新エネルギー移行委員会の要約報告書 - 地球温暖化による気温上昇幅を1.5°Cに抑えるための6つの行動

エネルギー移行委員会(ETC)

AsiaNet 92031

 

ロンドン, 2021年10月24日 /PRNewswire/ -- エネルギー移行委員会(ETC)は本日、パリ協定の達成に向けて、地球温暖化を1.5°Cに抑えるために、2020年代に政府や企業が取り組むことができる行動を打ち出しました。

 

パリの気候変動協定の一環として定めた現在の国内脱炭素化の誓約(NDC、いわゆる「国が決定する貢献」)は、地球温暖化による気温上昇幅を産業革命前に比較して1.5°Cに抑えるために必要な誓約をはるかに後退しています。 当初の目的を達成するには、さらに17〜20GtのCO  2 の削減と、メタン排出量の40%の削減が必要になります。 ただし、ETC報告書  1.5°Cの維持:  2020年代にギャップを埋めるでは、そのギャップを1.5°Cの経路まで埋めることができ、11月にグラスゴーで開催されるCOP26気候サミットでの合意を契機に提案される技術的に実行可能な行動について説明しています。

 

行動の多くは最小限のコストで済み、さらなるイノベーションを促進し、グリーン経済の発展を支援します。そのような行動はすべて、包括的な国際協定を必要とせずに、主要国や企業による取り組みを通じて、COP26で推進力を得る可能性があります。 しかし、森林破壊の終結と既存の石炭火力発電所からの排出量の削減という2つの優先度の高い対策は、豊かな先進国による気候資金の投入よって支えられる必要があります。

 

提案では、次の6つの領域が対象となっています。メタン排出量の削減、森林破壊の終結やその他の自然を基盤にした解決策、脱石炭へ向けた迅速な対応、道路輸送の電化の加速化、主要な産業およびその他の「CO2低減が困難な」産業の脱炭素化、エネルギー効率の改善の達成。 

 

「地球温暖化を1.5度に抑えるという目標を維持するために、世界は今、次の10年間で排出量を半減させ、今世紀の半ばまでに正味ゼロに向けて取り組む必要があります。」 とCOP26次期会長、アロク・シャーマは述べています。 「この報告書では、1.5度の経路に導くために、達成可能な排出量に関する明確で信頼できる行動計画が示されています。 COP26に先立ち、私たちは、各国に対して、排出量を削減し、石炭、自動車、樹木、メタンに対応する行動を起こすための強化計画を提出するよう要請します。」

 

エネルギー移行委員会議長アデア・ターナーは次のように語っています。「温室効果ガス排出量を削減するという現在の国家の取り組みは、有益な前進ではありますが、地球温暖化を許容可能なレベルに抑制するには十分とは言えません。」  「しかし、多くの場合、ゼロまたは低コストで、迅速な削減を達成するためのテクノロジーがあります。この報告書はその方法を示しています。 必要な対策の多くは、包括的な国際協定を必要としませんが、主要な国や企業の連携によって推進することができます。 COP26は、こうした削減の機会を生かす契機としなければなりません。」

 

COP26でのUK High Level Climate Action Championのナイジェル・トッピングは、次のように述べています。 「ETCは、国や企業が1.5°C以内を維持するための重要な行動を強調しています。 リーダーシップの結集とグローバルなサポートはRace to Zero(ゼロへのレース)の核となる取り組みです。ETCの提案は、次の10年で集団的対策を達成することが技術的および経済的に実現可能であることを示しています。 行動の勢いが増しています。地球温暖化を1.5°Cに抑える場合は、2020年代の迅速な展開に集中的に取り組むことが重要です。」

 

ETCが特定した6つの行動カテゴリは次のとおりです。

 

1.メタン排出量の大幅かつ迅速な削減 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新の報告によると、メタン排出量は過去の地球温暖化の約40%を占めており、これらの排出量を削減することは、地球温暖化の迅速な抑制に役立つ最も強力な手段です。 しかしながら、多くのNDCは、メタンに十分な焦点を当てていません。 低コストの対策により、2030年までに化石燃料関連の排出量を60%削減でき、農業と廃棄物管理から生じる排出量を30%削減できる可能性があります。

 

2.森林破壊の阻止、再植林の開始 森林破壊を阻止し、再植林を開始し、他の土地利用の慣行を改善することで、2030年までに年間6.5Gtの排出量を削減できる可能性があります。 こうした対策を達成するには、豊かな先進国からの財政的支援が必要であり、その目的のために調達された気候資金を優先的に使用すべきです。

 

3.電力部門の脱炭素化と石炭の段階的廃止の加速 石炭火力発電は、温室効果ガスの最大の排出源ですが、再生可能エネルギーと比べるとますます不経済になっています。 新しい石炭火力発電所の建設を即時禁止することは、既存の石炭火力発電所の段階的廃止と相まって、2030年までに年間3.5Gtの追加の排出削減をもたらすことができます。 どの豊かな先進国も、2030年までに段階的廃止を完了することを約束する必要があり、先進国から気候資金を投入することにより、開発途上国での漸進的な段階的廃止をサポートする必要があります。

 

4.道路輸送の電化の加速化 電気自動車(EV)への移行は、大気汚染の最大の原因の1つを排除しながら、燃料費とメンテナンスの費用の節約を消費者に約束してくれます。 2035年までに内燃エンジン小型トラックの販売を禁止することで、この移行は確固たるものになるでしょう。 主要な運送業者が早期に運送車両の完全電化に取り組めば、現状を大きく変える推進力となるでしょう。 このような措置により、2030年までに、年間2.3Gtの追加の排出削減を実現できます。

 

5.建造物、重工業、および重輸送における供給の脱炭素化の加速化。 これらの産業界による排出量の抑制は、2030年以降に拡大します。 しかし、技術の進歩とコスト削減により、ほとんどのNDCが現在想定しているよりも迅速な削減が可能になっています。 大手企業や国による鉄鋼、セメント、海運、航空の各業界への取り組みにより、年間1 Gtの追加の排出削減が実現し、電熱の電化が加速することでさらに年間1Gtの削減が実現する可能性があります。

 

6.エネルギーと資源の効率の再活性化。 エネルギーと資源の効率性の改善を通じて低コストの排出削減を達成する絶好の機会であるにもかかわらず、最近の改善は期待したよりも進んでいません。 しかし、COP26での行動を通じて、建造物や電化製品の効率改善を推進する既存のイニシアチブに基づいて、改善を加速させることができます。 

 

ReNewPower会長兼マネージングディレクター、スーマント・シンハは次のように述べています。 「国のNDCは、世界の気温上昇を1.5°Cに抑えるために必要なものが十分とは言えません。電力、輸送、産業、建造物の全領域にわたる特定の対策とともに、エネルギー部門での的を絞った対策に基づくより野心的な目標が必要となります。 このような目標は、ゼロカーボン電力の迅速な展開、実証済みの排出削減技術、全セクターで技術を確実に普及するための適切な政策環境の整備によって支えられなければなりません。 今どのような行動や対策を取るかによって、どのような地球を私たちの遺産として残すのかが決まるのです。」

 

編集者への付記事項

 

この報告書は、エネルギー移行委員会(ETC)の集合的見解を構成するものです。ETC委員は、この報告書に記載される議論の全般的趣旨を承認していますが、調査結果や提案にすべて合意しているとみなされるべきではありません。委員が所属する機関は、正式に報告書を承認するように求められてはいません。

 

 報告書1.5°Cの維持: 2020年代にギャップを埋める をすべて読むには、次のウェブサイト https://www.energy-transitions.org/publications/keeping-1-5-alive/ をご覧ください(ライブ配信2021年9月30日 7:00GMT)。

 

詳細情報については、ETCウェブサイト www.energy-transitions.orgをご覧ください。

 

ETC 委員のリストはここにあります。

 

委員による引用:ETC委員による引用リストはここにあります。

 

写真 - https://mma.prnewswire.com/media/1639005/ETC_Report.jpg
ロゴ - https://mma.prnewswire.com/media/1275002/Energy_Transitions_Commission_Logo.jpg

 

(日本語リリース:クライアント提供)

 

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