学大学院情報学環教授。1955年京都市生まれ。1978年東京大学文学部心理学科、1982年同大学大学院社会学研究科修士課程修了。コミュニケーション論、社会心理学専攻。

一貫して、日本のコミュニケーション状況、メディア環境の変化を実証的に探求している。

著書・論文に『背理のコミュニケーション』(勁草書房)、『コミュニケーション学への招待』(編著、大修館書店)、『ネットワーク社会』(編著、ミネルヴァ書房)、『メディア・コミュニケーション学』(編著、大修館書店)、『ネオ・デジタルネイティブの誕生』(ダイヤモンド社)、『メディアと日本人』(岩波書店)等多数。

■調査概要

・調査主体:電通パブリックリレーションズ/東京大学大学院情報学環 橋元良明教授

・調査手法:インターネット調査

・調査対象:男女、20歳~59歳、1,523名

・対象地域 : 首都圏(1都6県)

・調査実施時期: 第1回調査(公示前)2013年6月29日(土)~30日(日)

         第2回調査(選挙後)2013年7月21日(日)20時~22日(月)

※第1回調査、第2回調査とも同一の対象者に対して情報伝達経路及び、政治的関心の変化、投票行動等の調査を行いました。

<お願い>

本調査内容を転載・引用する場合、転載者・引用者の責任で行うとともに、弊社の調査結果である旨を明示してください。

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