国語辞典『大辞泉』が選ぶ今年の新語大賞は【三密】に決定! 次点は【コロナ禍】 最多投稿数は【経年美化】
2020年12月1日
株式会社小学館
一般の方々から寄せられた総数1,993本の投稿から選出!
国語辞典『大辞泉』が選んだ「新語大賞2020」を発表!
大賞は【三密】に決定!
次点は【コロナ禍】 最多投稿数は【経年美化】
寄せられた新語のいくつかは『デジタル大辞泉』に収録します。
特別選考委員として明治大学の田中牧郎教授にご参加いただきました。
株式会社 小学館(本社:東京都千代田区)の国語辞典『大辞泉』編集部は、明治大学国際日本学部の田中牧郎教授(大辞泉編集協力者)をお招きし、一般の方々より寄せられた1,993本の投稿の中から「大辞泉が選ぶ新語大賞2020」を選定したことをお知らせいたします。
■「大辞泉が選ぶ新語大賞 2020」はこの言葉に決定いたしました!
大賞 =【三密】
① 密教で、身・口・意の三業。手に印を結ぶ身密、口に真言を唱える口密、心に本尊を観念する意密。
② 感染症の蔓延を防ぐために、人々が避けるべき3つの行動。換気の悪い密閉空間に居ること・多くの人が密集する場所に居ること・近距離での密接した会話をすること。令和2年(2020)、COVID-19流行の際に東京都が提唱した。
次点=【コロナ禍】
新型コロナウイルス感染症の流行によって引き起こされる、さまざまな災い。感染症自体だけでなく、それを抑止するための経済活動の自粛や停滞、人々の疑心暗鬼なども、広く含む。
※【三密】の①は1995年刊の『大辞泉』初版から掲載されている既存語釈です。
※どちらも編集部執筆の正式な語釈で、【三密】②は今年4月に既に、【コロナ渦】は12月に公開予定です。
◆投稿数ベスト10は以下の通りです。
第1位 【経年美化】 356本
第2位 【コロナウイルス】【新型コロナウイルス】 102本
第3位 【コロナ○○】 56本 ○○=禍35、離婚13、太り9
第4位 【自粛警察】 42本
第5位 【三密】 38本
第6位 【オンライン○○】 34本 ○○=飲み会18、会議123
第7位 【ぴえん】 24本
第8位 【アベノマスク】 23本
第9位 【おうち時間】 22本
第10位 【Go To ○○】 17本 ○○=トラベル10、イート4
◆「大辞泉が選ぶ新語大賞」発表ページ http://www.daijisen.jp/shingo/
も、ご参照ください!
■ 特別選考委員・田中牧郎教授による選評
まさに、新型コロナ関連語づくめの1年。ウイルスの名や病名、治療法・医療機器の名や社会現象など、新語でないものも含め、さまざまな言葉が私たちの目に触れました。「大辞泉新語大賞」選考において、まず、その中から選ぶのか、敢えて他からとするのかを迷いましたが、2020年を象徴する語というテーマを考えると、やはり、コロナ関連を外すのはためらわれました。【医療崩壊】【自粛警察】など、ショッキングな言葉の組合わせで耳目を引いた言葉もあります。【オーバーシュート】【ロックダウン】も耳馴れない恐ろしい言葉でしたが、金融用語などとしては既存だったので、純粋な新語とは言い切れません。そんな中【三密】は、小池東京都知事が印象に残る方法で発信したということもあり、一気に拡がりました。これによって、東京のみならず日本人全体の行動変容に一定の成果を収めたのではないかとも感じます。しかし『大辞泉』には、仏教語として既収録の言葉。新語ではなく、新語義としての大賞となります。【コロナ禍】は、今の世界の状況を言い表す言葉で、これを克復しよう、新しい生活様式を見出して、なんとか切り抜けていこうという願いを共有するのに、大事な言葉になっています。その思いへの応援も込めて次点としました。日本語学者としては、【○○禍】が造語成分として今後発展性を持つかどうかも気になるところ。2017年の大賞【インスタ映え】は、その後【TikTok映え】という語に繋がり、【映(ば)える】という独立した言い方も拡がりました。不幸が続くのは困りますが【○○禍】は今後、派生するのでしょうか、注目です。
田中牧郎(たなか・まきろう/明治大学国際日本学部教授)
1962年・島根県生まれ。東北大学文学部・卒業。東北大学大学院文学研究科・修士課程修了。東京工業大学大学院社会理工学研究科・博士課程修了。明治大学国際日本学部・教授。国立国語研究所・客員教授。日本語学会・評議員。日本医学会・用語管理委員。著書は『図解 日本の語彙』(三省堂/共著)。『近代書き言葉はこうしてできた』(岩波書店)。『コーパスと日本語史研究』(ひつじ書房/共著)他。
■「大辞泉が選ぶ新語大賞」とは
「大辞泉が選ぶ新語大賞」は、『大辞泉』が昨年まで実施していたキャンペーン「あなたの言葉を辞書に載せよう。」のスピンオフ企画として2016年にスタートしました。新しい言葉(新語)や今までにない新たな言葉の使い方(新語義)を一般から募集するオンライン参加型キャンペーンです。
毎年たくさんの「新語」が生まれ大きな話題となっていますが、その中に“後世まで残る言葉”は一体いくつあるのでしょうか?本企画では、まだ辞書に載っていない「新語」「新語義」を特設サイトとツイッターから一般の方々より募集。『大辞泉』編集部が“辞書に載る新語”を毎月選定・発表し、さらに年末にはその中から「新語大賞」を選出。実際に『大辞泉』デジタル版に採録し、アプリや電子辞書、「goo辞書」など各種ポータルサイトの公式辞書に掲載、実用化するという画期的な企画です。
○名称:大辞泉が選ぶ新語大賞 2020
○副題:あなたの新語も辞書に載せよう。
○実施概要:キャンペーンサイトの投稿フォームおよびTwitterにて、『大辞泉』に未収録の新語と新語義を広く募集します。『大辞泉』編集部が収録候補となる作品を期間中毎月発表し、12月には「大辞泉が選ぶ新語大賞」を発表。それらの言葉の語釈を、編集部が執筆陣に依頼し、2021年4月の改訂時に『大辞泉』デジタル版で載録します。
○投稿募集期間:2020年5月18日(月)~11月15日(日)
○応募方法:キャンペーンサイトの投稿フォーム、もしくはTwitterからの投稿
○応募先:①キャンペーンサイト http://www.daijisen.jp/shingo/
②Twitterハッシュタグ #大辞泉#新語 をつけて投稿
○賞品:全応募者から抽選で、6月から11月まで毎月30名様に「Amazonギフト券500円
分」をプレゼント(当選者合計180名様)。またその中から「大辞泉が選ぶ新語大
賞」を選定し、投稿された方の中から抽選で「Amazonギフト券1万円分」を1名様
にプレゼントします。※当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます
■ 過去に「大辞泉が選ぶ新語大賞」を受賞した言葉
2019年……大賞【イートイン脱税】 次点【闇営業】【にわかファン】
2018年……大賞【空白恐怖症】 次点【卒婚】【ご飯論法】
■ キャンペーン期間中に毎月選出された「今月の新語」(月間賞)
◆5月◆
【エッセンシャルワーカー】災害時やパンデミック時にも職務の遂行が社会から要請される仕事に就いている人々。
【置き配】コロナウイルスの感染拡大に伴い、宅配事業者の間で広がる直接対面せずに荷物を受け渡す方法。
【後手後手】物事が後手に回っていることを強調した言い方。
【東京アラート】東京都内の新型コロナウイルス感染者が足元で増加し、再拡大の兆候が現れた際に出す警戒情報。
【人狼】市民チームと人狼チームに分かれ、会話をしながら相手の正体を見抜いていくゲーム。
【フェイスシールド】人の顔面を保護する樹脂製などの板。新型コロナウイルス流行時に一般化した。
◆6月◆
【スルースキル】周囲からの批判や不快な言動を聞き流し、無視する能力。鈍感力。
【転売ヤー】需要が高まる商品を買い占め、高額で転売する悪質な転売屋の事。転売屋とバイヤーをかけあわせている。
【夜の街】接待を伴う飲食店やゲームセンターなど深夜営業店が密集する街のこと。
【アンティファ】反ファシスト(アンチ・ファシスト)を意味するドイツ語や英語の短縮形。
【昼カラ】お昼からするカラオケ。または日中に昼食などの飲食とともにカラオケができる店。
【コロナ禍】2019年から全世界で大流行した新型コロナウイルス感染症によって引き起こされた不幸な影響のこと。(投稿された語釈)
【ウィズコロナ】新型コロナウイルスの完全な征圧を目指すのでなく、治療体制を整えつつ、適切なリスク管理を行う社会の在り方。
◆7月◆
【マイナポイント】マイナンバーやキャッシュレス決済の普及促進を目的とする、国の消費活性化策のひとつ。クレジットカードや電子マネー、QRコード決済などのキャッシュレス決済サービスとマイナンバーをひも付け、チャージまたは決済すると25%が還元される。
【夏マスク】夏にも快適に使えるように編み方や特殊加工など工夫し、吸湿性や速乾性、通気性の良い生地を使ったマスク。
【神回】テレビ番組などで、特に面白かった企画や技術的に優れた放送回のこと。バラエティやドラマなどでは展開やストーリーを、アニメではそれに加え作画、声優の演技などを称賛するときに使われる。
【四月病】年度始めでやる気に満ちていて、新しい習い事を始めたり、高い目標を立ててしまったりして、のちに後悔すること。
【エアロゾル感染】細菌やウイルスが付着した粉塵など、空気中を浮遊している微粒子を介した病気の感染。
【コイン○○】名詞の前に付いて硬貨を投入して使用する機械を指す。コインランドリーなど。
◆8月◆
【ブラック・ライブズ・マター】アメリカ合衆国を中心に展開している、黒人の抑圧状態に抗議する運動。
【レジ圧】スーパーマーケットのレジでまごまごしていると、後ろに人がいっぱい。小銭を出そうと思ったけど圧を感じてお札にしてしまう。
【エピセンター】感染症の発生源。
【リベンジ夜ふかし】昼間の時間を有意義に過ごせなかったときに、夜遅くまで寝ずにそのマイナス分を取り戻そうとすること。
【コピーパスタ】インターネットやツイッターなどで、同じフレーズをコピー、ペーストしてあちこちに拡散する行為。特定の個人を攻撃したりプロパカンダを広げたりする目的で使われることが多い。
【置きっぱ】「置きっぱなし」を縮めたもの。
◆9月◆
【経年美化】年月を経るにつれ、人や物の味わいや輝きが増すこと。
【あごマスク】マスクをずらして顎だけに着け、口元が見える状態にしていること。
【隠れ感染】自覚症状が無いために所定の検査を受けずに、感染していながら感染者としてカウントされないこと、またその人。
【マスクマジック】ゲレンデマジックならぬマスクマジック。異性がいつもより美しく見えてしまう現象。
【デジタル庁】菅義偉首相が設立を検討している官庁。国や地方のデジタル政策を一元的に管轄し、各省庁へ命令権を持つ司令塔となる組織。
【がん○○】「がんがん」を略した接頭語。続く言葉を強調する。「がん見」「がん無視」など。
【○○警察】接尾語として、ある事柄についての自身の正義感を乱暴にふりかざす人。
◆10月◆
【ボディポジティブ】痩せた体型=美といった従来の基準から脱却し、ありのままの身体を愛そうというムーブメント。
【チャレンジド】障害者をあらわす英語。チャレンジド・パーソンなどとも。
【魔改造】フィギュアや自動車などで、通常の改造の範疇を大幅に逸脱した改造のこと。
【ゼブラ企業】利益優先の成長ではなく、持続可能性や共存性も大切にする企業。
【ツインデミック】COVID-19とインフルエンザの流行が重なること。
【匂わせ】写真の隅に異性の身体の一部や高級品などを写り込ませ、充実した生活を遠回しにアピールする投稿。
【ロジハラ】正論ばかりを突きつけて、相手を追い詰めるハラスメント。
【性的同意】あらゆる性的な行為を行う前にその行為に対して相手から明確な同意を得ること。
◆11月◆
【前持ち】混雑した電車の中で、リュックサックが周囲の邪魔にならないように、胸の方に持つこと。
【きめハラ】鬼滅の刃を読んでいない人を、遅れているとけなすこと。
【ペトリコール】雨が降った直後に感じられる匂い。
【脱ハンコ】行政改革や働き方改革の一環として、従来から続いてきた押印を廃止すること。
【やらせレビュー】高評価のクチコミを作り上げ、あたかも店や商品に価値があるよう見せかけること。
【セドラー】古物など安く売られている物を購入し、転売して利益を稼ぐこと。「瀬取り」から。
【萌え袖】上着などの袖丈が長く、着ている人の可愛らしさが強調される状態。男女問わず用いられる。
※これらは一般の方によって投稿された語釈ですので、そのまま収録されるのではなく、編集部が新たに執筆陣に依頼し、今後の改訂時に『デジタル大辞泉』のデータとして正式に収録される予定です。【三密】などは既に収録済です。
■『大辞泉』はネット&デジタル時代にマッチした“生きている国語辞典”
新しい言葉の採録に積極的に取り組んでいる“生きている国語辞典”『大辞泉』のデジタル版データは、最新採録語数・約30万7,051語(2020年11月現在)に達し、ネット辞書のなかでもナンバーワン。さらに毎年3回、毎回約2,000語の新語を追加し定期更新しています。
その先進性が評価され、コトバンク、goo辞書など国内主要ポータルサイトの辞書データとして採用されているほか、主要な電子辞書にも搭載されています。デジタル時代にマッチした国語辞典として、今後も日々生まれゆく新しい言葉をキャッチし、立項・アップデートしていきます。
※『大辞泉』公式ウェブサイトでも情報発信しています
“生きている国語辞典”『大辞泉』の知られざる特長、幅広い展開事例、関連する著名人のメッセージ、関連最新ニュースなどをご覧いただけます。『舟を編む』の小説家・三浦しをんさんからの特別メッセージも読めます!
※『大辞泉』公式Twitterでは多くの方々が日々「ことば」について語っています!
『大辞泉』公式Twitterでは、編集部が日々つぶやく「言葉のあれこれ」や「大辞泉クイズ ことばの総泉挙」の関連ネタだけでなく、たくさんの方々が様々な話題でつぶやいています。辞書好き、ことば好きのみなさんがホンネで語るしゃべり場、それが大辞泉公式Twitterです。
https://twitter.com/info_dai_jisen
※『大辞泉クイズ ことばの総泉挙』実施中!一日一問で「言葉の達人」を目指せ!
『大辞泉』公式ウェブサイト内のコーナー「大辞泉クイズ ことばの総泉挙」では、間違いやすい言葉の用例について毎日一問ずつクイズ形式で出題し、みなさんの言葉のセンスと知識に挑戦しています。楽しみながら「言葉の達人」を目指せるこのコーナーに、ぜひ一度遊びに来てください。
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