【国連食糧農業機関のプロジェクト】「THE SDGs アクションカードゲームX(クロス)」ブータン版が完成。
8月12日ブータンで行われた「National Youth Symposium」で体験会を開催
金沢工業大学SDGs推進センター(センター所長 平本 督太郎 経営情報学科教授)は、SDGsに関するゲーミフィケーション教材「THE SDGs アクションカードゲームX(クロス)」のSustainable Bhutan Version(以下「ブータン版X(クロス)」)の開発プロジェクトに取り組み、本年8月に完成しました。
当開発プロジェクトは国連の専門機関の一つである国連食糧農業機関(FAO)本部と金沢工業大学が契約を締結した2023年12月から始まりました。
FAOが資金的・技術的な後方支援を行い、金沢工業大学が2018年に開発したカードゲーム「THE SDGs アクションカードゲームX(クロス)」を応用してヒマラヤ山脈地域の農業食料システムの変革に焦点を当てたゲームを制作すること。そして制作したゲームは、ブータンで開催されるユース会議で発表することを内容としていました。
完成したブータン版X(クロス)は8月12日の国際青少年デー(International Youth Day)にあわせてブータンで開催されたFAOとブータン農業省共催の「National Youth Symposium」初日に体験会が行われ、ブータンのワールド・フード・フォーラムのユースメンバーなど100人が参加。好評を博しました。
金沢工業大学SDGs推進センターでは今後、ブータンのユースメンバーにオンラインでファシリテーター研修を実施。ブータンユースメンバーが主体となって、ブータン版X(クロス)をブータン国内に展開していく予定です。
ブータン版X(クロス)開発プロジェクトについて
ブータン版X(クロス)の開発は金沢工業大学SDGs推進センターの平本 督太郎所長が統括責任者となり、金沢工業大学の大学院生・学生6名と研究員1名、職員1名、および金沢工業大学経営情報学科卒業生で慶應義塾大学大学院に在学中の学生2名と研究員1名の計12 名が携わりました。 FAOブータン国事務所、ブータンのワールド・フード・フォーラムユースメンバー(World Food Forum Bhutan Chapter)と共に、カードの内容やデザインなどについて定期的にオンラインミーティングを実施。ブータンの食料・農業事情についての文献調査と情報共有をもとに話し合いを重ね、8月に完成しました。
[ブータン版X(クロス)開発プロジェクトメンバー]
●プロジェクト統括責任者 平本 督太郎教授(金沢工業大学SDGs推進センター所長)
●金沢工業大学
・島田颯稀さん(応用バイオ学科3年) SDGs Global Youth Innovators代表
・直江海翔さん(経営情報学科3年) SDGs Global Youth Innovators副代表
ほか応用バイオ学科(3年1名)、応用化学科(3年1名)、大学院ビジネスアーキテクト専攻(修士課程2年1名、1年1名)の4名
・島田高行さん(金沢工業大学SDGs推進センター研究員)
・薮内一葉さん(金沢工業大学SDGs推進センター職員)
●慶應義塾大学
・池田梨花さん (慶應義塾大学 グローバルリサーチインスティテュート研究員/慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 博士課程)
・前出真希さん (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 修士課程1年)
ほか 慶應義塾大学大学院政策メディア研究科(修士課程1年1名)
※いずれも金沢工業大学経営情報学科卒業生(平本督太郎研究室)
【THE SDGs アクションカードゲームX(クロス)とは】
THE SDGs アクションカードゲームX(クロス)は、楽しみながらSDGsについて考え、アイデアを創出し、一人ひとりのアクションにつなげられたら、という想いから金沢工業大学の学生プロジェクト「SDGs Global Youth Innovators」が主体となって2018年に開発されました。
X(クロス)は、トレードオフカード34枚とリソースカード34枚の二種類のカードにより構成されています。トレードオフカードはSDGsの17個の各ゴールにおけるトレードオフの問題が絵とともに描かれ、リソースカードには問題解決のために活用可能なAIやロボットなどの技術や製品、サービス等が描かれています。提示されたトレードオフカードに対して、リソースカードを使ってグループで解決策を考え、アイデアをまとめます。
ゲームを通じて社会的な課題解決のノウハウを実践的に身につけることができ、世界70ヵ国、54万人以上の方々に体験していただいています。
※トレードオフ カード
「AI技術が向上し普及した結果、働きたくても働けない人が増え始めた」というように、一方を得ようとすると、他方を犠牲にしなければならないというジレンマの関係を記したカード
【ブータン版X(クロス)について】
ブータン版X(クロス)は、すでに製品化されている「THE SDGs アクションカードゲームX(クロス)」の英語版(トレードオフカード34枚、リソースカード34枚)に、ブータンの食料や農業の魅力と課題を反映させたカードを各9枚加えたもので、トレードオフカード43枚、リソースカード43枚からなります。
[トレードオフカードの例]
農地を守ろうと、野生動物を追い払ったら、動物たちのエサが減り動物たちが危険にさらされた。(17の目標の2「飢餓をゼロに」)
[リソースカードの例]
ブータンの伝統的なグリーン農業技術
ブータンの農業は、地元にある牛糞などを原料とする有機肥料を使用している。この環境に優しい農業技術は、気候変動にうまく適応し、地域社会を支えている。
※ブータン版XはAndroidスマホのアプリでもご利用いただけます。
▶Google Play ダウンロードページ:
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.SDGs.CardGameX
【ブータンで行われたワークショップ】
完成したブータン版X(クロス)は、8月12日の国際青少年デー(International Youth Day)にあわせてブータンで開催されたNational Youth Symposium 1日目のワークショップでローンチされました。ワークショップは、金沢工業大学SDGs推進センターの研究員と職員、そして金沢工業大学の学生団体「SDGs Global Youth Innovators」の学生および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の学生が実際にブータンまで赴き、実施しました。
[ワークショップ参加メンバー] (6名)
・島田颯稀さん(応用バイオ学科3年)
・直江海翔さん(経営情報学科3年)
・池田梨花さん 慶應義塾大学 グローバルリサーチインスティテュート研究員/慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 博士課程
・前出真希さん 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 修士課程
・島田高行さん(金沢工業大学SDGs推進センター研究員)
・薮内一葉さん(金沢工業大学SDGs推進センター職員)
【ワークショップの成果】
ブータン版X(クロス)のワークショップには100名を超える方が参加し、ゲームを体験しました。
ワークショップ後のアンケートでは、「とても興味深く、たくさん学ぶことができた」、「ブータンの食料・農業に関する現実の課題に取り組むためにカードゲームを使用するというインタラクティブなアプローチは学習プロセスを楽しく効果的なものにしてくれた」、「ワークショップの体験で、教育的要素はもちろん、現実世界の課題に取り組む上でのゲーミフィケーションの可能性を感じた」など、ゲームについての好意的な意見が参加者から寄せられました。
また、このゲームの今後の活用については、「地元の農家や農業関係者と活用したい。さまざまなシナリオをシミュレーションすることで実践において生産性や持続可能性を高める戦略を考えるのに役立つ」「このゲームはブータン全土の教育現場などで活用できると思う。教育だけでなく、持続可能な行動へのモチベーションや長期的にポジティブな変化を促せる」という声も寄せられました。
【島田颯稀さんのコメント】
ブータン版X(クロス)は、SDGsの達成に向けてブータンの若者が農業食料システムの課題に取り組む方法を学べるよう開発しました。ゲームを通じてイノベーティブなアイデアが生まれ、ブータンの農業食糧分野におけるイノベーション創出のきっかけになれば大変うれしいです。
【今後の展開】
今後は、SDGs推進センターがブータンのワールド・フード・フォーラムのユースメンバーにオンラインでファシリテーター研修を実施し、同メンバーが主体となって、今後ブータン国内で展開していく計画です。
また同様のプロジェクトを他国・他地域にも展開していく予定です。若者のグローバルな場での活躍を推進するとともに、持続可能な開発に関する研究と教育を一層強化していきます。
【SDGsの達成に向けた金沢工業大学の取り組み】
金沢工業大学では、第1回「ジャパンSDGsアワード」SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞受賞後、SDGs達成に向けた様々な組織との連携を加速させています。その他、金沢工業大学のSDGsに関する取り組みについては、SDGs推進センターのウェブサイトをご覧ください。
▶ https://www.kanazawa-it.ac.jp/sdgs/
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- 所在地 石川県
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