てんねんD&I展 トークイベントレポート

パラカヌー 瀬立モニカ選手×写真家 越智貴雄×沖縄県 大宜味村民

10月12日

                                   一般社団法人 カンパラプレス

【パラスポーツが巻き起こす、てんねん物のD&I(ダイバーシティー&インクルージョン)ってなんだろう?】

 

一般社団法人 カンパラプレス(東京都中央区築地)は、2021年10月9日(土)に大阪芸術大学スカイキャンパス(あべのハルカス24階)にて、パラカヌー 瀬立モニカ選手(以下、瀬立選手)、写真家 越智貴雄氏(以下、越智氏)をゲストに、『てんねんD&I展トークイベント 【パラスポーツが巻き起こす、てんねん物のD&I(ダイバーシティー&インクルージョン)ってなんだろう?】』を開催しました。

本トークイベントには、写真展の被写体となった、東京2020パラリンピック(以下、パラリンピック)カヌー 日本代表 瀬立選手と、撮影者の越智氏、さらには瀬立選手が合宿地として練習を積んだ、沖縄県大宜味村より村民の方とオンライン中継をつなぎ、「天然物のダイバーシティー&インクルージョン(以下、D&I)」に迫りました。 

 

東京2020パラリンピック本番、瀬立選手、越智氏は会場でそれぞれ何を思った?

 

―パラリンピックの会場に瀬立選手はパラカヌー日本代表として、越智氏はそれを撮影するカメラマンとして現場で同じ空気を吸っていた。二人の当日の心境はどのようなものだったのだろう。

 

〇越智氏:

「パラリンピックってやはり違うな、と思いましたね。モニカ選手を望遠レンズで覗いていたのですが、表情が普段よりもよく変わっていました。また外国選手勢の感情の振れ幅も見て取れましたし、僕も緊張してしまいました。

カメラマンってすごい人数が居るのですが、決勝では、撮影ポジションを取るために3時間前に入りました。待っている間も緊張して、大宜味村の皆さんに思わず電話しちゃって。」

 

〇瀬立選手: 

「越智さんが3時間前に入ったのは今知りました(笑)。予選では、気温がかなり下がったということも影響して、あまり思うようにレースが出来なかったのですが、準決勝、決勝に向けてはやるべきことを淡々と準備しました。

それでも不安から、すごい緊張してしまったのですが、ボランティアの方々が応援の言葉を沢山下さって、自国・地元開催ってこういうことなのか、と。リオ2016パラリンピックと比べて、周りからの応援の声が半端じゃなかったんですね。実はこのパラリンピックを最後の集大成にしようと臨んだ本大会だったのですが、そのような人達に対して恥ずかしくないようなレースを、と思って臨みました。」

 

「最初モニカ選手を撮影したのは、カヌーではなかった」

 

―そんな瀬立選手を越智氏が約5年間、日数にして約120日に亘り密着取材することになったのは、何がきっかけだったのだろうか。

 

〇越智氏: 

「今でこそパラカヌーのイメージが強いモニカ選手ですが、2016年冬あたりに、クロスカントリーの関係者から突然電話がかかってきて、『すごい選手が見つかったので旭川まで来てくれ』と。なので僕がモニカ選手を初めて撮影したのはクロスカントリー・バイアスロンをしているモニカ選手でした。そこから『カヌーでリオを目指している』と聞いて、カヌーの練習場所に行ったのが始まりでしたね。」

 

〇瀬立選手:

「懐かしいですね(笑)」

 

△当時スキー競技に挑戦する瀬立選手

 

 

△厳しい練習を重ね、体格もかなり変わった瀬立選手のチャームポイントは腕の「三頭筋」 

 

言葉が通じない…?!瀬立選手が大宜味村にやってきた当初のハナシ

 

―沖縄県沖縄本島北部に位置する人口約3000人の村、大宜味村。「健康長寿村」を宣言しており、2021年7月26日には、国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会により世界自然遺産への登録も決定したこの村だが、はじめから、瀬立選手と村の人々との距離が近かったわけではないという。

 

〇瀬立選手:

「お年寄りの方が大半で、方言が強く何を言っているか分からなかった…!最初は島のサポーターが通訳のようなことをしてくれてコミュニケーションを取っていました(笑)後から人見知りな人達が多いということを知ったのですが、最初は『壁』を感じていましたね。怖い顔でこっちを見ていて。」

 

〇越智氏:

村では車いすは高齢者が乗る物。若い方が乗る物ではないので、どう接したら良いか分からなかったと村人は言っていました。

おじいおばあと仲良くなった今だからこそ言える表現なのですが、最初は“腫れ物に触る”といった感じだったそうです。

△スロープでモニカ選手を押す金ちゃん

 

〇瀬立選手:

「村の漁師さんが使うボートを貸して頂いて、私の艇と併走して練習していたのですが、困ったことがあっても最初は誰に頼って良いのか分かりませんでした。ただある日、私の艇が壊れた際に、金ちゃんという売店店主が修理してくれたことをきっかけに徐々に交流が始まりました。このスロープも、金ちゃん達がお手製で作ってくれたんです。」

 

 〇越智氏:

『有り難う』と言うモニカさんの笑顔がとても綺麗だった』と村の人達が言っていましたね。そこからだったと思います。」

 

―そんな瀬立選手と村の人々をつないだスロープのこだわりポイントは?

 

〇大宜味村民:

「(傾斜を)緩く作るようにこだわったけど、まだきつかったですかね。」

 

〇瀬立選手 

「傾斜がきつすぎると車いすで上りにくい。日によって水の高さが違うので、そこの調整が一番苦労したポイントだよね。塩がついちゃって滑ってしまうので、 2 日に一回掃除をしてくれるみたいです。」

△スロープの手入れをする村人

 

大宜味村民、初めてのオンライン中継!

 

―今回大宜味村の皆様には、初めてのWeb会議ツールにトライしてもらった。中には御年87歳でInstagramを始めた方も居るという。

△いつものガジュマルの木の下より大宜味村の村人

 

 〇瀬立選手 :

「これは神ファイブですね!(笑)3日前にもLINEで電話しました。私が大宜味村 民 に行ったことで大宜味村民のLINEの普及率が上がったので、結構連絡を取っています(笑)」

 

〇越智氏 :

「モニカロスになったおじい達の為に、モニカ選手は頻繁に連絡を取っているんですよね。」

 

〇大宜味村民:

「モニカのことはキジムナーって呼んでいます。“妖精”という意味です。」

 

 〇瀬立選手:

「村人が集まるガジュマルの木には、妖精が宿るという伝説があるのですが、私がそこによく訪れるようになってから“キジムナー”と呼ばれています。あと、色々お世話してくれる皆さんに、こうやって髪を切ってあげています(笑)」

 

〇越智氏:

「金ちゃん、不安な顔をしてますね(笑)」

 

〇瀬立選手:

「後ろにハート型でカットしてあげると、おじいが向かうデイサービスで人気者になれるらしいです(笑)」

 

〇大宜味村民:

「モニカは孫みたいなもんやね~」

△金ちゃんの髪を切る通称“バーバー モニカ”

 

「てんねんD&I展」というタイトルに込められた思い

 

―ここまで瀬立選手と村の人々との交流を聞いてきたが、なぜ今回の写真展では、「D&I」という言葉を使ってそれを形容したのか。

 

〇越智氏:

「“D&I”、東京2020オリンピック・パラリンピックを機に、よく聞かれる言葉になりましたよね。「多様性と受容」という意味なんですが、ずっと多少の小難しさを感じていました。

約5年間、120日ほど合計でモニカ選手を撮影しているのですが、最初は一競技者としてモニカ選手を撮影していました。そんな中、大宜味村での密着で、最初はあった壁が笑顔や会話によって自然発生的に取り払われていっている姿を見て、これがD&Iかと思いました。ただそこに堅苦しさや小難しさは無い。なので、それに「天然」をつけて、お子さんでも読めるよう「てんねんD&I展」と名付けました。

要は人と人なんですよね。例えばもし次に車いすの方が来たとしても、『モニカ選手が来たから大丈夫だ~』と思ってもらえたら、とても大きな一歩、まさにD&Iだと思っています。」

 

〇瀬立選手:

「大学の授業でも“ダイバーシティー&インクルージョン”という言葉は学んだのですが、実際にタイトルを聞いた時、村人お手製のスロープから『DIY?』かと思いました(笑)ただ私が自然体で行ってきたコミュニケーションがこのように感じて貰えて嬉しいです。

まずは車いすだけど普通なんだよ、と知ってもらうことが一歩目だと思うので、そのような機会が増えていくことで日本の社会が変わっていったら良いなと思います。」

 

 

△瀬立選手が村を出発する際、村の人々が50~100人ほど集まってお別れの舞を踊ってくれたという

てんねんD&I展~モニカがむらにやってきた~トークイベント概要

■日時:2021.10 .9 (土)11:30 ~12:20 予定

■会場:あべのハルカス 大阪芸術大学スカイキャンパス(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 24階)

■登壇者:パラカヌー 瀬立モニカ選手 / (一社)カンパラプレス代表 越智貴雄氏(写真家)

オンラインゲスト 大宜味村民の皆様

■参加費:無料

✓当日の様子は公式Instagram (@tennen_dandi_ten) にてLIVE配信されました!

瀬立選手、越智氏、そして大宜味村民の皆様の「天然物の対談」を是非ご覧下さい!

https://www.instagram.com/tennen_dandi_ten/?hl=ja

 


△当日の会場の様子

 

■「てんねんD&I展 ~モニカが村にやってきた~」とは

パラスポーツが生み出す「天然物のD&I」について、写真を通して切り取り・表現し・伝える、写真家 越智氏による写真展プロジェクトです。第1弾となる今回は、パラカヌー瀬立モニカ選手が沖縄県大宜味村での合宿を通して生み出した「D&I」に、3年間に亘り越智氏が密着取材・撮影した様子を公開しています。

 

パラカヌー 瀬立モニカ選手 プロフィール

2021年開催 東京2020パラリンピックでは、女子カヤックシングルKL1にて7位に入賞。開会式ではパラリンピック旗を運ぶ役割を果たした。

中学からカヌーを始め、高校1 年の体育の授業中に怪我をし、車椅子生活に。2014 年にパラカヌーの選手として競技復帰し、リオ2016パラリンピックに出場、8位入賞した後に、今回の東京2020パラリンピックに向けて努力を重ねてきた。

現在、筑波大学体育専門学群に所属し、3年後のパリ2024パラリンピックでのメダル獲得を目指すと同時に、医者になるという目標を持つ。

 

写真家 越智貴雄 プロフィール

大阪生まれ。写真家。2000年からパラスポーツ取材に携わり、競技者としての生き様にフォーカスする視点で撮影・執筆。2004年、パラスポーツの魅力を多くの人に伝えたいとパラスポーツニュースメディア「カンパラプレス」を立ち上げる。2012年、パラアスリートの競技資金集めの為、セミヌードの「カレンダー」を1万部出版し、国内外で話題となる。リオデジャネイロ2016パラリンピック閉会式でのフラッグハンドオーバーセレモニーで、越智貴雄写真集「切断ヴィーナス」が使用される。2020年8月25日、幻のパラリンピック開会式に合わせて、高輪ゲートウェイ駅前で義足女性によるファッションショー「切断ヴィーナスショー2020」を行い、世界中で話題になる。

 

 

【開催概要】てんねんD&I-モニカが村にやって来た-越智貴雄写真

■同時開催:撮る×描く パラスポーツの世界~支配されない表現者たち~

(写真家:越智貴雄氏 × 墨絵イラストレーター:茂本ヒデキチ)

■会期:2021年9月23日(木祝)~10月24日(日)

■時間:11:00~19:00(入場は18:30まで) 休館日:毎週月曜日・10月15日(金)

■会場:大阪芸術大学スカイキャンパス(あべのハルカス24階)
■入場料:無料

■主催:大阪芸術大学

■企画:一般社団法人 カンパラプレス

■協力:一般社団法人 パラスポーツ推進ネットワーク

■パラスポーツの世界~支配されない表現者たち~『撮×描』~Webサイト

https://www.osaka-geidai.ac.jp/whatsnew/torukaku2021

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

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モニカ選手

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このプレスリリースを配信した企業・団体

  • 名称 一般社団法人パラスポーツ推進ネットワーク
  • 所在地 東京都
  • 業種 各種団体
  • URL https://paranet.or.jp
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