lenacapavir、ファースト・イン・クラスの多剤耐性HIV陽性者への年2回投与の治療選択肢としてFDAの承認取得

初めてかつ唯一の承認されたカプシド阻害剤のHIV治療選択肢

2023年1月16日

ギリアド・サイエンシズ株式会社

lenacapavir、ファースト・イン・クラスの多剤耐性HIV陽性者に対する年2回投与の治療選択肢としてFDAの承認を取得

lenacapavirは、初めてかつ唯一の承認されたカプシド阻害剤のHIV治療選択肢― CAPELLA試験における、高いウイルス抑制持続率に基づいた新薬申請承認―

 

ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は2022年12月22日、lenacapavirについて、他の抗レトロウイルス薬(ARV)との併用で、複数の治療歴があり(HTE)、かつ多剤耐性を有する(MDR)成人HIV-1陽性者に対するHIV-1感染症の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したことを発表しました。lenacapavirは、現在承認されている他の抗ウイルス薬剤クラスとは異なる複数の過程における作用機序を有し、in vitro試験で現在ある薬剤クラスとの交差耐性は認められていません。また本剤は、現在の治療法では十分にコントロールできない成人HIV陽性者にとって、年2回投与の新たな治療選択肢となります。

 

本プレスリリースは、他のメディアにも掲載されています。プレスリリース全文については、https://www.businesswire.com/news/home/20221221005541/en/からもご覧いただけます。

 

CAPELLA試験の治験責任医師で、ニューヨーク・Presbyterian Queens病院のDr.James J. Rahal Jr.Division of Infectious Diseasesのディレクター、Weill Cornell Medicine大学 臨床医学教授のソラナ・シーガル・マウラー(Sorana Segal-Maurer, MD)は次のように述べています。「効果的な抗レトロウイルス療法は、ウイルスとともに生きるほとんどの人に対し考案されています。しかし、HIV陽性者の中には、複数クラスの抗レトロウイルス療法に対する耐性により、ウイルスの持続的抑制が難しい人もいます。HTEかつMDRのHIV陽性者にとって、新たな抗レトロウイルス薬剤クラスが利用できることは、極めて重要です。今回のFDAによる決定を受け、lenacapavirは、複雑な治療歴がある人々の重要なアンメットニーズを満たし、医師が長年待ち望んでいた、治療選択肢が限られている人々に対する年2回投与の選択肢となります」

 

ARVが著しい進歩を遂げているにもかかわらず、依然として、HIV陽性者には非常に多くの重大かつ差し迫ったアンメットニーズが存在します。これには特に、世界で治療を受けている成人HIV陽性者の推定2%を占めるHTEの人で、耐性、忍容性あるいは安全性に配慮すると、ウイルス抑制を維持できない人が当てはまります。この複雑性により、治療失敗の可能性がさらに高くなることから、ウイルスの耐性変異株に対して活性を示す、新規作用機序を有する新たな治療選択肢の必要性が強調されています。

 

lenacapavirは、治療の有効性、多様な投与頻度や投与経路から、汎用性がありかつ望ましいHIV治療の基礎を成す長時間作用型の薬剤としての可能性を秘めた、画期的なイノベーションです。また、ギリアドの将来のHIV治療の基礎として開発されており、転帰の最適化や治療負担の軽減といった個々のニーズや選好に対応するために複数の長時間作用型である選択肢の提供を目標としています。lenacapavirは、複数の進行中の初期および後期の開発プログラムで研究されており、HIV陽性者や曝露前予防(PrEP)の恩恵を受ける可能性がある人々の生活に合った治療および予防において、人中心の多様な選択肢となる可能性があります。HIV予防におけるlenacapavirの使用は研究段階であり、この使用に対するlenacapavirの安全性および有効性はまだ確立されていません。

 

ギリアドの会長兼最高経営責任者(CEO)のダニエル・オデイ(Daniel O’Day)は次のように述べています。「今回のニュースは、HIV感染症終息に向けた取り組みにおける重要なマイルストーンです。現在、lenacapavirは、MDRのHIV陽性者に対する治療薬として唯一、FDAが承認した年2回投与の治療薬です。当社の科学者は、柔軟な投与選択肢となる可能性を秘めた、独自の有効な抗レトロウイルス薬であるlenacapavirを開発しました。私たちの目標は、HIVとともに生きる人々や、PrEPの恩恵を受ける可能性のある人々のニーズに合わせた、長時間作用型の治療と予防の選択肢を複数提供することです」

 

FDAによるlenacapavirの承認は、第II/III相 CAPELLA試験から得られたデータに基づいています。本試験では、HTE、かつMDRのHIV-1陽性者を対象に、最適化されたバックグラウンドレジメンとの組み合わせによりlenacapavirを評価しました。CAPELLA試験の被験者は、中央値で9種類の抗ウイルス薬による治療歴を有します。この高いアンメット・メディカル・ニーズを有する集団において、最適化されたバックグラウンドレジメンとの併用により、無作為割付でlenacapavirを投与された被験者の83%(n=30/36例)が52週時において検出限界未満のウイルス量(50 copies/mL未満)を達成しました。また、これらの被験者において、平均82個/µLのCD4細胞数の増加が認められました。これらのデータは、第29回レトロウイルス・日和見感染症会議(CROI 2022オンライン会議)で発表されました。

 

lenacapavirは、既存の治療法を大幅に改善する可能性のある新薬の開発と審査の促進を目的とした、FDAのBreakthrough Therapy(BT)指定を受けた薬剤として、審査・承認されました。2019年5月、FDAは他の抗レトロウイルス薬との併用で、複数の治療歴があり、多剤耐性を有するHIV陽性者に対するHIV-1感染症の治療薬として開発中のlenacapavirをBTに指定しました。

 

lenacapavirは、単独あるいは併用での使用について、米国、英国、カナダ、EU以外の規制当局からは承認を受けていません。欧州の販売承認は、EU加盟全27カ国、ならびにノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインで適用されます。

 

規制当局への追加申請および規制当局による決定は、2023年も継続する見通しです。

 

HIV予防におけるlenacapavirの使用は研究段階であり、この使用に対するlenacapavirの安全性および有効性は、現時点では確立されていません。ギリアドは、HIV予防を目的としたlenacapavirの安全性および有効性について、現在進行中の複数の臨床試験で研究しています。

 

lenacapavirの米国における適応や重要な安全性情報については、以下をご参照ください。

 

HIVまたはエイズを治癒する方法は、現在のところ存在しません。

 

ソラナ・シーガル・マウラーMD(Sorana Segal-Maurer, MD)は、ギリアド・サイエンシズの有償コンサルタントです。

 

CAPELLA試験(NCT04150068)について

CAPELLA試験は、複数の治療歴があり、多剤耐性を有するHIV陽性者を対象に、lenacapavirを6カ月毎に皮下投与した場合の抗ウイルス活性を評価する第II/III相、二重盲検、プラセボ対照、国際多施設共同試験です。CAPELLA試験は、HIV-1を有する男女を対象に、北米、ヨーロッパ、アジアの研究施設で実施されています。

 

CAPELLA試験では、複数クラスのHIV-1治療薬に耐性を示し、既存治療でウイルス量が検出可能な被験者36名が2対1の割合で無作為に割り付けられ、失敗したレジメンに加え、lenacapavirまたはプラセボを14日間、経口投与されました(機能的単剤療法期)。さらに、別の治療コホートに新たに36名の被験者を登録しました。両コホートとも、最適化されたバックグラウンドレジメンとの併用で、6カ月毎にlenacapavir皮下投与の安全性および有効性を評価する現在進行中の維持療法期に含まれています。主要評価項目は、無作為に割り付けられ、失敗したレジメンを継続しながら、lenacapavirまたはプラセボを14日間投与された被験者の機能的単剤療法期終了時におけるHIV-1 RNA量のベースラインからの減少量≥0.5 log10 copies/mLを達成した割合としました。 本試験では、lenacapavirを投与された被験者の88%(n=21/24)において、14日間の機能的単剤療法期終了までに、HIV-1ウイルス量が0.5 log10以上減少したのに対し、プラセボを投与された被験者においては17%(n=2/12)であったことが明らかになりました。被験者は、lenacapavirまたはプラセボに無作為に割り付けられ、失敗したレジメンを継続しながら14日間の機能的単剤療法を受けた後、非盲検下でlenacapavirおよび最適化されたバックグラウンドレジメンを開始しました。一方で、別の治療コホートに登録された被験者は、1日目から非盲検下でlenacapavirおよび最適化されたバックグラウンドレジメンを受けました。現在進行中の本試験の維持療法期では、最適化されたバックグラウンドレジメンとの併用で6カ月毎にlenacapavirを皮下投与したときの安全性および有効性に関する追加の項目を評価しています。

 

2022年5月11日号のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン[多剤耐性HIV陽性者におけるlenacapavirによるカプシド阻害(Capsid Inhibition with Lenacapavir in Multidrug-Resistant HIV-1 Infection)]に、CAPELLA試験の主要評価項目の結果が掲載されています。 

 

詳細については、 https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04150068 をご参照ください。

 

lenacapavirについて

lenacapavir(300 mg錠剤および463.5 mg/1.5 mL注射剤)は、ファースト・イン・クラスの長時間作用型HIVカプシド阻害剤で、他の抗レトロウイルス薬との併用により、複数の治療歴があり、多剤耐性を有するHIV陽性者に対するHIV治療薬として、米国、英国、カナダ、EUで承認されています。lenacapavir錠は、lenacapavirによる治療開始時の経口負荷投与法として承認されています。投与のタイミングは、治療開始時に、初回の長時間作用型lenacapavir注射前または投与時のいずれかを選択します。lenacapavirにみられる複数の過程における作用機序は、現在承認されている他の抗ウイルス薬剤クラスと異なり、ウイルスに対する治療効果が得られなくなった多剤耐性を有するHIV陽性者に対する長時間作用型の治療選択肢の開発に新たな道筋を作るよう開発されています。ほとんどの抗ウイルス薬はウイルス複製の1段階のみに作用するのに対し、lenacapavirは、HIVのライフサイクルにおける複数の段階を阻害するよう開発されており、現在ある薬剤クラスとの交差耐性は認められていません。lenacapavirは唯一の、年2回投与によるHIV治療選択肢となります。

 

 

米国におけるlenacapavirの適応について

ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)カプシド阻害薬であるlenacapavirは、他の抗レトロウイルス薬との併用で、耐性、忍容性あるいは安全性に配慮すると、現行の抗レトロウイルスレジメンがうまくいかない、複数の治療歴があり、多剤耐性を有する成人HIV-1陽性者におけるHIV-1感染症治療が適応とされています。

 

米国におけるlenacapavirに関する重要な安全性情報

 

禁忌

併用投与:lenacapavirを強力なCYP3A誘導剤と併用しないでください。

 

警告および使用上の注意

・抗レトロウイルス(ARV)併用療法を受けた患者において、発現までの期間が変わりやすい自己免疫疾患の発現を含む免疫再構築症候群が報告されています。

lenacapavirの長時間作用型特性および潜在的な関連リスク:患者の体循環において、lenacapavirの在留濃度が最長12カ月以上持続する可能性があります。注射剤最終投与後9カ月以内に投与を開始した場合、主にCYP3Aにより代謝される薬剤の曝露量が増加し、副作用のリスクが高まる可能性があります。服薬不遵守はウイルス学的反応の消失および耐性発現につながる可能性があるため、投与スケジュールについて、患者に助言してください。ウイルス学的失敗が生じた場合は、可能であれば、代替レジメンに切り替えてください。lenacapavirの投与を中止する場合は、注射剤最終投与から28週間以内に代替のARV抑制レジメンを開始してください。

注射部位反応が生じたり、結節および硬結が持続したりすることがあります。

 

副作用

主な副作用(全グレードで発現率3%以上)は、注射部位反応(65%)および悪心(4%)でした。

 

薬物相互作用

処方情報:禁忌、警告および臨床的見解を含む重大な薬物相互作用の可能性に関する詳細情報については、lenacapavirの完全な処方情報を参照してください。

酵素/トランスポーター:強力または中程度のCYP3A誘導剤は、lenacapavirの成分濃度を大幅に低下させる可能性があります。また、CYP3A、P-gpおよびUGT1A1を強力に阻害する薬剤は、lenacapavirの成分濃度を著しく上昇させる可能性があります。lenacapavir注射剤の最終投与後9カ月以内に主にCYP3Aにより代謝される薬剤の投与を開始した場合、その薬剤の曝露量が増加し、副作用のリスクが高まる可能性があります。

 

用法および用量

用法・用量:2つのオプションのいずれかで投与を開始し、その後は6カ月に1回、維持投与を行ってください。錠剤は食事の有無にかかわらず服用可能です。

開始時オプション1: 1日目:927 mgを皮下注射および600 mg(300 mg錠×2)を経口投与。2日目:600 mg(300 mg錠×2)を経口投与

開始時オプション2:1日目:600 mg(300 mg錠×2)を経口投与。2日目:600 mg(300 mg錠×2)を経口投与。8日目:300 mg(300 mg錠×1)を経口投与。15日目:927 mgを皮下注射

維持療法期:927 mgを注射剤最終投与日から26週±2週ごとに皮下注射

投与忘れ:維持療法期中に、注射剤最終投与日から28週を越えてしまったが、lenacapavirによる治療継続が臨床的に適切であると判断した場合は、オプション1またはオプション2の1日目から開始時の用法・用量で投与を再開してください。

 

妊婦および授乳婦への投与

妊婦:妊娠中におけるlenacapavirの使用に関するヒトを対象としたデータが不足しています。抗レトロウイルス妊婦レジストリ(Antiretroviral Pregnancy Registry、APR)は確立されています。

授乳婦:HIV-1 に感染した女性は HIV-1 を伝播する可能性があるため、授乳をしないよう

に指示してください。

 

 

ギリアド・サイエンシズについて

ギリアド・サイエンシズは、全ての人々にとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。当社は、HIV、ウイルス性肝炎、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。

 

ギリアドは35年にわたり、HIV領域におけるリーディング・カンパニーとして、治療、予防、治癒研究の進歩を推進してきました。ギリアドの研究者たちは、HIV治療における最初の単一錠剤レジメンや、HIV感染リスクを減らすための初めての曝露前予防(PrEP)となる抗レトロウイルス薬、さらには初の年2回投与の長時間作用型注射剤となるHIV治療薬など、12種類のHIV治療薬を開発してきました。こうした医学研究の進歩により、HIVは何百万人もの人々にとって予防可能な慢性疾患となりました。

 

世界中のHIV感染者の日々変化するニーズに対応するソリューションを提供するため、ギリアドは引き続き科学的イノベーションに取り組んでいます。また、パートナーシップと連携を通じて、教育の改善、医療へのアクセス拡大および障壁を取り除き、世界中の全ての人々のHIV感染の根絶を目指します。ギリアドは、「AIDSに関わる資金提供基金」(Funders Concerned About AIDS, FCAA)が発表した報告書において、HIV関連プログラムの慈善資金提供団体として第1位に認定されました。

 

ギリアドは、カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を展開しています。

 

ギリアドの将来予測に関する記述

本プレスリリースは、1995年の 「米国証券訴訟改革法」に記載されている「将来予測に関する記述」に該当し、いくつかのリスク、不確実性などの要素を含む場合があります。これには、ギリアドが現在見込まれているスケジュールで臨床試験を開始、進行、完了する能力、あるいはそれらが全くできないリスク、lenacapavirに関するものを含め、現在進行中および追加の臨床試験で好ましくない結果が生じる可能性、lenacapavirに対してその他規制当局から遅滞なく承認が得られない、または全く得られないリスクを含め、規制当局への承認申請および関連する申請や承認のタイムラインに関連する不確実性、たとえ規制当局から承認を得たとしても、その使用に関して重大な制約が課されるリスク、医師がlenacapavirの処方にベネフィットがないと判断するリスク、および上述のいずれかの背景となる前提などがあります。これらのリスクとその他のリスク、不確実性、要因等については、米国証券取引委員会に提出済の2022年9月30日を期末とする四半期報告書(フォーム10-Q)に詳細が記載されています。これらのリスクや不確実性、およびその他の要因により、実際の結果が「将来予測に関する記述」と著しく異なったものとなる可能性があります。歴史的事実以外の全ての記述は「将来予測に関する記述」とみなされる可能性があります。このような「将来予測に関する記述」は将来の業績を保証するものではなく、「将来予測に関する記述」に過度に依拠することのないようご注意ください。「将来予測に関する記述」は全て、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドは「将来予測に関する記述」を更新する義務を負うことはなく、更新する意向もありません。

 

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

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