化学物質管理の更なる高度化に向け、「政府によるGHS分類」に民間データを活用
~民間企業所有の化学物質試験情報を、NITEにて受付開始~
NITE(ナイト)[独立行政法人 製品評価技術基盤機構 理事長:長谷川 史彦、本所:東京都渋谷区西原]は、厚生労働省、経済産業省、環境省、労働安全衛生総合研究所(JNIOSH)と協力して、政府による化学物質の危険有害性を分類する取り組み(「政府によるGHS分類」という。)に民間からの試験情報等を活用する事業を開始しました。
(受付窓口:https://www.nite.go.jp/chem/ghs/ghs_govpro.html#2-6)
これまで日本では、厚生労働省、経済産業省、環境省が連携して、化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS:The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)に基づき、化学物質の危険有害性の評価を実施し、事業者によるSDS (※1) (安全データシート)の作成支援等を行ってきました。
今般、「政府によるGHS分類」では、危険有害性が不明な化学物質を減らすべく、民間からも広く情報を募集し、GHS分類に役立てる官民連携事業を、試行として実施することになりました。
本事業においては、NITEが情報の受付を担当し、2022年6月14日に窓口を開設し、提供可能な情報(試験報告書あるいは査読付き論文)を持つ事業者に広く提供を呼びかけています。
「政府によるGHS分類」に活用された試験情報については、GHS分類結果と共にNITEのウェブサイトから公表される予定です。官民が協力して化学物質の有害性評価を促進することで、事業者においては化学品をより安全に取り扱うための環境の構築や事業者間での情報伝達の充実が期待でき、さらには化学品のリスクを低減した消費者製品により消費者が守られることに繋がります。
官民連携GHS分類情報収集プロジェクトにおける情報提供の流れ
GHSとは
GHS(The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals:化学品の分類および表示に関する世界調和システム)とは、化学品(純物質および混合物)の危険有害性の分類基準を定め、ラベルやSDS(安全データシート)といった情報伝達手段に関し、国際的に調和させるためのシステムです。国際連合GHS 専門家小委員会において検討され、2002 年に国連GHS 文書として策定し、2003 年に発行されました。
化学品のラベル・SDSのイメージ
▼4分で分かるGHSの説明(YouTube動画)▼
政府によるGHS分類とは
我が国では、より安全な労働環境や環境中の生物に配慮した化学物質管理を実現するため、取り扱う化学品に対してGHS に基づいたラベル表示やSDS提供の義務を安衛法(※2)や化管法(※3)で規定しています。そこで、日本では2006年度(平成18年度)より、政府によるGHS分類事業として厚生労働省、経済産業省、環境省等の関係各省が連携して化学物質のGHS分類を実施しており、現在までに約3,300物質のGHS分類結果がNITEのHPから公開されています。
>>政府によるGHS分類結果 (NITEウェブサイト)
https://www.nite.go.jp/chem/ghs/ghs_download.html
官民連携GHS分類情報収集プロジェクトとは
政府によるGHS分類事業では原則として国際機関、主要各国等の公的機関で作成された評価文書等を分類の根拠情報として、これまでに専門家の知見を踏まえて分類を行ってきましたが、管理対象となる化学物質が増え続ける背景の下では、化学物質の試験結果の情報が不足し、GHS分類が十分に行えないケースが増えています。今般、化学物質の有害性評価をさらに強化・効率化する目的で、一定の信頼性を有する情報(試験報告書あるいは査読付き論文)を民間からも広く募集し、これらを活用してGHS分類を促進する官民連携事業を実施することになりました。
>>官民連携GHS分類情報収集プロジェクト(NITEウェブサイト)
https://www.nite.go.jp/chem/ghs/ghs_govpro.html
本プロジェクトにより期待されること
本プロジェクトにより、政府によるGHS分類において、民間が独自に保有する化学物質の危険有害性情報が活用され、従来、情報不足から危険有害性が判定されなかった物質について危険有害性が付与されることになります。新たに危険有害性が分類された化学物質については、安衛法等の法律への反映など、行政としての化学物質管理にも資する情報となることが期待されます。これらの取り組みにより、化学品の製造業者や輸入業者などの事業者が化学品をより安全に取り扱う労働環境の整備が望めるほか、消費者は身の回りにある化学品の危険有害性をより正しく知ることができるようになります。
本プロジェクトにおけるNITEの役割
NITE化学物質管理センターは、化審法(※4)および化管法の施行を技術的な側面から支援しています。また、化学兵器禁止法(※5)に基づく立入検査や国際査察への立会い業務を行っています。加えて、化学物質のリスクに関する有害性等の情報を収集整理し、NITE-CHRIP(化学物質総合情報提供システム)から提供しています。
NITEは、化審法における新規化学物質の情報受付等の豊富な経験を有することから、この受付窓口を担うことになりました。民間企業から提出された試験情報はNITEで確認を行った後に、厚生労働省、経済産業省、環境省やJNIOSHと共有され、政府によるGHS分類事業で使用されます。使用された試験情報については最終的にGHS分類結果とともにNITEのウェブサイトから公表される予定です。
用語説明
※1 SDS(Safety Data Sheet, 安全データシート)
化学品の危険有害性や安全な取り扱い方法等をまとめた文書。
※2 労働安全衛生法(安衛法)
職場における労働者の安全と健康を確保することを目的とした法律。特定の化学物質を取り扱う事業者にSDSの交付義務を定めています。
※3 化学物質排出把握管理促進法(化管法)
事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とした法律。特定の化学物質を取り扱う事業者にSDSの交付義務を定めています。
※4 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)
人の健康及び生態系に影響を及ぼすおそれがある化学物質による環境の汚染を防止することを目的とした法律。
※5 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律(化学兵器禁止法)
化学兵器の製造などの禁止、製造又は使用の規制、国際査察の受入などを制定して
いる法律。
▼NITE化学センターの業務紹介(YouTube動画)▼
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プレスリリース添付動画
このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 独立行政法人製品評価技術基盤機構
- 所在地 東京都
- 業種 政府・官公庁
- URL https://www.nite.go.jp/
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