特殊詐欺認知件数が減少!尼崎市24%減↓・兵庫県34%増↑

~特殊詐欺検知AIに関する共同研究最終報告~

尼崎市

  


 特殊詐欺被害が大きな社会問題となる中、兵庫県下でも特殊詐欺被害の認知件数は年々増加している状況です。しかし尼崎市においては令和4年以降の認知件数は減少傾向となっております。令和6年の認知件数は令和4年比-27件の86件であり、減少数に関して兵庫県下でトップとなりました。

 尼崎市では、複雑化かつ巧妙化する特殊詐欺の撲滅に向けて、特殊詐欺検知AIに関する共同研究を含む3つの取組を実施してきました。  

        

1 尼崎市の3つの取組

【1】特殊詐欺検知AIに関する共同研究

 令和4年度から学校法人東洋大学(注1)・富士通株式会社(注2)と共に、AI(人工知能)と犯罪心理学を組み合わせ、被害者の心理状態を推定しリスクを可視化することで特殊詐欺を未然に防止する日本初の共同研究を行ってきました。そして今回、共同研究の最終段階として、一般家庭で特殊詐欺リスクを検知する日本初の実証実験を実施しました。

⑴最終実証実験期間 

 令和6年11月5日~29日

⑵参加者

 市内在住の高齢者(22名)

⑶実験内容

 高齢者の自宅にバイタル測定が可能なセンサーを設置し、事前アンケートや測定されたバイタルサイン

に基づき、心理状態を分析し、特殊詐欺リスク検知を行う。

⑷実証実験の結果

 今回の実証実験では、事前に調査した性格特性(心理尺度)とバイタルサイン(呼吸数・心拍数)を組

合わせることで、参加者が特殊詐欺電話を受けている状態であると検知できる精度を82%まで高めることに成功しました。

 性格特性において自身を「疑い深い」と思っている人でも会話内で「特別感」を示されることで、相手

の話を受け入れてしまうことがあるという結果がでました。また、特殊詐欺電話を受けていると検知された人は、高い心拍数や、平均~やや高い呼吸数が見受けられ、平常時よりも心理的負荷(緊張、不安)が高まっていることが判明しました。心理的負荷が高い状況下においては、判断力が低下しやすくなるため、相手を信用してしまいやすくなります。そして、信用してしまった相手の話を聞く過程で心理的負荷が低下(平静にもどる)することで、犯人の指示する行動を取る(ATMでの送金など)ということが考えられます。

 また、本共同研究を進める過程で、最新の特殊詐欺の手口を模倣した特殊詐欺訓練AIシステム(以下、訓練AIシステム)が開発され、リアリティのある会話による特殊詐欺の疑似体験を行うことが可能になりました。市民の防犯意識や特殊詐欺対策への関心をより高めるために、訓練AIシステムによる体験会の実施や共同研究に関する情報発信をしてきました。

 

【2】自動録音機能付電話機等の購入補助事業

 自動録音機能付電話機等の購入補助事業を実施し、3年間で約2,000軒の高齢者世帯に防犯機能付き電話機が設置されました。尼崎三警察署(尼崎南署・東署・北署)による高齢者宅の戸別訪問時に特殊詐欺への注意喚起や自動録音機能付電話機等の購入補助制度の活用を働きかける取り組みも行われました。

 

【3】市・警察・金融機関の三者の連携

 市・警察・金融機関の三者で特殊詐欺発生時や、特殊詐欺の予兆電話があった際には情報共有を行い、近隣ATMでの警戒を実施してきました。

 警察や防犯協会をはじめ金融機関など市域が一丸となって特殊詐欺被害を防ぐための取組を行ってきました。

 

2 今後の取組~訓練AIシステムによる特殊詐欺疑似体験の活用~

 共同研究の過程で誕生した「訓練AIシステム」を活用し、令和6年8月には富士通㈱の協力のもとで市民を対象として特殊詐欺体験会を実施しました。この取り組みが広がりを見せることになり、令和7年度は兵庫県が兵庫県下で体験会の実施を予定しています 。本共同研究によって開発された技術は今後、特殊詐欺被害防止への啓発に寄与できるツールとして、尼崎市ひいては兵庫県下での特殊詐欺被害防止への活用が期待されています。

 


 尼崎市の特殊詐欺認知件数は減少したものの、今後も動向を注視し、特殊詐欺被害増加時には今回知り得たノウハウを特殊詐欺対策に活かしていくとともに、引き続き講習会やイベントで体験会を実施し、詐欺の手口や、詐欺電話を受けている時の体験者自身の心理状態を理解してもらうことで、『特殊詐欺は防ぐ事ができる』という事を知ってもらうことで、市民の防犯意識の向上につなげて参ります。

 

資料

          

(注1)学校法人東洋大学:所在地 東京都文京区 理事長 安齋 隆

   本研究では、社会学部長である桐生正幸教授のもと、東洋大学が開発した心理尺度を用いた心理状態

   の測定や分析を行います。

      

 < 東洋大学 桐生教授 >

 桐生教授は、科学捜査研究所で犯罪心理に関する検査や分析を行っていた経歴を持ち、現在東洋大学社会学部長を担うなか、社会心理学科の教授として、統計手法を用いた犯罪心理学に関する研究を行っています。また、日本犯罪心理学会常任理事や日本カスタマーハラスメント対応協会理事を務められています。

 

(注2)富士通株式会社:本店 神奈川県川崎市 代表取締役社長 時田 隆仁

   本研究では、富士通株式会社の研究部門の1つであるコンバージングテクノロジー研究所が、デジタル技術と人文社会科学を融合した特殊詐欺防止技術の開発を行います

 

 < 富士通㈱ コンパージングテクノロジー研究所 >

 本研究所では、富士通が長年培ってきた自然科学の知見をベースに、人と社会にフォーカスして異分野融合を進めており、デジタル技術と人文社会科学の融合により、人と社会を深く理解して働きかけ社会課題を解決するコンバージングテクノロジー(融合技術)の実現を目指しています。

 

≪特殊詐欺訓練AIツールの実証実験の様子≫ ※YouTube

 令和5年11月30日~12月1日の2日間、尼崎市にて実施した特殊詐欺訓練AIツールを使った実証実験の様子です。

 

 なお、これまでの共同研究の経緯経過についてはホームページに記載しております。

  https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/kurashi/ansin/bouhan/1030308.html

 

 

  

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