ユネスコ世界遺産登録の稲・魚・アヒル共生システムが中国南西部の貴州省に恩恵

Guizhou Provincial Department of Agriculture and Rural Affairs

 

中国南西部・貴州省の従江県加榜郷では、

米が収穫期を迎えています

 

AsiaNet 200394 (1183)

 

【貴陽(中国)2024年9月19日新華社=共同通信JBN】中国南西部・貴州省の従江県には多くの民族が暮らしており、古くからの魅力的な中国伝統農業を受け継いでいます。広大な山の斜面を開墾して水田を造成し、そこでは稲、魚、アヒルの共生に成功しています。

 

同じ田で1シーズン分の米を作り、一群の魚を養殖し、一群のアヒルを飼育するという農業の偉業は、従江で数千年にわたって受け継がれてきました。

 

従江県の稲・魚・アヒル共生システムは、2011年に世界農業遺産(Globally Important Agricultural Heritage Systems、GIAHS)保護のパイロットプロジェクトとして登録され、2013年には中国の最初の重要農業文化遺産になりました。

 

中国の伝統的な二十四節気の「穀雨」の始まりとともに、棚田では農業活動が本格化します。農家は水田に稲の苗を植え、それと同時に稚魚を放流します。稚魚が指2、3本ほどの大きさに成長したら、孵化したばかりのアヒルのヒナも水田に放します。

 

水田は魚とアヒルに自然の餌を提供し、魚とアヒルは水田から害虫や雑草を取り除くため、農薬や除草剤の使用が大幅に削減されます。魚とアヒルの排泄物は、米の天然の有機肥料になります。1つの水田から、米、魚、アヒルが同時に収穫されます。

 

県は、稲・魚・アヒル共生システムを最大限に活用して、農業文化遺産を保護し、地元住民の貧困の撲滅と農村活性化を同時に実現してきました。

 

2022年12月にカナダで開催された国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、従江の稲・魚・アヒル共生システムが、数千年にわたる先祖伝来の農業の知恵と地元住民の生物多様性保全の経験を世界に実証しました。

 

2023年、従江県の稲・魚・アヒル共生システムが選ばれ、Global Solicitation on Best Poverty Reduction Practices(貧困削減の最良の事例に関する世界的募集)の第 4 回募集でその卓越性が認められました。

 

従江県が誇る中国のKam Rice(カムライス)は、貴州省の地元の侗(トン)族によって数千年にわたって栽培されてきた特別な種類の米です。複数の民族が人口の90パーセントを占めるこの県は、豊かで多彩な民族文化を擁し、国家生態文化遺伝子パークとして知られています。

 

県の山間部の農村に入ると、伝統的住居、鼓楼、古代の納屋が点在しています。秋の収穫期には、村々で干される黄金色に輝く稲穂の列が、美しい景観を新たに形作ります。

 

ソース:Guizhou Provincial Department of Agriculture and Rural Affairs

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