リサンキズマブの潰瘍性大腸炎に対する52週間の第III相維持療法試験で主要評価項目と主な副次評価項目達成
2023年7月10日
アッヴィ合同会社
アッヴィ、リサンキズマブの潰瘍性大腸炎に対する52週間の第III相維持療法試験において主要評価項目と主な副次評価項目を達成
ー リサンキズマブによる寛解導入療法で臨床的改善がみられた潰瘍性大腸炎の患者さんを対象とした本試験において、主要評価項目である52週時の臨床的寛解a(Adapted Mayoスコアに基づき判定)を達成した患者さんの割合は、リサンキズマブ投与中止群と比較して、リサンキズマブ(180 mgまたは360 mg)投与群で有意に高い結果を達成1
ー 1年時の内視鏡的改善b、組織学的・内視鏡的粘膜改善cおよびステロイド不使用での寛解dを含む主な副次評価項目を達成
ー 安全性に関する試験結果は、これまでに確認されているリサンキズマブの安全性プロファイルと一致し、新たな安全性のリスクは認められず1
ー IL-23阻害薬であるリサンキズマブは、アッヴィの消化器領域ポートフォリオの拡大に基づき、中等症から重症の潰瘍性大腸炎を有する成人患者さんの治療薬として開発中であり、既にクローン病、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)および乾癬の治療薬として承認を取得1
イリノイ州ノースシカゴ、2023年6月15日(米国時間)-アッヴィ(NYSE: ABBV)は本日、中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する成人患者さんを対象とした第III相維持療法試験(COMMAND試験)において良好なトップライン結果が得られ、リサンキズマブ群(180 mgまたは360 mgを皮下投与)が、主要評価項目である52週時の臨床的寛解(Adapted Mayoスコアに基づき判定)および主な副次評価項目を達成したことを発表しました1。このCOMMAND維持療法試験では、寛解導入療法で奏功した第IIb/III相INSPIRE試験の患者さんを再度、リサンキズマブ180 mg皮下投与群、リサンキズマブ360 mg皮下投与群またはリサンキズマブ投与中止群[リサンキズマブの静脈内(IV)投与による寛解導入療法のみの対照群]に無作為に割り付けました1。患者さんの約75%は、これまでに潰瘍性大腸炎に対する1種類以上の先進治療(生物学的製剤、JAK阻害薬および/またはS1P受容体モジュレーター)が治療不成功の患者さんでした1。
52週時に臨床的寛解を達成した患者さんの割合は、寛解導入療法のみの対照群では25%であったのに対し、リサンキズマブ180 mg投与群では40%、リサンキズマブ360 mg投与群では38%と有意に高い結果でした(p<0.01)1。
アッヴィのsenior vice president, development, regulatory affairs 兼 chief medical officerであるRoopal Thakkar, M.D.は次のように述べています。「当社では、第III相COMMAND試験などの重要なプログラムを通して、重篤な消化器症状が及ぼす影響に対処するための研究開発を推進し続けています。リサンキズマブは、中等症から重症の活動性クローン病の治療薬としてすでに承認されています。今回の結果は、この治療薬が、潰瘍性大腸炎に対しても有効な治療選択肢になり得ることを示すものです」
COMMAND試験において、52週時に内視鏡的改善を達成した患者さんの割合は、寛解導入療法のみの対照群では32%であったのに対し、リサンキズマブ180 mg投与群では51%、リサンキズマブ360 mg投与群では48%でした(p<0.001)1。また、52週時に組織学的・内視鏡的粘膜改善を達成した患者さんの割合は、寛解導入療法のみの対照群では23%であったのに対し、リサンキズマブ180 mg投与群では43%、リサンキズマブ360 mg投与群では42%と有意に高い結果でした(p<0.001)1。52週時にステロイド不使用での臨床的寛解を達成した患者さんの割合も、寛解導入療法のみの対照群では25%であったのに対し、リサンキズマブ180 mg投与群では40%、リサンキズマブ360 mg投与群では37%と有意に高い結果でした(p<0.01)1。
ドイツSchleswig-Holstein大学病院内科1部長(director of department of internal medicine I, University Hospital Schleswig-Holstein, Germany)であり、COMMAND試験の治験責任医師でもあるStefan Schreiber, M.D.は次のように述べています。「今回の良好な結果は、リサンキズマブが、日常生活に支障を生じうる困難な症状のある潰瘍性大腸炎患者さんを救うことが期待される治療薬であることを示唆しています。リサンキズマブが、内視鏡的・組織学的転帰やその他多くの転帰を含め、達成が困難な多様な評価項目を達成したことは、新たな治療選択肢を必要としている潰瘍性大腸炎患者さんのニーズに応える、重要な進歩と言えます」
52週時の有効性の結果*,1 | |||
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リサンキズマブ180 mg皮下投与 (n=179) |
リサンキズマブ360 mg皮下投与 (n=186) |
リサンキズマブIV寛解導入療法のみ (対照群)(n=183) |
臨床的寛解(Adapted Mayoスコア)a |
40% | 38% | 25% |
内視鏡的改善b |
51% | 48% | 32% |
組織学的・内視鏡的粘膜改善(HEMI)c |
43% | 42% | 23% |
ステロイド不使用での臨床的寛解d |
40% | 37% | 25% |
* 主要評価項目は臨床的寛解(Adapted Mayoスコアに基づき判定)。内視鏡的改善、HEMIおよびステロイド不使用での臨床的寛解は副次評価項目です。副次評価項目の一部は、表に示されていません。表に示したすべての主要評価項目および副次評価項目について、全体の第一種の過誤率を0.05(両側)に設定し統計学的な有意差が認められました。
a Adapted Mayoスコアに基づく臨床的寛解は、排便回数のサブスコア(SFS)が1点以下かつベースライン値を上回らず、直腸出血のサブスコア(RBS)が0点、内視鏡所見のサブスコアが1点以下で易出血性が認められない場合と定義しました。
b 内視鏡的改善は、内視鏡所見のサブスコアが1点以下で易出血性が認められない場合と定義しました。
c HEMIは、内視鏡所見のサブスコアが1点以下で易出血性が認められず、かつGeboesスコアが3.1点以下の場合と定義しました。
d ステロイド不使用での寛解は、52週時にAdapted Mayoスコアに基づく臨床的寛解が認められ、かつ52週時までに90日以上に渡ってコルチコステロイド不使用であった場合と定義しました。
52週間の二重盲検、プラセボ対照試験であるCOMMAND試験中のリサンキズマブの安全性プロファイルは、様々な適応症を対象としたこれまでの試験で認められたものと一致しており、新たな安全性リスクは認められませんでした1。リサンキズマブ群で最も多く観察された有害事象は、潰瘍性大腸炎、新型コロナウイルス感染症、上咽頭炎および関節痛でした1。重篤な有害事象が発現した患者さんの割合は、リサンキズマブ180 mg群で5.2%、360 mg群で5.1%、対照群で8.2%でした1。リサンキズマブ360 mg群の患者さんにおいて、治験薬との関連なしと判定された腺癌による死亡が1例報告されています。主要有害心血管イベント(MACE)と判定された事象はなく、アナフィラキシー反応と判定された事象もありませんでした。
COMMAND試験の詳細な結果は、今後、学会での公表や査読誌への投稿を行う予定です。潰瘍性大腸炎に対するリサンキズマブの使用は承認されておらず、その安全性および有効性も規制当局による評価はされていません。
リサンキズマブは、ベーリンガーインゲルハイムとアッヴィの業務提携の一環で、アッヴィが世界的に開発と販売を主導しています。
潰瘍性大腸炎について
潰瘍性大腸炎は大腸における慢性、特発性の免疫介在性の炎症性腸疾患(IBD)であり、直腸からより近位の結腸までのさまざまな範囲で粘膜炎が持続的に生じます2,3。潰瘍性大腸炎に特徴的な徴候および症状は、直腸出血、腹痛、血性下痢、しぶり腹、便意切迫および便失禁です3,4。潰瘍性大腸炎の経過は患者さんによって異なり、寛解から慢性難治性疾患までさまざまな経過をとり、ときには外科手術やがんなどの合併症発症に至ることもあり、死亡することもあります4,5。重い症状と予測不可能な疾患経過は、患者さんにとって大きな負担となることもあり、しばしば生活に支障をきたすことも報告されています6。
COMMAND試験について1
COMMAND試験は、中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎の成人患者さんを対象に、リサンキズマブ180 mgまたは360 mg皮下投与の有効性および安全性を評価するために設計された第III相、多施設共同、無作為化、二重盲検、比較対照、52週間維持療法試験です。本試験では、無作為化投与中止デザインを採用し、リサンキズマブIV投与による寛解導入療法を受け、リサンキズマブが奏効した患者さんを再度、リサンキズマブ180 mg皮下投与群、リサンキズマブ360 mg皮下投与群またはリサンキズマブ投与中止群(寛解導入療法のみの対照群)に無作為に割り付けました。リサンキズマブ投与中止群(寛解導入療法のみの対照群)の患者さんは、試験終了時までリサンキズマブを休薬しました。この第III相試験の目的は、INSPIRE試験でリサンキズマブIV投与による寛解導入療法が奏効した中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎の患者さんを対象に、リサンキズマブ投与中止(対照群)と比較して、維持療法としてのリサンキズマブ180 mgまたは360 mgの有効性および安全性を評価することです。
主要評価項目は、52週時の臨床的寛解(Adapted Mayoスコアに基づき判定、SFSが1点以下かつベースライン値を上回らず、RBSが0点、内視鏡所見のサブスコアが1点以下で易出血性が認められない場合と定義)です。主な副次評価項目は、52週時の内視鏡的改善(内視鏡所見のサブスコアが1点以下で易出血性が認められない場合)、HEMI(内視鏡所見のサブスコアが1点以下で易出血性が認められず、かつGeboesスコアが 3.1点以下の場合)およびステロイド不使用での臨床的寛解(52週時にAdapted Mayoスコアに基づく臨床的寛解が認められ、かつ52週時までに90日以上に渡ってコルチコステロイド不使用であった場合と定義)です。詳細は、www.clinicaltrials.gov (NCT03398135)をご覧ください。
リサンキズマブについて
リサンキズマブは、インターロイキン-23(IL-23)のp19サブユニットに結合することによりIL-23を選択的にブロックするIL-23阻害薬です7。炎症プロセスに関与するサイトカインであるIL-23は、多くの慢性免疫関連疾患に関連すると考えられています8。リサンキズマブは、尋常性乾癬、乾癬性関節炎(関節症性乾癬)およびクローン病の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁より承認されました。乾癬、乾癬性関節炎(関節症性乾癬)、クローン病および潰瘍性大腸炎を対象とするリサンキズマブの第III相試験が進行中です8,9,10。
世界各国で処方情報は異なります。完全な情報は各国の製品表示をご参照ください。
消化器領域におけるアッヴィについて
潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患(IBD)の領域を大きく発展させるため、アッヴィは強固な臨床試験プログラムを実施し、最先端の研究に取り組んでいます。革新と学習、そして適応を通して、IBDによる患者さんの負担をなくし、患者さんの生活を長期にわたって改善していくことを目指しています。消化管領域におけるアッヴィについて、詳細はこちらをご覧ください。
アッヴィについて
アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製と提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。患者さん一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、精神・神経疾患、アイケア、ウイルス、ウイメンズヘルス、消化器疾患、さらにアラガンエステティクスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.comをご覧ください。Twitter アカウント@abbvie、Facebook、LinkedInや、Instagramでも情報を公開しています。
1.AbbVie. Data on File: ABVRRTI76012
2.Gajendran M, Loganathan P, Jimenez G, et al. A comprehensive review and update on ulcerative colitis. Dis Mon. 2019;65(12):100851. doi:10.1016/j.disamonth.2019.02.004
3.The facts about inflammatory bowel diseases. Crohn's & Colitis Foundation of America. Accessed March 8, 2023. https://www.crohnscolitisfoundation.org/sites/default/files/2019-02/Updated%20IBD%20Factbook.pdf
4.Ulcerative colitis. Mayo Clinic. Accessed March 3, 2023. https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/ulcerative-colitis/symptoms-causes/syc-20353326
5.Monstad, I, Hovde O, Solberg IC, A Moum B. Clinical course and prognosis in ulcerative colitis: results from population-based and observational studies. Ann Gastroenterol. 2014;27(2):95-104.
6.Mehta F. Report: economic implications of inflammatory bowel disease and its management. Am J Manag Care. 2016;22(3 Suppl):s51-60.
7.Duvallet E, Sererano L, Assier E, Falgarone G, Boissier MC. Interleukin-23: a key cytokine in inflammatory diseases. Ann Med. 2011;43(7):503-11. doi:10.3109/07853890.2011.577093
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9.A study comparing risankizumab to placebo in participants with active psoriatic arthritis including those who have a history of inadequate response or intolerance to biologic therapy(ies) (KEEPsAKE2). ClinicalTrials.gov. Updated February 28, 2023. Accessed March 3, 2023. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03671148
10.A multicenter, randomized, double-blind, placebo controlled induction study to evaluate the efficacy and safety of risankizumab in participants with moderately to severely active ulcerative colitis. ClinicalTrials.gov. Updated March 10, 2023. Accessed March 12, 2023. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/record/NCT03398148
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- 所在地 東京都
- 業種 医薬品
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