全国の利水ダムの治水活用効果を地図化した「ダムの活用優先度マップ」を踏まえた技術サービスを開始

建設技術研究所

2023年9月15日

株式会社建設技術研究所https://www.ctie.co.jp/

 株式会社建設技術研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:中村哲己)は、現在治水効果が見込まれていない利水ダムを治水に活用した場合の効果を地図化した「ダムの活用優先度マップ」を作成しました。本マップは、利水ダムの治水活用の効果が高く、早期整備が必要な流域を示しており、これを用いた「流域治水対策としてのダム活用優先度の評価」等のサービスを開始しました。

 

 

1.背 景

 全国には治水機能を有していない利水ダム※が1,800基以上整備されています。異常洪水時にこれらのダムを有効に活用すれば下流河川の被害を少なくすることができます。

 ダムは個々に貯水容量や放流機能といった特性が異なるため、異常洪水時に全ての利水ダムで治水機能を持たせるための操作を行うことは非効率であり、治水効果の高いダムから優先的に治水機能を持たせるような運用が求められています。

 (※利水ダム:発電ダム、農水ダムなど国土交通省所管以外のダム)

 

2.「ダムの活用優先度マップ」の作成

 「ダムの活用優先度マップ」とは、①全国の一級水系の流域ごとのダム貯留可能雨量、②各流域で発生可能性のある最大洪水の想定最大規模降雨の比率α(=②/①)を評価指標として図化したものです(図-1参照)。比率αが大きいほど、利水ダムの活用効果が大きい流域となります。

 

3.流域治水対策としてのダム活用優先度評価サービスの提供

 作成したダムの活用優先度マップを用いて、治水活用効果の高い利水ダムの選定や早期整備が求められる流域のランク付け等の技術サービス提供を開始します。具体のサービス例を以下に示します。

 

① 遊水地や水田貯留等の対策と利水ダムの治水活用を合わせた「流域治水対策の検討」

② 予測雨量を加味してダムの貯留可能量をリアルタイムに把握しダム機能の最大限の活用を図る「ダム操作運用の検討」

 

 

 

図-1 利水ダム等による治水効果が高い流域のダムの活用優先度マップ(全国109水系・流域)

関係論文:流域の貯留能力を踏まえた流域治水方策に関する研究(河川技術論文集,第28巻,2022)

総合的な水系内貯留能力評価に基づく流域治水方策検討手法に関する研究(日本自然災害学会 投稿中) 他

 

4.今後の展望

 今後、ダムの活用優先度マップに基づく技術サービスを提供していくことにより、利水ダムの活用をはじめとする流域治水対策の一層の推進に貢献してまいります。

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プレスリリース添付画像

図-1 利水ダム等による治水効果が高い流域のダムの活用優先度マップ(全国109水系・流域)

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