日本初!天理市で認知症予防のSIB事業

KUMON

株式会社公文教育研究会の提供する「脳の健康教室」が、認知症予防分野で日本初となるSIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)事業として、奈良県天理市で採用。10月29日開催の「学習療法 実践研究シンポジウムin名古屋」では、本事業の評価を行う慶應義塾大学大学院の伊藤 健特任講師に中間報告をしていただきます。

2017年10月26日

株式会社公文教育研究会

日本初!天理市で認知症予防のSIB事業

~公文教育研究会の認知症予防プログラムを採用~

株式会社公文教育研究会[本社 大阪市;代表取締役社長 池上 秀徳]の提供する「脳の健康教室」が、認知症予防分野で日本初となるSIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)事業として、奈良県天理市で採用されています。年々増加する社会保障費を抑えるため、天理市の取り組みを先行事例として、今後は全国に広めていく予定です。

2017年10月29日(日)に開催する「学習療法 実践研究シンポジウムin名古屋」では、本事業の評価を行う慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科の伊藤 健特任講師に、中間報告をしていただきます。

【事業概要】

①事業内容:20名の参加者を対象に、成果連動型支払いで「脳の健康教室」を実施

②「脳の健康教室」の実施会場

 天理市立メディカルセンター(奈良県天理市富堂町300–11)

③開講期間:2017年7月6日(木)~12月21日(木)の間、毎週木曜日10:00~11:30

④参加者数:20名(1限目10名、2限目10名)

⑤教室運営形態:教室サポーター 5名と天理市職員 1名

⑥天理市、慶應義塾大学、公文教育研究会(以下、「KUMON」)の役割分担 

天理市 

・会場手配

・保健師等による評価のサポート(MMSE*測定等) 

・成果に応じた報酬の支払い

慶應義塾大学 

・成果連動型支払いの導入支援

・評価指標の設計

・中間評価の実施 ・最終評価の実施と、行政への報告

・最終報告書の作成

KUMON 

・資金提供

・教室の運営支援 

・成果に応じた報酬の受け取り

⑦成果指標・報酬

ストラクチャー指標、プロセス指標の確認と、アウトカム指標の達成をもって天理市からKUMONに対し、成果報酬が支払われます。

<ストラクチャー指標> 

 ・教室サポーター全員の研修受講修了

 ・全ての回に参加者20名に対し、5名以上の教室サポーターの出席

<プロセス指標>

 ・教室開講回数22回以上

 ・参加者の8割以上が、教室開講回数の8割以上教室に出席

<アウトカム指標> 

 ・MMSE*の改善(開講前に26点以下だった参加者の8割以上が改善)

*MMSE … 認知能力や記憶能力を簡便に検査するもので、11の検査項目で30点満点。22~26点で軽度認知障害(MCI)の疑いあり、22点未満で認知症などの認知障害の可能性が高いと判断されます。

⑧成果連動型支払い

本来自治体が実施する脳の健康教室を、今回は成果連動型支払いでの実施に置き換え、成果達成の場合には、教室サポーターへのインセンティブも支払う仕組みで実施しています。

<成果達成の場合> 天理市がKUMONに26万円を支払う

※成果報酬として支払われる26万円の内訳

事業費(教室サポーター謝礼、研修費、事務用品費)22万円、KUMONへの成果報酬 2万円、教室サポーターの成果報酬 2万円

【天理市における認知症予防のSIB事業】

1. 「脳の健康教室」がSIB事業として採用されたきっかけ

経済産業省採択の平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業の「成果報酬型ソーシャル・インパクト・ボンド構築推進事業」にご協力いただいた奈良県天理市に、慶應義塾大学とKUMONが、認知症予防の「脳の健康教室」をSIB事業として導入することを提案したところ、SIBの社会的意義を感じていた天理市が実施を決定しました。

2. 中間評価の結果

「脳の健康教室」を開講する前、MMSEスコアでMCI疑い/認知症疑いの参加者が20名中9名いました。しかし、2017年7月~9月の3か月間実施した結果、全員のMMSEスコアが改善し、うち4名が健常域である27点以上に改善しました。

3. 公文教育研究会が描く、来年度以降の実施イメージ

地域住民から出資を募る市民ファンドを組成し、多くの住民が認知症予防に関心を持ち、地域づくりを促進できる仕組みを検討する予定です。

【10/29(日)名古屋にて中間報告を実施!】

「学習療法 実践研究シンポジウムin名古屋」 全体会

日時 2017年10月29日(日)14:00~16:30

会場 名古屋国際会議場(愛知県名古屋市熱田区)

プログラムの一例

◆奈良県天理市でのSIB実践報告

・天理市の並河 健市長より、今回の事業実施の経緯

・事業評価を実施する慶應義塾大学大学院の伊藤 健特任講師より、9月時点の中間報告、脳の健康教室の社会的便益、地域包括ケアシステム構築への貢献の可能性

ご参考

◎SIB (ソーシャル・インパクト・ボンド)

2010年にイギリスで開発された官民連携の社会的投資モデル。社会的課題を解決するサービスに、投資家が資金を提供してプログラムを実施し、削減された財政支出など、事業成果に応じて、自治体等が投資家へ成果報酬を支払う仕組み。日本では兵庫県神戸市の人工透析予防事業や東京都八王子市の大腸がん検診受診率向上事業において導入されている。

◎脳の健康教室

東北大学・川島隆太教授、福岡県の社会福祉法人・道海永寿会、KUMONによる共同研究で、認知症高齢者の脳機能の維持・改善に効果があることが科学的に実証された非薬物療法「学習療法」を応用して開発された認知症予防サービスプログラム。2016年度41都道府県 約230市区町村 約460教室で開講。主に自治体、NPO法人などが主催者となり、教室運営は、地域のボランティアなどが担っている。

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プレスリリース添付画像

天理市SIB事業参加者のMMSEスコア分布の変化

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