タンパク質やアミノ酸の食事が末梢臓器の体内時計を同調させる 肥満防止や糖尿病治療への貢献に期待
早稲田大学理工学術院の柴田重信教授と池田祐子一貫制博士課程5年生らの研究グループは、体内時計の食事による同調において新規なメカニズムを発見しました。
2018年2月2日
早稲田大学
タンパク質やアミノ酸の食事が末梢臓器の体内時計を同調させる
肥満防止や糖尿病治療への貢献に期待
早稲田大学理工学術院の柴田重信(しばたしげのぶ)教授と池田祐子(いけだゆうこ)一貫制博士課程5年生らの研究グループは、体内時計の食事による同調において新規なメカニズムを発見しました。
体内時計と食・栄養との関係を調べる「時間栄養学」や体内時計と薬の関係を調べる「時間薬理学」など、体内時計の健康科学が発展してきたことから(参考文献)、2017年のノーベル医学・生理学賞は、「体内時計」の分野に授与されました。したがって、時間栄養学の学問的な価値が益々高まってきています。すなわち食・栄養の適切な摂取タイミングが体内時計を同調させ、生活リズム維持に重要であることが分かってきています。
従来、食事性の同調には炭水化物―インスリンが、必須のシグナル系であると考えられていましたが、本研究グループは、正常なマウスを用いて、タンパク質が豊富な食事は新規なIGF-1やグルカゴンのシグナル系を使い、食事性同調を引き起こすことを見出しました。ヒトの肥満防止や糖尿病治療には低炭水化物食が好まれていますが、この場合でも、インスリンに代わってIGF-1のシグナルで食事性同調を作りだすことが出来る可能性を提示しています。さらに、安価なアミノ酸であるシステインでも十分に食事性同調を引き起こせることを発見しました。将来的に低炭水化物食に添加するなど、糖尿病の新規な食事療法の選択肢になる可能性が示唆されます。
本研究は、食事内容や食事療法が必要な糖尿病などにおいては、従来と異なった同調系シグナルが有効であるという、ヒトや医療に応用できる発見を成し遂げました。
本研究成果は、Cell PressグループとLancetグループが共同運営するオープンアクセス誌『EBioMedicine』オンライン版に2018年1月21日に掲載されました。さらに、2月号の表紙の候補にもなっており、本研究内容を解説したcommentaryも掲載されました。
早稲田大学ウェブサイト
https://www.waseda.jp/top/news/57000
掲載論文
http://www.ebiomedicine.com/article/S2352-3964(18)30015-X/fulltext
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