電通総研と電通、2010年に続き「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」を12か国で実施

消費は「私的満足を優先」の日本・欧米と、「公的意義を優先」の中国・ASEAN

電通グループ

 株式会社電通グループの社内組織である電通総研(所在地:東京都港区、所長:谷 尚樹)と、株式会社電通(本社:東京都港区、社長:五十嵐 博)で海外事業を推進するグローバル・ビジネス・センターは、2021年7月に12か国(日本、ドイツ、イギリス、アメリカ、中国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)を対象に「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」を共同で実施しました。

 

 本調査は、二酸化炭素の排出抑制やプラスチックごみの削減、サステナビリティに対する意識などについて、国ごとの違いとともに、2010年に実施した「サステナブル・ライフスタイル意識調査※1」と比較することを目的に実施しました。主な結果は以下の通りです。

 

112か国比較で見る日本の特徴

(1)【関心のある社会課題】「少子化・高齢化」が上位に入るのは日本のみ。日本は1位「自然災害」57.2%、2位「少子化・高齢化」45.6%、3位「大気汚染」41.6

(2)【リサイクル行動】「エコバッグ」使用率78.8%、「詰め替え商品」購入率67.8%は平均よりも高い

(3)【社会活動の支援】「署名・寄付などの社会活動」に高関与の人は12か国中で最も低い割合の28.0

(4)【社会課題に関心を持つきっかけ】日本は「ニュース・記事」が56.0%、ASEANは「SNS投稿」の方が高い

(5)【サステナビリティのイメージ】欧米同様に「地球環境」51.8%、「循環型社会・サーキュラーエコノミー」29.2%が上位に入る

(6)【2030年のイメージ】日本のみ「不安」34.6%が上位に入る

(7)【経済意識】「今の生活を守ることに精いっぱい」が12か国中で最も高い割合の61.2

 

22010年から2021年にかけての日本の変化

(1)【サステナビリティのイメージ】1位「地球環境」は不動、2位以下は漠然としたイメージから、より具体的な内容へ

(2)【2030年のイメージ】「不安」「デジタル」上位は変わらず、「ゲノム・バイオ技術」「多様性」も上位

(3)【消費意識】日本は「公的な意義」より「私的な満足度を優先」が61.6

 

<調査結果の考察>

 日本は10年前よりサステナビリティのイメージが具体化され、エコバッグ利用や詰め替え商品の購入も一般化しました。しかし、買い物時にはある程度エコを意識する機会がある一方で、環境コスト負担を受け入れ、社会活動を支援する層は一部にとどまり、使用・廃棄まで人びとの意識が行き届いているとは言えません。さらに、次世代につなぐことよりも、今の生活を守ることに精いっぱいという人の割合が高く、このことは日本以外の経済先進国※2においても同様の傾向です。日本の対極にあるのは、インドネシア、フィリピン、ベトナムといったASEANの国々です。社会活動への支援が活発で、公的な意義を優先した消費への意欲をもち、リサイクル行動を実践する人の割合も高い結果となりました。さらに、社会課題に関心を持つきっかけは「SNS投稿」と、ニュース優勢の経済先進国とメディア接触の状況が異なります。ASEANは若年人口構成比率が高く、SNS利用度とサステナビリティ意識の相乗効果が表れているとみられます。

 

 

1.12か国比較で見る日本の特徴 詳細

1)【関心のある社会課題】「少子化・高齢化」が上位に入るのは日本のみ

日本は1位「自然災害」57.2%2位「少子化・高齢化」45.6%3位「大気汚染」41.6%

・イギリス、ドイツ、シンガポールは「海洋プラスチックごみ」、アメリカは「人種差別」「医療制度・設備」、中国、インド、ベトナムは「大気汚染」「水質汚染・水不足」、フィリピン、マレーシア、インドネシア、インドは「公衆衛生」、タイは「失業率」が上位と、関心を寄せる社会課題には大きな地域差が見られた。

 

2)【リサイクル行動】「エコバッグ」使用率78.8%、「詰め替え商品」購入率67.8%は平均よりも高い

・日本は「エコバッグ」使用率がフィリピンに次ぐ2位、「詰め替え商品」購入率はフィリピン、インドネシアに次いで3位となった。

 

・日本はマイボトルや食べ残しの持ち帰りなど、外出時の飲食機会における意識が低い。

・マイボトルの使用は、日本以外の国では半数を超えている。

・中国、フィリピン、アメリカでは、外食時の食べ残し持ち帰りが6~7割に浸透している。

 

 

・日本は不用品を手放す際にリサイクルや寄付を利用する割合が、他国に比べて低い。

・インドネシアとベトナムが「衣料品やおもちゃを、店舗の回収ボックスにもっていく」割合の同率トップで、「不用品・本を寄付や中古買取してもらう」ではイギリスがトップ。ベトナムは両項目とも割合が高い。

 

3)【社会活動の支援】「署名・寄付などの社会活動」に高関与の人は12か国中で最も低い割合の28.0

・インドネシア、フィリピン、ベトナムは約8割が「社会活動」※3の高関与者(イベントを企画するリーダー + 参加するメンバー + 情報を広げるサポーターのいずれかを選んだ人の合計)となり、高関与者が半数に満たないイギリス、ドイツ、日本と比べて、社会活動が可視化されやすい地域といえる。

 

 

4)【社会課題に関心を持つきっかけ】日本は「ニュース・記事」が56.0%、ASEANは「SNS投稿」の方が高い

・日本と同様にイギリス、中国、ドイツでは「ニュース・記事」が「SNS投稿」を上回る。

・ASEANでは「SNS投稿」が「ニュース・記事」を上回り、前項(3)で述べた社会活動の高関与者の多さとの関連をここでも確認することができる。

・情報源に関する自由回答では、日本ではニュース(番組、サイト、アプリ)が中心で、SNSはTwitterが上位。

 

 

5)【サステナビリティのイメージ】欧米同様に「地球環境」51.8%、「循環型社会・サーキュラーエコノミー」29.2%が上位に入る

・イギリスとドイツでは「責任・義務」も上位。

・アジア諸国では「発展」「技術的進歩」など技術・産業成長も「サステナビリティ」として連想されている。

 

 

6)【2030年のイメージ】日本のみ「不安」34.6%が上位に入る

・「デジタル」「技術進歩」「発展」「グローバル」が国を問わず上位。

・サステナビリティで聴取した場合よりも、技術・産業成長についてのイメージが強い。

 

 

7)【経済意識】「今の生活を守ることに精いっぱい」が12か国で最も高い割合の61.2

・日本は半数が「環境税などのコスト負担を許容できる」と回答。また、次世代につなぐより、「今の生活を守ることに精いっぱいだ」では日本がトップの割合。シンガポールとアメリカでも同傾向が見られる。

・ベトナム、インドネシア、中国は、「環境税などのコスト負担を許容できる」が7~8割と高く、さらに「今の生活を守ることに精いっぱいだ」よりも、「次世代につなぐためにできることをしている」の割合が高い。

ベ 

 

2.2010年から2021年にかけての日本の変化 詳細

 

1)【サステナビリティのイメージ】

1位「地球環境」は不動、2位以下は漠然としたイメージから、より具体的な内容へ

・10年前は「つながり・関係性」「責任・義務」「子供・次世代」「忍耐」など、次の時代に期待する漠然としたイメージの言葉が上位であったが、2021年では「循環型社会・サーキュラーエコノミー」「社会的影響」「多様性」など、より具体的で現実的な、現在進行形の社会課題という認識に変わった。

 

2)【2030年のイメージ】

「不安」「デジタル」上位は変わらず、「ゲノム・バイオ技術」「多様性」も上位

・10年前は「崩壊」「遠い」など漠然とした負のイメージの言葉が上位であったが、2021年では「多様性」「ゲノム・バイオ技術」が上位となり、より具体的で現在と地続きの未来という認識に変わった。

 

 

3)【消費意識】日本は「公的な意義」より「私的な満足度を優先」が61.6%

・日本では消費は「私的な満足度を優先」の割合が高まり、「公的な意義を優先」が減少した。

・ドイツ、イギリス、アメリカ※4と、日本、シンガポールの経済先進国は、「私的な満足度を優先」  

が約6割。

・日本とシンガポールを除くアジア諸国では「公的な意義を優先」が多数派で、かつその割合が増え 

た。

 

<調査概要>

タイトル:「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」

調査手法:インターネット調査

実施主体:株式会社電通、電通総研

調査時期:2021年7月8日~20日

対象国:12か国(日本、ドイツ、イギリス、アメリカ、中国、インド 、インドネシア、

マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

サンプル数:4,800ss

対象条件:18~69歳男女500ss、ASEAN 6か国は18~44歳男女300ss

日本500ss、ドイツ500ss、イギリス500ss、アメリカ500ss、中国500ss、インド500ss、

インドネシア300ss、マレーシア300ss、フィリピン300ss、シンガポール300ss、

タイ300ss、ベトナム300ss

 

 

※1「サステナブル・ライフスタイル意識調査」 2010年3月~11月実施。

https://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2011064-0607.pdf

※2 本調査での「経済先進国」の定義は国際通貨基金(IMF)が2017年に発表した「経済先進国」に準じ、日本、ドイツ、イギリス、アメリカ、シンガポールが該当する。

※3「社会活動についてあなたに最もあてはまるものを1つ選ぶ」という設問で、社会活動に関する寄付・署名などのイベント企画者をリーダー、参加者をメンバー、情報を広める人をサポーター、情報を積極的に受け取る人をフォロワー、情報に興味がない人を無関心、活動に反対する人を反対者の6つの選択肢で聴取。なお「社会活動は、気候変動問題や社会的不平等の是正に向けて、人々に働きかけていく活動」という注釈を入れ提示。

※4 ドイツ、イギリス、アメリカは2010年調査では未聴取。その他の国では、調査年によってサンプル数は異なるが、性年代比率を2010年、2021年調査で比較できるようにしている。

 

                                            以 上

 

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