~大分大学医学部と日田天領水が共同研究~

日田天領水

株式会社日田天領水

~大分大学医学部と日田天領水が共同研究~

「日田天領水」に抗肥満などの体調改善効果を確認

天然ミネラルウォーター長期飲料によるマウス実験の結果を国際誌に掲載

株式会社日田天領水(本社:大分県日田市中ノ島町647,代表取締役:石井 嘉英,以下日田天領水)は、大分大学医学部消化器・小児外科学講座(猪股 雅史 教授)と共同で、天然ミネラルウォーター「日田天領水」を長期飲用した場合の腸内細菌叢(マイクロビオータ)の変化、体調改善効果の研究を行い、その検証結果を医療分野の国際誌「Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine」(英国HINDAWI PUBLISHING CORPORATION社)に掲載いたしました。

これまでの実験用動物(ラットおよびマウス)をもちいた研究から、「日田天領水」の6ヶ月間の長期飲用で、抗不安効果(恐怖心の減弱)や抗酸化効果(活性酸素種の減少)「以上ラットを用いた研究(文献1)」や、6ヶ月間の長期飲用で、腸内細菌叢の変化(クロストリジウム科の減少とラクトバシラス科の増加)と抗メタボ効果(内臓脂肪の減少)「以上、マウスを用いた研究(文献2)」をもたらすなど、体調改善効果が期待できることが実証されました。

大分県の日田盆地から採水される「日田天領水」は、pH8.3と弱アルカリ性で、高濃度のケイ酸、ナトリウム、カリウム、炭酸水素塩を含有しています。今回の共同研究では、こうした「日田天領水」の特徴が生物にどのような影響を与えるのかについて、大分大学医学部精神神経医学講座、消化器・小児外科学講座等にご協力いただきながら検証いたしました。今回の検証結果を踏まえて、引き続き天然ミネラルウォーターの長期飲用が与える生物学的影響・効果を検証することによって、「日田天領水」をご愛用のお客様の暮らしをより豊かにできるのではないかと考えております。

今後の取り組みに、ぜひご期待ください。

文献1. Natural reduced water suppressed anxiety and protected the heightened oxidative stress in rats. Masuda K, Tanaka Y, Kanehisa M, Ninomiya T, Inoue A, Higuma H, Kawashima C, Nakanishi M, Okamoto K, Akiyoshi J. Neuropsychiatric Disease and Treatment. 2017. Sep 8;13:2357-2362. doi: 10.2147/NDT.S138289

文献2. Long-Term Potable Effects of Alkalescent Mineral Water on Intestinal Microbiota Shift and Physical Conditioning. Yahiro T, Hara T, Matsumoto T, Ikebe E, Fife-Koshinomi N, Xu Z, Hiratsuka T, Iha H, Inomata M. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine. 2019; Volume 2019, Article ID 2710587, doi.org/10.1155/2019/2710587.

日田天領水の長期飲用による腸内細菌叢ラクトバシラス科の増加と生理学的効果(文献2の概要)

■文献2・研究の概要

研究参加者:大分大学医学部 消化器・小児外科学講座(猪股 雅史氏)

株式会社日田天領水(石井 嘉時)

実施期間:2016年4月~2019年3月

実施場所:大分大学 全学研究推進機構 動物実験部門(アニマルセンター)

※マウスの飼育環境:室温21℃~24℃、湿度30%~60%、12時間ごとに明暗を切替

■文献2・実験方法

大分大学 全学研究推進機構 動物実験部門(アニマルセンター)にて、同センターで使用されている通常の食餌で7週まで飼育したマウスを、2群(当社の天然ミネラルウォーター「日田天領水」と共に飼育する群「天領水群」と、同センターの通常の水道水を飲用する「水道水群」)とに分け6ヶ月間に渡って飼育し、両群の体調について以下に挙げるチェック項目を比較検討しました。

両群の違いを比較する指標として、①体重②飲水量③食餌摂取量(毎週)、④CTスキャンによる体脂肪(皮下脂肪及び内臓脂肪)の測定(毎月)、さらに⑤血液生化学検査では、肥満(中性脂肪)、肝機能(ALP・ALT・AST)を、⑥睾丸周辺部位の脂肪組織を摘出し余分な脂質を熱に変えるUCP-1の抗メタボ効果についてその遺伝子発現量を解析しました。

そして⑤腸内細菌叢の変動については、0・1・3・6か月目の計4回各々のマウスの糞を回収し、次世代シーケンサーによる16Sリボゾーム塩基配列の解読によるメタゲノム解析を実施しました。

ここでは特に重要と思われる腸内細菌叢の変動について詳細にご報告します。

■文献2・実験結果

まず、天領水群と水道水群で上に挙げた①〜④項目を測定した結果、天領水群では有意に食餌量の増加が認められたにもかかわらず、体重の変動は水道水群と変わりませんでした。さらに、天領水群では内臓脂肪の増加が有意に抑えられていたこともCTスキャン解析で分かりました。これらの結果は、日田天領水の長期飲用が体内環境に何らかの変化を及ぼし、抗肥満効果をもたらしていると示唆します。そこでマウスの血液成分の生化学的な解析や脂肪組織の抗メタボ遺伝子であるUCP-1発現量解析を行いましたが、統計的に有意差を得るには至りませんでした(文献2をご参照下さい)。

この謎を解くために、マウスの腸内環境(「腸内細菌叢」と呼ばれる何百種類もの細菌のバランス)を最新技術である次世代シーケンサーを用いて解析することにしました。上述と同様の方法でマウスを二群に分け6ヵ月飼育し、0・1・3・6か月目の計4回各々のマウスの糞を回収し、腸内細菌叢の主要な細菌8科のバランスを定量的に解析しスタート時、「水切り替え直前」と6ヵ月経過後「6ヵ月後」とで比較しました(図1)。天領水群では、乳酸菌などプロバイオティクスを多数含むラクトバシラス科の腸内細菌が増加し(8.6→39.5%)、病原性を持つ種が多いクロストリジウム科が減少(17.0→4.2%)しました。一方水道水群においても同様の傾向は見られましたが(ラクトバシラス科: 8.6→28.0%, クロストリジウム科: 17.0→10.8%)、天領水群は水道水群に較べ明らかに腸内細菌叢の変化を強く誘導することが確認されました。

図1

図1.日田天領水による腸内細菌叢の変動

3週齢のICRマウスに水道水を4週間飲用させた後、天領水群と水道水群とに分け、「水切り替え直前」と表示された飲用前(図左)と、飲用「6ヵ月後」の糞を採集し、次世代シーケンサーを用いて16SリボゾームRNAの配列を解読しました。

■検証結果から推察できること

1)日田天領水を飲用することによって、抗不安効果(鬱になりにくくすること)が期待できる

過去の研究では、過敏性腸症候群などを併発するうつ病患者にビフィズス菌とラクトバシラスを投与すると病状の改善が見られる事(論文1)、うつ状態のマウスではラクトバシラス科の腸内細菌が減少していること(論文2)、などが判明しています(図2)。

一方、大分大学精神科学講座、穐吉准教授と日田天領水の共同研究では、天領水群ラットは恐怖心が軽減し、酸化ストレスの指標と言われる尿中8-OHdGの減少も確認されました(Masuda et al, 2017)。さらに今回、天領水群のマウスでは腸内細菌叢に於けるラクトバシラス科有意な上昇が認められました(Yahiro, Hara, et al., 2019)。つまり、「日田天領水の長期飲用で腸内細菌叢ラクトバシラス科の比率が増加し、抗不安効果が誘導される」ことが、マウス前臨床モデルで実証されました。

図2

図2.腸内細菌叢のラクトバシラスの変化と「抗不安効果」

2)日田天領水を飲用することによって、抗肥満効果(太りにくくすること)が期待できる

過去の研究ででは、腸管周辺の免疫細胞は食事の内容に応じて腸内細菌叢を変化させ、食物の消化・吸収を調節していることが示され、ラクトバシラス科の乳酸菌を投与した実験では、マウスの体重や脂肪増加を抑制する働き(論文3)、糖尿病の改善と抗肥満効果(論文4)がマウスを用いた研究で判明しています(図3)。

今回の実験によって日田天領水の長期飲用による内臓脂肪増加率の抑制と、腸内細菌叢ラクトバシラス科の増加に相関が認められたことから、「日田天領水の長期飲用で腸内細菌叢ラクトバシラス科の比率が増加し、抗肥満効果が誘導される」ことが、マウスの前臨床モデルで実証されました。

図3.腸内細菌叢のラクトバシラスの変化と「抗肥満効果」

■今後の研究の展望

今回の実証研究によって得られた結論をさらに裏付けるために、腸炎のマウスに日田天領水を飲用させることで栄養状態や腸内細菌にどのような変化が生まれるのか、日田天領水を飲用することによってどのような影響・効果が得られるのかについて研究を行ってまいります。

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図1

図2

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