第 35 回「中堅企業経営者『景況感』意識調査」~世界 32 カ国同時調査~ を 発表

2020年1月30日

太陽グラントソントン

・世界32 カ国の平均景況感は 59%* と前回調査と比較し +2 ポイントの微増

・日本の景況感は前回よりさらに1 ポイントとなり世界最下位に留まる

太陽グラントソントンは、2019年下半期(2019年10~11月実施)の非上場企業を中心とする中堅企業経営者の意識調査の結果を公表した。この調査は、グラントソントン加盟主要32カ国で年に2回実施する世界同時調査の一環である。

・世界32カ国の平均景況感は59%*と前回調査と比較し+2ポイントの微増

・日本の景況感は前回よりさらに-1ポイントとなり世界最下位に留まる

■全調査対象国平均は2年ぶりに回復をみせるも、各国の景況感の低水準は依然として変わらず

世界32カ国の中堅企業経営者に対して行った、自国経済の今後一年の見通しに関する2019年下半期の調査結果は、全調査対象国平均では前回の2019年上半期の調査(2019年5月~6月実施)結果から2ポイント増加の59%を記録し、2017年より継続した下降傾向から脱する結果となった。しかしながら、国別にみると、前回比では全32カ国のうち半数を超える17カ国が、前年比では21カ国において景況感の減少を記録し、長期化する米中貿易摩擦や英国のEU離脱など、世界経済の先行き不透明感による各国への影響が垣間見える結果となった。

■日本は引き続き最下位に留まる一方で、中国および米国は回復傾向

日本は前回調査よりさらに1ポイント低下し、前回調査同様に世界最下位だった。一方で、そのほかの主要国を見ると、中国が前回比11ポイント増と大きく好転し、同じくプラスに転じた米国を初めて上回る結果となった。英国は前回比1ポイント減とわずかにマイナスに転じた。

今回の結果について太陽グラントソントン顧問である中村毅夫は次のようにコメントしている。

「今年は中東の地政学リスク顕現化とともに始まった。しかし、エネルギー需給構造の変化の下で中東の原油価格支配力は低下し、もはや世界的ショックを引き起こす要因とはなりそうにない。世界景気を左右するのはやはり引続き米中対立の行方であり、とくに構造的な下方圧力の強まっている中国リスクであろう。年初の世銀の世界経済見通しでは、中国の成長率は5%台へとさらに低下が見込まれており、これは今回の意識調査の結果と対照的である。昨秋習近平主席が「ブロックチェーン技術で世界の先頭を走る」として話題になったIT系先端分野の発展は目覚ましく、関連産業への好影響が広がっているが、どこまで全体を牽引できるかはまだ見えない」。

*景況感について、各国の全回答数のうち「非常に楽観的」または「やや楽観的」と回答した社数の割合を当該国の景況感とする。 (単位:%)

※2019年上半期以前に実施した本調査では、 (楽観的と答えた人のパーセンテージ)-(悲観的と答えた人のパーセンテージ)として算出するバランス統計手法 DI(Diffusion Index)を用いていたが、2019年下半期調査結果およびそれに含まれる2019年上半期以前の数値に関してはDIを使用せず、上記の割合(単位:%)にて統一表記した。

■一部で大幅回復を実現しながらも世界的には低水準

世界32カ国の景況感の平均は、前回比+2ポイントの59%となった。

地域別の平均では、アジア太平洋地域平均は前回比+3ポイントの45%となった。EU加盟国(11カ国)平均では-5ポイントの45%と、ゆるやかながらも継続した減少をみせた。対照的に、BRICs平均では+10ポイントの71%となり、大幅な増加をみせた。

国別では、ベトナムが前回比+5ポイントの82%を記録し第一位に、次いでインドネシアが+2ポイントの78%で第二位と、いずれも前回同様に高水準を維持した。

一方で、前回結果で日本についでワースト2位の景況感を示した韓国は、依然として減少傾向が続き、日本のポイントを僅差で上回るも、前回比-5ポイントの下げ幅を記録し、今回もワースト2位に留まる結果となった。

前回ポイントと比較し大きな回復を見せたのは、ギリシャ(+24ポイント)であった。次いでアラブ首長国連邦、アルゼンチン(+17ポイント)、ブラジル(+15ポイント)、そしてメキシコ(+13ポイント)と続き、中南米の増加が目立った。中国も+10ポイントの74%と大幅回復し、米国を抜き上位4位となった。

また、減少幅が大きかった国として、アイルランド(-21ポイント)、ドイツ(-13ポイント)、オランダ(-11ポイント)、ポーランド(-10ポイント)などが名を連ね、EU圏における二桁下落が顕著であった。

そのほかの地域では、フィリピンが17ポイント減と大幅な減少を記録した。

■今後一年間の自社の見通し:

日本は「販売価格」の大幅減少を筆頭に大半の項目で下降米国は全体的に上昇傾向

今後1年間の自社の見通しについて8つの項目で上昇、下降、変化なしのいずれかを質問し、上昇と回答した数の割合を集計した。

日本は設備投資を除くすべての項目で減少がみられた。特に、販売価格では11ポイント減の19%と他項目と比較して大幅な減少が目立ち、次いで売上高が6ポイント減の36 %に落ち込んだ。

全体的に、日本の中堅企業経営者による自国に対する景況感の見方と、自社の経営見通しに対する認識の連動が見られる結果となった。

対照的に、米国および全調査国平均をみると、ほぼすべての項目で上昇傾向をみせた。日本と米国を比較すると、設備投資や研究開発の項目で20ポイント超の差を示した。

<調査実施期間>

2019年下半期:2019年10月~11月(32カ国)

2019年上半期:2019年5月~6月(33カ国)

2018年下半期:2018年10~11月(35カ国)

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プレスリリース添付画像

日本、中国、米国、英国における景況感の推移

景況感32か国ランキング

売上高、販売価格、輸出、雇用の推移

収益性、新建築物、設備投資、研究開発の推移

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