医師が教える“夏バテ”防止法
20150827
教えて!「かくれ脱水」委員会
夏から秋に移行する、今こそ要注意!
盛夏に繰り返した『熱バテ』がきっかけに…
医師が教える“夏バテ”防止法
お盆を過ぎた頃になると、胃腸の調子が低下し、何となくカラダがだるい、やる気が湧かない日々が続くことがあります。夏バテです。一般的には、高温多湿な気候が続いたときに起こる体調不良の総称を夏バテと呼びますが、夏バテを予防するには、実は夏の間の脱水ケアが大切。夏バテの原因を理解して、辛い残暑にサヨナラするためのノウハウを、教えて!「かくれ脱水」委員会・服部委員長に聞きました。
服部益治(はっとり・ますじ)
教えて!「かくれ脱水」委員会 委員長
兵庫医科大学小児科学教授 医学博士
日本小児科学会 (専門医)、日本小児保健協会(理事)、日本腎臓学会 (指導医・専門医)、兵庫県小児科医会 (理事)、日本夜尿症学会(常任理事)、日本小児科連絡協議会「自動車乗車中の子どもの安全推進合同委員会」(委員長)など。著書に、『腎・泌尿器疾患診療マニュアル(共著)』(日本医師会)、『腎臓病の食事指導ハンドブック(共著)』(南江堂)、『保健医療ソーシャルワーク実践(共著)』(中央法規出版)、『子どもの臨床検査~脱水(共著)』(診断と治療社)など
◆そもそも夏バテとは
夏バテとは、暑気中り(しょきあたり)、暑さ負け、夏負けなどともいわれ、夏の暑さや多湿が続くことに影響を受けて起こるカラダの変調を指していいます。症状の現れ方もさまざまですが、主に食欲不振、全身の倦怠感やだるさ、入眠困難や気力の喪失などがあげられています。その原因は、自律神経のアンバランスによる胃腸機能の低下や、食生活の乱れからの栄養不足、盛夏のうちの熱中症Ⅰ度の経験からくるカラダの回復不足、そして残暑の脱水傾向(かくれ脱水)などが考えられます。
わたしたちのカラダは、自律神経の働きで、暑さを感じると汗をかいてカラダの外へ熱を逃がし体温を調節しています。しかし、現代の生活は、暑さと湿度が増すばかりの屋外と、エアコンを効かせた室内との出入りを繰り返す、温度変化の激しい環境下でおこなわれています。毎日のように続く高温多湿(30℃以上の高い暑さと、60%以上の湿度が高い状況)に加えて、この生活環境で脱水傾向(かくれ脱水)が続くと、自律神経のバランスが崩れやすく、その結果、入眠困難やだるさが起こるのです。
◆「熱バテ」が夏バテにつながっていく
熱中症の初期、分類でいうとⅠ度は、ぼーっとし、こむら返りや、軽いめまいなどの症状があります。実は気づかないだけで、誰でも、ひと夏に1~2回経験しているものです。私は、Ⅰ度の症状や、その症状が現れるちょっと前「かくれ脱水」の状態での軽いダルさを「熱バテ」と呼んでいるのですが、「熱バテ」を感じた人は、夏バテへのボディブローが効いている。Ⅰ度の繰り返しが夏バテにつながるといってもいいのです。
◆夏バテの適切な対策とは
都度、脱水状態を経口補水液などで対処し、しっかり回復していないと、夏バテのつながる要素が蓄積します。カラダの回復には、カラダの全身倦怠感を感じる熱中症Ⅱ度だと、2~4週間が必要です。Ⅰ度程度の熱中症でも、1~2週間程度は無理をしないほうがいいと思います。夏バテにならないための日常的な対策には、十分な睡眠と規則正しい生活、そしてバランスよい食事が第一。3食をバランスよくきちんと食べて、食事の中から栄養素とともに水分や塩分などのミネラル(電解質)を摂り、よく眠り、しっかり休む。とくにお盆過ぎには、カラダに夏バテの要因が溜まっていますから、冷たい飲料や食事を避けるようにしてください。そのうえで、夏バテには脱水傾向も隠れています。盛夏を過ぎても、できるだけこまめに水分や少量の塩分を補給することで脱水を回避し、自律神経バランスを維持しましょう。
◆夏の間から心がけたい夏バテ予防法
夏バテは、夏の間、普段の生活で予防できるものです。軽い脱水症や熱中症Ⅰ度の後の対処を正しくおこない、カラダを回復させるための睡眠をとり、規則正しくバランスの取れた食事を摂ることで、夏バテにつながらないカラダでいられることを覚えておきましょう。
〈毎日の夏バテ予防法〉
(盛夏)
・日頃から、昼寝をとれる人は、10~15分程度とる
・軽い脱水状態や熱中症初期(熱バテ)の経口補水液などでの対処の徹底
・上記の経験がある人は、1~2週間は回復に努め無理をしない
・暑い夜は、エアコンを使い快適な睡眠環境で十分な睡眠時間をとる
・冷たい飲み物の過剰摂取を控え、胃腸に負担をかけないように注意する
(晩夏)
・お盆を過ぎたら冷たい飲料や食事を控える
・バランスのいい食事で、栄養をとり、水分や電解質を摂る
・しっかり睡眠をとる
・のどの渇きを感じる前のこまめな水分補給
・入浴前か後にコップ1杯~2杯の常温水を飲む
・オフィスや外出先では、温度の変化に備えて上着を1枚用意
・自律神経へ負担がかからないように注意する
◆夏バテになったときの、正しいセルフケア
夏バテは、日常生活を脅かすほどの症状になることはありませんが、そのまま放置し、悪化した場合は慢性疲労につながることがあります。夏バテ気味だと感じたときは、下記のリストを参考に夏バテへの対策をおこなってください。
〈夏バテを感じた時のセルフケア〉
・十分な睡眠時間を確保し、疲労回復を心がける
・冷房の設定温度を室温が27~28度となるように設定し、暑い時には湿度を下げるようにして、冷やし過ぎに注意する
・汗をかいたらスポーツドリンクなどでこまめな水分、ミネラルなどの補給を
・豚肉やウナギなどのビタミンB群のほか、緑黄色野菜やフルーツなどのビタミンC を含む食材を摂る
・夏野菜を十分に摂って、水分、ミネラルおよびビタミンを補給する
・1日三食、できるだけ決まった時間に食事を摂る。またよく噛んで消化を促進する
・38~40度のぬるめのお湯にゆっくり浸かってリラックス。自律神経の働きを整える
*尚、睡眠・食事・自律神経、そして脱水の対策をおこなっても「夏バテ」 症状が続く場合は、病気が潜んでいる場合もありますので、医療機関へご相談ください。
教えて!「かくれ脱水」委員会のWEBサイト「かくれ脱水JOURNAL」にて公開しています。http://www.kakuredassui.jp/column1
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 教えて!「かくれ脱水」委員会
- 所在地 東京都
- 業種 各種団体
- URL http://kakuredassui.jp
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