コロナ禍2年目…マスク熱中症だけじゃない! 熱中症リスク、回避のポイントは“筋肉”

春からの「暑熱馴化」を目指す 「運動の『サンミツ』とは?」

 

 

 新型コロナウイルス感染症対策のため長く続く自粛生活は、高齢者だけでなく、中年層にまでアクティビティの低下を強いる結果となっています。

 

アクティビティの低下は筋肉の質と量の低下につながります。筋肉の量が少なくなると、体内の水分貯蔵量に影響を来し、脱水症・熱中症のリスクを増やし兼ねません。コロナ禍以前にアクティブに行動していた人こそ、より大きなリスクがあります。

 

今話題のロコモティブシンドロームにも関係し、今私たちが直面している脱水・熱中症リスクと、その予防法について、教えて!「かくれ脱水」委員会の富和清訓先生に聞きました。

 

 

【監修】

 

教えて!「かくれ脱水」委員会 委員医師 

南奈良総合医療センター・整形外科

富和清訓(とみわ・きよのり)先生

1981年6月10日 奈良県生まれ。岩手医科大学 医学部医学科卒。日本整形外科学会・専門医 ロコモアドバイスドクター 日本DMAT医師 日本スポーツ協会公認スポーツドクター 国際自転車競技連合エリートナショナルコミセール(ロード競技審判員) バイシクルジャパン編集委員 著書「こちらドクターカー」(ライジング出版)

 

 

 

身体の水分を貯蔵する臓器、筋肉

自粛期間でのアクティビティの低下は、筋力や筋肉量の低下に大きな影響を来すと考えられます。実は筋肉組織は身体の水分貯蔵庫でもあり、全身の水分のうち筋肉組織に実に43.4%の水分を貯蔵しています1)。

筋肉組織の76%は水分である1)一方で、脂肪組織では15%であり2)、いかに筋肉組織が水分の貯蔵庫になっているかが分かります。

 

筋肉組織と脱水には密接な関係があります。脱水状態になると、血管内の水分は減少しそれを補うため、細胞内から水分が血管内に移動するよう促します。しかし筋肉量が減っているということは、全身の水分の予備備蓄量が低下していることになるので、脱水症への進行が早まり、重篤化につながるおそれもあります。

 

 

筋力低下で血流の循環障害を来し、全身の冷却機能にも弊害が

筋肉が痩せてしまうと、水分貯蔵量が少なくなるだけでなく、静脈を通じて心臓に戻る血液の勢い(筋ポンプ作用)が弱くなり、特に脚のむくみの原因になり、末梢の循環機能の低下を招きますその結果、冷却(放熱)の効率が低下して、熱中症リスクを上げてしまいます。脚がむくみやすい人は、脱水症・熱中症になるリスクが上昇している状態と考えられます。

昨今の自粛期間のように、活動自体が少ない期間が長いと、筋力の低下は知らず知らずに進むことになります。この一年、ほとんど運動をせず体重が増えている人は、水分の貯蔵庫である筋肉の量が減って、水分をあまり含まない脂肪が増えた状態になっているかもしれません。

日常のアクティビティが低下しているのに体重が変わらない人は筋肉量が減少した一方で脂肪が増えたかもしれません。実は海外では巣(す)籠(ごもり)による体重増加を意味するQuarantine15(Quarantine(クアランティーン):防疫隔離)という新種のパンデミックが起こっているという報告があります。これは大学に入った新入生の体重が15ポンド (約6.8kg)増えるという Freshman15(Freshman(フレッシマン):新入生)のパロディです。巣籠で運動しなければ脂肪が増えて体重増加というのは想像できますね。自粛以前の身体と比較すれば、格段に脱水症・熱中症になりやすくなってしまっている可能性もあります。

 

 

ロコモティブシンドロームを避けて、早め・強めのエクササイズで暑熱馴化を!

高齢者の割合がさらに上昇しつつある昨今、要支援、要介護になる原因の第一位は、運動器(身体運動に関わる骨、筋肉、関節、神経など)の機能低下

コロナ禍の一年間にアクティビティの制限をしてきた結果として、ロコモティブシンドローム(ロコモ)=運動器症候群(運動器の障害による移動機能の低下した状態)のリスクが増大していることも危惧されます。

暖かくなり、 コロナ禍(が) も少し 落ち着きを見せる頃に、いざ動き出そうとした時、ガクンと運動機能の低下に気づくかもしれません。アクティビティの低下した状態だからこそ、今年は春先、早めの暑熱馴化をする必要があります。また、暑熱馴化のためのアクションは、運動器の機能低下の予防にも役立つはずです。

 

暑熱順化とは

日本の夏のような高温多湿の環境で、体温調節を行う機能である汗を上手にかける身体に馴らしておく準備のことです。身体に熱がこもることから起こる熱中症を防ぐために、春のうちに是非取り組んでおきましょう。

 

暑熱順化のポイント

 

・やや暑い環境

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・ややきつい運動を2週間程度行う

 

暑熱順化をするためには?

 

方法としては、暑くなる前に、「やや暑い環境」で、「ややきつい」運動をおこなうこと。1日30分を2週間程度行うと、身体が暑さに慣れてくると言われています。

(参照:環境省 熱中症環境保健マニュアル2018)

 

 

脱水やロコモから身体を守る基本、「3・3・30」を習慣に

その暑熱馴化のために、今年は少し早めの春の時期に、筋力をアップさせることを意識したエクササイズを行うことをおすすめします。運動の強度は、18歳から64歳の大人で、3METs(メッツ)以上、息が弾み汗をかく程度の運動が目安。

 

METs(メッツ)とは、運動強度の単位で、安静時(横になったり座って楽にしている状態)を1として、その何倍のエネルギーを消費するか示した活動強度の指標です。

おススメは「ラジオ体操」。誰でもすぐに始められるラジオ体操は、しっかりやればかなりの運動になるのです。ちなみに第一は、4.0メッツ、第二が4.5メッツとされています。天気の良い日は、屋外で行うと日差しを浴びることで、より暑熱馴化に役立つと考えられます。

 

また、ロコモティブシンドロームの予防としても、強度3メッツ以上の運動を30分間、週に2回程度行う運動習慣が推奨されています。週に2回というのを思い出しやすく「3日に1回」とすれば、『3メッツ、3日、30分』と3が3つ並びます。まさに脱水予防のための運動の『サンミツ』ですね。

是非、この運動のサンミツ:「3メッツ、3日に1回、30分」を習慣にしてください。

 

出典:厚生労働省 健康づくりのための身体活動基準2013

 

 

運動後は筋肉を作るタンパク質を。脱水に気づかぬまま(かくれ脱水)で運動しないよう注意

 

運動で頑張った分は栄養補給も大切で、特に筋肉の源になるたんぱく質を多く含んだ食べ物をその後の食事や補給で摂取するように心掛けましょう。

もちろん、汗をかくので運動前後の水分補給もお忘れなく。きちんと食事を3食を 摂り、運動後には水分補給を。大量の汗をかいた時は、経口補水液がおすすめです。

 

 

 

<参考>運動の強度例:健康づくりのための運動基準2006 改定のためのシステマティックレビュー

 

 

<出典>

1) 吉川春寿 水と人体生理 体内の水分と水の機能 : 空気調和・衛生工学 1979 53 (7) p617-622.

2) W. I. Moese and J. S. Soeldner. The Non-adipose Body Mass of Obese Women : Evidence of Increased Muscularity : Canadian Medical Association Journal 1964 90 (12) p723-725. 

 

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