【国内初】大型蓄電池が水没した際の製品状態を検証するための試験を開始

~ 試験データを蓄積・共有し、安全な蓄電池システムの実用化、普及を支援~

独立行政法人製品評価技術基盤機構

国際評価技術本部

 

【国内初】大型蓄電池が水没した際の製品状態を検証するための試験を開始

 


 

 独立行政法人 製品評価技術基盤機構[NITE(ナイト)理事長:長谷川 史彦 本所:東京都渋谷区西原]は、近年、集中豪雨、河川氾濫、高潮等により蓄電池システムが水没する被害が急増していることから、蓄電池システムが水没した際にも発火などの二次災害が起きず、安全に停止できるかどうかを検証するために、日本初となる大型蓄電池システムの「水没試験(NITE検証水没試験)」を実施し、安全性に関わる試験データを取得しました。この試験は、評価技術の開発や国際標準の提案、認証基盤の整備などを行っているNITEが、有識者等との議論を経て定めた試験条件に基づいて実施したもので、床上浸水レベルの水害を想定しています。

 NITEでは、今回の試験を契機として、様々な製品の水没試験、データ分析を行って、蓄電池システムの安全性確認を進めていきます。また試験によって取得したデータを蓄電池システム産業界と共有することで、これらのデータが有効に利活用され、より安全な蓄電池システム製品の開発・普及に貢献できると考えています。

 

 

安全性基準策定への期待を受け実現した「NITE検証水没試験」

   カーボンニュートラルの達成に向け、循環型エネルギー(太陽光発電・風力発電等)のさらなる導入が求められています。気象条件に依存する循環型エネルギーでは需給に応じた発電が困難であるため、発電した電気をいったん蓄えておく「大型蓄電池システム」の活用、安全性確保が不可欠です。しかし、水没に関して蓄電池システムの安全性評価の適当な基準は存在せず、近年の水害の大規模化を背景に、蓄電池システム産業界では当該基準の策定への期待が高まっていました。

 

 NITEでは、水没による機器内への浸水時に蓄電池システム由来の二次災害(発火、燃焼など)が起きず、安全に停止するシステムかどうかを検証することによって、水没被害後の蓄電池システムの安全な処置方法を確立するため、学術機関や有識者との議論を重ねてきました。その結果を踏まえ、集中豪雨による浸水被害(床上浸水レベル)を想定した水没試験の試験条件を定め、この度、第一弾となる「NITE検証水没試験」を実施しました。

 

 

 

使用中の浸水被害を想定した試験

  令和3年10月末にエリーパワー株式会社と共同で実施した「NITE検証水没試験」では、住宅用蓄電池システム(エリーパワー社製:POWER iE5 GRID)の使用中に浸水被害に遭ったケースを想定し、系統電源及び分電盤を接続した状態で水没試験を実施しました。その結果、蓄電池システム由来の二次災害は起きず、安全にシステムが停止することを確認しました(図A及び写真1参照)。

 

 

図A 接続概要

 

 

写真1 水没試験の様子

 

 試験の詳細は、技術報告書をご覧ください。

 

 

試験、データ収集・分析を推進し、蓄電池の導入・成長を支援

  NITEでは、今後とも「NITE検証水没試験」に協力いただける事業者を募り、様々な製品の水没試験、試験データの収集・分析を進めて参ります。 蓄電池システム関連の事業者等の協力の下、水没試験のみならず、同一条件下で様々な試験を、異なる製品に対して実施し、試験データの収集・分析を進めて参ります。得られたデータ、分析結果は、一定の条件の下で、蓄電池システム産業界に共有して利活用いただき、安全性の高い製品の実用化や、蓄電池システムの導入促進を後方支援し、日本の蓄電池システム産業の更なる成長に貢献して参ります。

 

 

 

【組織の概要】 独立行政法人製品評価技術基盤機構 国際評価技術本部

 NITEは大型蓄電池システムの安全性等に関する試験評価業務を実施するため、世界最大規模の試験施設(NLAB(エヌラブ)National LABoratory for advanced energy storage technologies)を有しています。 

 

 世界最大規模の多目的大型実験棟(NLAB Large Chamber)は、多様な大型蓄電池システムの試験ニーズに対応するため巨大な試験空間を有しており、恒温型試験室として季節や天候等の影響を受けず、年間を通じて一定条件での試験評価が可能です。また、機能別実験棟(NLAB Testing Facilities)は、大型蓄電池システムの試験評価の各種項目(地震波、輸送振動、落下、圧壊等)について、複数ユーザーの試験が実施可能な試験室です。

 

NLABで受託できる試験例

(1) 耐類焼試験(1つのモジュール等が発火した場合でも、周辺に類焼が起こらないことを確認)

(2) 消火設備の性能試験(コンテナサイズの蓄電池等を発火させた場合の消火装置の動作確認)

(3) 地震波再現試験(東日本大震災、阪神淡路大震災等の地震波を完全に再現可能)

(4) 輸送振動試験(国連輸送規格(UN38.3)等の規格に基づいた振動試験)

 

NLAB施設概要 >> https://www.nite.go.jp/gcet/nlab/pamphlet.html

大型蓄電池システムの試験・評価 >> https://www.nite.go.jp/gcet/nlab/index.html

 

 

▼動画「NLAB」の施設紹介▼

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プレスリリース添付ファイル

プレスリリース添付画像

水没試験

水没試験の様子

接続概要

水没蓄電池

水没蓄電池

プレスリリース添付動画

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