リサンキズマブの潰瘍性大腸炎に対する第III相寛解導入療法試験で、主要評価項目と全副次評価項目を達成

アッヴィ

2023年4月24日

アッヴィ合同会社

アッヴィ、リサンキズマブの潰瘍性大腸炎に対する第III相寛解導入療法試験において主要評価項目とすべての副次評価項目を達成

 

ー 第III相寛解導入療法試験(INSPIRE試験)において、主要評価項目である12週時の臨床的寛解a(Adapted Mayoスコアに基づき判定)を達成した中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎の患者さんの割合は、プラセボ群と比較してリサンキズマブ群で有意に高い結果を達成

ー 臨床的転帰、内視鏡的転帰および組織学的転帰を含むすべての副次評価項目を達成

ー 安全性に関する試験結果は、これまでに確認されているリサンキズマブの安全性プロファイルと一致し、新たな安全性のリスクは認められず1

ー IL-23阻害薬であるリサンキズマブは、アッヴィの消化器領域ポートフォリオの拡大に基づき、中等症から重症の潰瘍性大腸炎を有する成人患者さんの治療薬として開発中であり、既にクローン病、乾癬性関節炎(関節症性乾癬)および乾癬の治療薬として承認を取得1

 

イリノイ州ノースシカゴ、2023323(米国時間)-アッヴィ(NYSE: ABBV)は本日、中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する成人患者さんを対象とした第III相寛解導入療法試験(INSPIRE試験)において良好なトップライン結果が得られ、リサンキズマブ群[0週、4週および8週時に1200 mgを静脈内(IV)投与]が主要評価項目である12週時の臨床的寛解(Adapted Mayoスコアに基づき判定)およびすべての副次評価項目を達成したことを発表しました1。本試験において臨床的寛解を達成した患者さんの割合は、リサンキズマブ群で20.3%であったのに対し、プラセボ群では6.2%でした(p<0.00001)1。INSPIRE試験は、既存治療や先進治療(生物学的製剤、JAK阻害薬およびS1P受容体モジュレーター)で不耐容または効果不十分であった患者さんを対象とした試験です1

 

アッヴィのsenior vice president, development, regulatory affairs 兼 chief medical officerのRoopal Thakkar, M.D.は、次のように述べています。「私たちは、消化器疾患を持つ患者さんへの貢献に、今後もますます注力していきます。今回の良好な結果は、リサンキズマブに潰瘍性大腸炎の患者さんの臨床的転帰、内視鏡的転帰、組織学的転帰を改善する可能性があることを裏付けるものです」

 

12週時に内視鏡的改善を達成した患者さんの割合は、プラセボ群と比較しリサンキズマブ群で有意に高い結果となりました(リサンキズマブ群の36.5%に対しプラセボ群では12.1%、p<0.00001)1。さらに、12週時に組織学的・内視鏡的粘膜改善を達成した患者さんの割合は、リサンキズマブ群の24.5%に対し、プラセボ群では7.7%でした(p<0.00001)1

 

INSPIRE試験の治験責任医師を務めるベルギーのリエージュ大学病院(University Hospital CHU of Liège Belgium)消化器内科教授兼科長のEdouard Louis, M.D., Ph.D.は、次のように述べています。「INSPIRE試験において意義のある改善を達成したことは素晴らしいことであり、リサンキズマブには様々な炎症性腸疾患の治療選択肢となる可能性があることを示しました。今回の結果は、リサンキズマブが腹痛、便意切迫、便失禁などの潰瘍性大腸炎の困難な症状に患者さんが対処する際の助けになり得ることを示唆しています」

 

12週時の有効性の結果*,1

 

リサンキズマブ群 (1200 mg IV投与) (n=650) プラセボ群(n=325)

臨床的寛解(Adapted Mayoスコア)a

20.3% 6.2%

臨床的改善(Adapted Mayoスコア)b

64.3% 35.7%

内視鏡的改善c

36.5% 12.1%

組織学的・内視鏡的粘膜改善d

24.5% 7.7%

* 主要評価項目は臨床的寛解(Adapted Mayoスコアに基づき判定)。臨床的改善(Adapted Mayoスコアに基づき判定)、内視鏡的改善および組織学的・内視鏡的粘膜改善は副次評価項目です。副次評価項目の一部は、表に示されていません。すべての主要評価項目および副次評価項目について、全体の第一種の過誤率を0.05(両側)に設定し統計学的な有意差が認められました。

a  Adapted Mayoスコアに基づく臨床的寛解は、排便回数のサブスコア(SFS)が1点以下かつベースライン値を上回らず、直腸出血のサブスコア(RBS)が0点、内視鏡所見のサブスコアが1点以下で脆弱化が認められない場合と定義しました。

b  Adapted Mayoスコアに基づく臨床的改善は、Adapted Mayoスコアがベースラインから2点以上かつ30%以上低下し、さらにRBSが1点以上低下またはRBSの絶対値が1点以下の場合と定義しました。

c  内視鏡的改善は、内視鏡所見のサブスコアが1点以下で脆弱化が認められない場合と定義しました。

d  組織学的・内視鏡的粘膜改善は、Geboesスコアが3.1点以下かつ内視鏡所見のサブスコアが1点以下で脆弱化が認められない場合と定義しました。

 

12週間の二重盲検、プラセボ対照期間中のリサンキズマブ(1200 mgをIV投与)の安全性プロファイルは、様々な適応症を対象としたこれまでの試験で認められたものと一致しており、新たな安全性リスクは認められませんでした1。リサンキズマブ群で最も多く観察された有害事象は、新型コロナウイルス感染症、貧血および関節炎でした。重篤な有害事象が発現した患者さんの割合は、リサンキズマブ1200 mg IV投与群で2.3%、プラセボ群で10.2%でした1。重篤な感染症の発現率は、リサンキズマブ1200 mg IV投与群で0.6%、プラセボ群で1.2%でした1。リサンキズマブ1200 mg群の患者さんにおいて、試験33日目に新型コロナウイルス感染症による肺炎による死亡が1例報告されています。リサンキズマブ群において、主要有害心血管イベント(MACE)、アナフィラキシー反応および悪性腫瘍と判定、報告された事象はありませんでした1

 

潰瘍性大腸炎に対するリサンキズマブの使用は承認されておらず、その安全性および有効性も規制当局による評価はされていません。現在、潰瘍性大腸炎に対する維持療法試験が進行中です。

 

リサンキズマブは、ベーリンガーインゲルハイムとアッヴィの業務提携の一環で、アッヴィが世界的に開発と販売を主導しています。

 

潰瘍性大腸炎について

潰瘍性大腸炎は大腸における慢性、特発性の免疫介在性の炎症性腸疾患(IBD)であり、直腸からより近位の結腸までのさまざまな範囲で粘膜炎が持続的に生じます2,3。潰瘍性大腸炎に特徴的な徴候および症状は、直腸出血、腹痛、血性下痢、しぶり腹、便意切迫および便失禁です3,4。潰瘍性大腸炎の経過は患者さんによって異なり、寛解から慢性難治性疾患までさまざまな経過をとり、ときには外科手術やがんなどの合併症発症に至ることもあり、死亡することもあります4,5。重い症状と予測不可能な疾患経過は、患者さんにとって大きな負担となることもあり、しばしば生活に支障をきたすことも報告されています6

 

INSPIRE試験について1

INSPIRE試験は、中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する患者さんを対象に、リサンキズマブの寛解導入療法(4週ごとに1200 mgをIV投与)の有効性と安全性を評価するために設計された第III相、多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験です。

 

主要評価項目は12週時における臨床的寛解(Adapted Mayoスコアに基づき判定、SFSが1点以下かつベースライン値を上回らず、RBSが0点、内視鏡所見のサブスコアが1点以下で脆弱化が認められない場合と定義)の達成です。副次評価項目は、12週時における臨床的改善(Adapted Mayoスコアがベースラインから2点以上かつ30%以上低下し、さらにRBSが1点以上低下またはRBSの絶対値が1点以下となる場合)、内視鏡的改善(内視鏡所見のサブスコアが1点以下で脆弱化が認められない場合)および組織学的・内視鏡的粘膜改善(HEMI、内視鏡所見のサブスコアが0点または1点で脆弱化が認められず、かつGeboesスコアが3.1点以下の場合)などです。詳細はwww.clinicaltrials.gov(NCT03398148)に掲載されています。

 

リサンキズマブについて

リサンキズマブは、インターロイキン-23(IL-23)のp19サブユニットに結合することによりIL-23を選択的にブロックするIL-23阻害薬です7。炎症プロセスに関与するサイトカインであるIL-23は、多くの慢性免疫関連疾患に関連すると考えられています8。リサンキズマブは、尋常性乾癬、乾癬性関節炎(関節症性乾癬)およびクローン病の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁より承認されました。乾癬、乾癬性関節炎(関節症性乾癬)、クローン病および潰瘍性大腸炎を対象とするリサンキズマブの第III相試験が進行中です8,9,10

 

世界各国で処方情報は異なります。完全な情報は各国の製品表示をご参照ください。

 

消化器領域におけるアッヴィについて

潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患(IBD)の領域を大きく発展させるため、アッヴィは強固な臨床試験プログラムを実施し、最先端の研究に取り組んでいます。革新と学習、そして適応を通して、IBDによる患者さんの負担をなくし、患者さんの生活を長期にわたって改善していくことを目指しています。消化管領域におけるアッヴィについて、詳細はこちらをご覧ください。

 

アッヴィについて

アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製と提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。患者さん一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、精神・神経疾患、アイケア、ウイルス、ウイメンズヘルス、消化器疾患、さらにアラガンエステティクスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.comをご覧ください。Twitter アカウント@abbvieFacebookLinkedInや、Instagramでも情報を公開しています。

 

 

References:

 

1.AbbVie. Data on file: ABVRRTI75696.

2.Gajendran M, Loganathan P, Jimenez G, et al. A comprehensive review and update on ulcerative colitis. Dis Mon. 2019 Dec;65(12):100851. doi: 10.1016/j.disamonth.2019.02.004

3.The facts about inflammatory bowel diseases. Crohn's & Colitis Foundation of America. Accessed March 8, 2023. https://www.crohnscolitisfoundation.org/sites/default/files/2019-02/Updated%20IBD%20Factbook.pdf

4.Ulcerative colitis. Mayo Clinic. Accessed March 3, 2023. https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/ulcerative-colitis/symptoms-causes/syc-20353326

5.Monstad, I, Hovde O, Solberg IC, A Moum B. Clinical course and prognosis in ulcerative colitis: results from population-based and observational studies. Ann Gastroenterol. 2014; 27(2): 95–104.

6.Mehta F. Report: economic implications of inflammatory bowel disease and its management. Am J Manag Care. 2016;22(3 Suppl):s51-60.

7.Duvallet E, Sererano L, Assier E, Falgarone G, Boissier MC. Interleukin-23: a key cytokine in inflammatory diseases. Ann Med. 2011;43(7):503-11. doi:10.3109/07853890.2011.577093

8.Pipeline. AbbVie. 2021. Accessed March 3, 2023. https://www.abbvie.com/our-science/pipeline.html

9.A study comparing risankizumab to placebo in participants with active psoriatic arthritis including those who have a history of inadequate response or intolerance to biologic therapy(ies) (KEEPsAKE2). ClinicalTrials.gov. Updated February 28, 2023. Accessed March 3, 2023. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03671148

10.A multicenter, randomized, double-blind, placebo controlled induction study to evaluate the efficacy and safety of risankizumab in participants with moderately to severely active ulcerative colitis. ClinicalTrials.gov. Updated March 10, 2023. Accessed March 12, 2023. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/record/NCT03398148

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