中古の蓄電池の安全なリユースを促進!

JIS C 4442が発行されました

 独立行政法人 製品評価技術基盤機構[NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、本所:東京都渋谷区西原]が原案作成に参画した、日本産業規格「JIS C 4442:電気エネルギー貯蔵システム -電力システムに接続される電気エネルギー貯蔵システムの安全要求事項- 電気化学的システムの計画外変更の実施」が、2025(令和7)年10月20日に発行されました。

 

 この規格は、定置用大型蓄電池システム(BESS※1)の適切な長期運用管理の観点から、BESSの運用期間中に、当初予定していなかった変更を実施する場合の安全要求事項について規定しています。具体的には、BESSの設置場所を変更したり、自動車等に使用されていた中古の蓄電池をBESSで再利用したりする場合等の、再設計/設置・試運転/運用・保守等の各段階における要求事項を規定しています。

 

 この規格の発行により、国内においてBESSのより安全な利用が促進され、事故を防止することが期待されます。また、中古蓄電池の再利用という限りある資源の有効活用による、循環型経済(サーキュラーエコノミー)の構築への貢献も期待されます。

 

※1 Battery Energy Storage System(電池を用いた電気エネルギー貯蔵システム)

 

 

 

 

●BESSは、再生可能エネルギーの利用拡大にむけ、太陽光や風力で発電された電力の変動を吸収し、適切に系統に繋ぐため、その普及が期待されていますが、世界各地では、BESSの火災事故が発生する等、その安全性評価にかかる環境整備が望まれています。

 

●NITEは、2016(平成28)年、大型蓄電池システム試験評価施設(NLAB)を設置し、BESSの安全性を評価してきました。さらに、NLABにおける評価や試験ノウハウを活かし、より安全にBESSを普及させる環境を整備する観点から、国際電気標準会議(IEC)の技術専門委員会(IEC/TC120:電気エネルギー貯蔵システム)における規格開発に参画しました。

 

●2020(令和2)年4月16日には、NITEが国際規格原案を策定したIEC 62933-5-2が発行され、2021(令和3)年3月22日には、その国内対応規格となる日本産業規格「JIS C 4441:電気エネルギー貯蔵システム-電力システムに接続される電気エネルギー貯蔵システムの安全要求事項-電気化学的システム」が発行されました。この規格は、電力系統に接続されるBESSのシステムとしての安全要求事項について規定しており、設計から運用期間終了時の管理までの全ライフサイクルに適用することが可能です。特に人命に関わる火災・爆発・有毒ガス滞留への対策として、例えば蓄電池ユニットからの出火・延焼を防ぐための対策やその対策を確認するための耐類焼性試験等、システム全体として必要な安全対策及び確認方法が規定されています。

 

消防庁の通知

https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/items/3647128d82683db0e6090528c97c5d81aa57eb64.pdf

 

●一方で、BESSは,十数年と長期にわたって使用する可能性があり,当初予定していなかった変更を実施する場合が多々ありますが、IEC 62933-5-2ではその部分まで規定していませんでした。そこで,適切な長期運用管理を実施するため,BESSの設置場所を変更したり、自動車等に使用されていた中古の蓄電池をBESSで再利用したりする場合等の安全要求事項を、日本からIEC/TC120に提案し、IEC 62933-5-3が2023(令和5)年10月10日に発行されました。この規格原案の開発を行ったNITEは、国内市場の取引要件や行政機関・地方公共団体による基準策定での更なる規格活用を見越して、国内対応規格となる日本産業規格(JIS)原案作成に参画し、NITE職員が原案作成委員会の幹事を務めました。そしてこのたび日本産業標準調査会(JISC)での審議を経て、2025(令和7)年10月20日に「JIS C 4442:電気エネルギー貯蔵システム -電力システムに接続される電気エネルギー貯蔵システムの安全要求事項- 電気化学的システムの計画外変更の実施」が発行されました。

参考: 世界初!蓄電池システムの安全国際規格(運用中の変更・中古蓄電池の使用)が発行!

 

●より多くの方々にJIS C 4442を活用していただくことで、国内において、BESSのより安全な利用が促進され、事故を防止することが期待されます。また、中古蓄電池の再利用という限りある資源の有効活用による、サーキュラーエコノミーの構築への貢献も期待されます。

 

●NITEは、今後も、より安全なBESSの普及及び国内の蓄電池システム産業の更なる成長を支援していきます。

 

 

 

 

関連リンク:

日本産業規格(JIS)を制定・改正しました(2025年10月分)(経済産業省)

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  • 所在地 東京都
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