MSCI が「Women on Boards and Beyond 2024 進捗レポート」を発表
MSCIは本日、2009年から毎年発行している企業の取締役会における性別多様性の状況を追跡調査した年次報告書の最新版「Women on Boards 進捗と今後の展望に関するレポート2024」を発表しました。
アジア太平洋地域(APAC)の動向について、MSCIのAPACコーポレート・ガバナンス・リサーチ・リードのポーター・萌子氏は次のように述べています。「先進国と新興国が共存する多様な地域であるAPACでは、引き続き性別多様性の向上が進み、特に男性のみの取締役会の削減が顕著でした。2024年には、香港とシンガポールにおいて男性のみの取締役会の数がゼロとなり、日本市場でも残るのは1社のみとなっています。さらに、MSCI AC Asia Pacificインデックスに含まれるAPACの13市場[1]のうち11市場で、女性取締役比率が30%を超える企業の割合が増加しました。」
2024年版のレポートでは、取締役および指導的地位における男女の比率に加えて、取締役会の主要委員会の現状に関する調査も実施しました。これについてポーターは、「取締役会の構成を決めるうえで重要な役割を担うのが指名委員会です。指名委員会の委員長を女性が務める企業の割合は、世界全体では26.3%であるのに対し、APACは18.1%にとどまりました。指名委員会の委員長が女性である企業は、平均して取締役会における女性比率が高い傾向にあります」とコメントしました。
MSCI APACコーポレート・ガバナンス・リサーチ・リード ポーター・萌子氏
主な調査結果は以下の通りです。
◎2024年の大・中型株の上場企業(MSCI ACWI構成銘柄[2])における女性取締役の比率は27.3%で、前年から1. 5ポイント上昇しました。また、取締役の30%以上を女性が占める企業は46.2%でした。
・APACの2024年の女性取締役比率は、2023年の18.2%から19.3%に増加しました。
・APAC市場で女性取締役比率の増加率が最も高かったのは、日本(+2.5ポイント)、香港(+1.8ポイント)、タイ(+1.8ポイント)でした。
・男性のみの取締役会の割合の減少率が最も高かったのは、香港(-8.8ポイント)、シンガポール(-8.3ポイント)、台湾(-4.5ポイント)でした。
◎一方、MSCI ACWIおよびMSCI Emerging Marketsインデックスの構成銘柄において女性が最高財務責任者(CFO)を務める企業の割合は減少し、それぞれ0.5ポイントと1.9ポイントのマイナスとなりました。
・APACにおけるCEOおよびCFOの女性比率は、それぞれ0.2ポイントと0.8ポイント減少しました。
・APAC市場でCEOの女性比率の増加幅が最も高かったのは、ニュージーランド(+7.1ポイント)、日本(+1.7ポイント)、香港(+1.2ポイント)で、減少率が最も高かったのは、インドネシア(-9.1ポイント)、タイ(-4.1ポイント)、シンガポール(-2.5ポイント)でした。
・APAC市場でCFOの女性比率の増加幅が最も高かったのは、タイ(+13.1ポイント)、マレーシア(+4.9ポイント)、ニュージーランド(+4.7ポイント)で、減少率が最も高かったのは、インドネシア(-7.3ポイント)、シンガポール(-6.7ポイント)、香港(-4.3ポイント)でした。
◎指名委員会は取締役会の構成の決定において非常に重要な存在であり、当社の分析から、他の委員会よりも委員長の女性比率が最も低い傾向にあることが分かりました。また、指名委員会の委員長を女性が務める取締役会は、他社と比べて全体的に女性取締役が多いことも明らかになりました。
・APACの指名委員会における委員の女性比率は22.7%で、報酬委員会の23.8%、監査委員会の25.5%を下回りました。
・指名委員会における委員の女性比率が最も高かったのは、ニュージーランド(50.0%)、オーストラリア(44.0%)、マレーシア(41.9%)で、APAC全体の平均(22.7%)を上回りました。
・一方、APAC市場の指名委員会における委員の女性比率が最も低かったのは、タイ(15.4%)、台湾(15.9%)、中国(17.1%)でした。
◎MSCI ACWI構成銘柄のうち、女性取締役比率で30%以上を維持し、かつ同一の女性が3年以上連続で取締役を務める企業はわずか13.1%でした。対照的に、3年連続で同一の男性取締役が30%以上を占める企業は80.2%に上りました。
・この在任期間の男女差をもたらしている背景の一つとして、男性取締役に比べ女性取締役が複数の企業で取締役を兼任している割合が高いことが挙げられます。複数の企業で取締役を兼任している場合、それぞれの取締役会で時間的制約を受けることになり、責務を十分に果たせなくなる可能性が生じます。
◎女性取締役比率とリターンの相関関係:MSCI ACWI構成銘柄のうち、女性取締役の比率が30%を超える企業は、女性取締役の比率が30%に到達していない企業に比べて累積リターンが18.9%高いことが分かりました(2019年7月31日から2024年9月30日までの期間に毎月リバランスして比較[3])。
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[1] MSCI AC Asia Pacificインデックスは、アジア太平洋地域の先進国5市場と新興国8市場における大・中型株を対象とした指数です。
[2] 特段の記載がない限り、本調査のユニバースは、先進国市場と新興国市場の大・中型株を含むMSCI ACWIの構成銘柄です。また、MSCI WorldとMSCI Emerging Marketsは、それぞれ先進国市場の大・中型株、および新興国市場の大・中型株を対象とした指数です。
[3] 2019年7月31日から2024年9月30日までの期間に、女性取締役比率が30%以上の企業と女性取締役が不在の企業のリターンを、毎月リバランスを行ったうえで比較しました。相関関係は因果関係を意味するものではありません。
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このプレスリリースを配信した企業・団体

- 名称 MSCI合同会社
- 所在地 東京都
- 業種 その他金融業
- URL https://www.msci.com/
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