カマンベールチーズに含まれる成分「オレイン酸アミド」の継続的摂取が認知機能の維持や、睡眠の改善に寄与

日本人中高年を対象に調査、特に短期記憶やワーキングメモリーの維持に有意な効果

meiji

 株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は、ヒトを対象とした介入研究を行い、カマンベールチーズに含まれる脂質成分であるオレイン酸アミドの継続的な摂取が、日本人中高年の記憶力などの認知機能の維持や睡眠の改善に寄与する可能性があることを明らかにしました。当研究成果は2024年3月27日に、栄養学分野で評価の高い国際学術誌Frontiers in Nutritionに掲載されました(Sasaki, et al. Front. Nutr., 2024, 11. doi:10.3389/fnut.2024.1357920)。また、2024年5月24日から26日にかけて開催された第78回日本栄養・食糧学会大会にて発表しました。

 

【研究成果の概要】

 オレイン酸アミド(60 µg※1)を含む試験食品を12週間継続的に摂取し、認知機能低下の自覚のある中高年の認知機能や睡眠に与える効果を調べました。

①オレイン酸アミドを含む試験食品の摂取後では、摂取前に比べて認知機能と関連する血中成分であるBDNF※2の量が維持される傾向が見られました。

②オレイン酸アミドを含む試験食品の摂取は、対照食品の摂取と比較して認知機能、特に短期記憶やワーキングメモリー3の維持に有意な効果を示しました。

③オレイン酸アミドを含む試験食品の摂取後では、摂取前に比べて睡眠状態の総合スコア、睡眠の質、入眠時間4が有意に改善しました。

 

※1 一般的なカマンベールチーズ ホールタイプ1個分(約90-100 g)に含まれる量に相当(当社調べ)

※2 神経細胞の発生・成長・維持・再生を促進させる脳由来の神経栄養因子であり、その濃度が高いほど記憶力や学習能力などの認知機能評価スコア(認知機能検査の一つであるMMSEの結果)が高いなど、認知機能との正の相関関係が示されている。

※3 入ってきた情報を整理して必要な情報を選択的に保持しながら作業する情報処理能力

※4 寝付くまでにかかる時間

 

【研究成果の活用】

 超高齢社会となった日本において、チーズに含まれる成分による認知機能の維持の可能性を研究することで、健康寿命の延伸に貢献していきたいと考えています。また、認知症のリスク因子でもある睡眠状態の改善の可能性を研究することで、心身の健康の維持と日々のパフォーマンスの向上に貢献していきたいと考えています。

 

【研究の目的】

 乳製品と認知機能の関連性を示す論文は国内外で数多く報告されており、近年はチーズに着目して認知機能との関係を調査する研究も進んでいます。特に、これまでにカマンベールチーズに含まれる認知機能に関与する成分はいくつか挙げられている一方、ヒトに対する効果を検証したものは多くはありません。本研究ではカマンベールチーズに含まれる成分に着目して調査を行うことで、チーズ摂取と認知機能の関係を明らかにすることを目的としています。

 

【研究概要】

 認知機能低下の自覚のある50歳以上75歳未満の健常日本人男女を対象に、オレイン酸アミドを含む試験食品(2種)もしくはプラセボ食品のうち、ランダムに振り分けられた1種類を12週間摂取していただき、摂取前後に認知機能検査や睡眠状態の調査を行うことで、オレイン酸アミドの摂取による認知機能や睡眠状態への効果を評価するヒト対象研究を実施しました。

 

 

論文・発表内容

【タイトル】

カマンベールチーズ由来脂質成分の認知機能維持および睡眠状態改善効果

論文原題:Milk-based culture of Penicillium camemberti and its component oleamide affect cognitive function in healthy elderly Japanese individuals: a multi-arm randomized, double-blind, placebo-controlled study. Front. Nutr., 2024, Vol.11. doi: 10.3389/fnut.2024.1357920

 

【方法】

 50歳以上75歳未満の日本人男女60名(最終的な有効性解析対象者は58名)を対象に、3群ランダム化二重盲検並行群間試験を実施しました。被験者には試験食品としてOAD(オレイン酸アミド純物質60 µgを含むカプセル食品)、MCW(オレイン酸アミド60 µgを含む乳原料発酵物を含むカプセル食品)、プラセボ(オレイン酸アミドを全く含まないカプセル食品)のいずれかを12週間継続的に摂取していただきました。

 試験食品の摂取前後には認知機能との強い関連性が知られる血中BDNF量を測定したほか、2種類の認知機能検査(主要評価:Cognitrax、副次評価:あたまの健康チェック®)を用いて被験者の認知機能やその変動を評価しました。また、同様に睡眠状態の主観評価をピッツバーグ睡眠質問票(PSQI-J)にて測定し、睡眠の質や入眠時間などの状態を評価しました。

 

【結果】

①認知機能と関連する血中BDNF量は、試験食品摂取前と比較して摂取後にプラセボ群では負の変化率を示したのに対し、OAD群とMCW群の両群で正の変化率となるといった傾向を示しました(図1、有意差なし)。

②Cognitraxでは群間で有意な差は確認されなかったものの、あたまの健康チェック®では総合スコアの変化量のほかに、短期記憶を示す即時自由再生、ワーキングメモリーを示す遅延自由再生のそれぞれのスコアの変化量が、プラセボ群に対してOAD群とMCW群の両群で有意に高値を示しました(図2)。

③OAD群とMCW群の両群にて、試験食品の摂取前に比べて摂取後に睡眠状態の総合スコア(図3)や、試験の下位項目である睡眠の質、入眠時間のスコアが有意に改善しました。

 

【考察】

 今回の研究で使用したオレイン酸アミドやオレイン酸アミドを含む乳原料発酵物の摂取は、認知機能の中でも特に短期記憶やワーキングメモリーの維持に効果を発揮することが示唆されました。また、これらは睡眠状態の改善にも寄与する可能性が示されました。

 

 

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