乳製品製造工程由来のアップサイクル素材「グルコラクトオリゴ糖」の整腸作用をヒト対象研究で確認

~副産物の有効活用による酪農・乳業界の課題解決に貢献する可能性~

meiji

7月21日

株式会社 明治

乳製品の製造過程で生まれる低利用副産物をアップサイクルした「グルコラクトオリゴ糖」に 腸内有用細菌を増やし、整腸作用があることをヒト対象研究で明らかに
~副産物の有効活用による酪農・乳業界の課題解決に貢献する可能性~
4月23日 国際学術誌 Microorganismsに論文掲載 6月9日 第30回腸内細菌学会学術集会にて発表

 

 株式会社 明治(代表取締役社長:八尾 文二郎)は、排便回数の少ない日本人成人を対象に、生乳から脂肪やタンパク質を分離して乳製品を製造する工程で生じる低利用副産物(利用価値の低かった副産物)「パーミエイト」をアップサイクルした素材である「グルコラクトオリゴ糖」に、腸内有用細菌を増やし、整腸作用があることをヒト対象研究において明らかにしました※1。本研究成果は、2026年4月23日に国際学術誌Microorganismsにオンライン掲載されました※2。また、同年6月9日の第30回腸内細菌学会学術集会にて発表しました。

 

【研究成果の概要】

 排便回数の少ない日本人の成人男女50名を対象に、乳糖を主成分とする低利用副産物「パーミエイト」にショ糖を加えて乳酸菌の力でアップサイクルした「グルコラクトオリゴ糖」(図1)の4週間継続摂取が整腸作用に与える影響を評価しました。その結果、腸内有用細菌であるParabacteroidesの占有率が増加し、胆汁酸組成の変化がもたらされ、便通が改善しました。また、腸内細菌の多様性も増進し、これらの結果から「グルコラクトオリゴ糖」は腸内環境の改善に働いたことが考えられます。Parabacteroidesの増加が、中性脂肪の減少や肝機能の指標であるγ-GTの減少と関連する傾向も得られました。また、「グルコラクトオリゴ糖」により占有率が増加したParabacteroidesの中には、百寿者に多いことで知られている種類も含まれていました。これらのことから、「グルコラクトオリゴ糖」は脂質代謝の改善、ひいては健康寿命延長の実現への貢献が期待されます(図2)。

 

図1.アップサイクル素材である「グルコラクトオリゴ糖」

 


図2. 研究の概要と期待される健康機能(概念図)

 

【研究成果の活用】

 乳糖やミネラルを多く含む「パーミエイト」の利用は限定的で、その高付加価値化は酪農・乳業業界が地球環境に配慮した循環型産業として発展するための課題の1つでした。利用価値の低かった副産物に新たな活用方法を見いだしたことで、循環型社会の実現に向けた大きな一歩となることが期待されます。

 「グルコラクトオリゴ糖」により占有率が増加したParabacteroidesの中には、百寿者に多いことで知られている種類も含まれていました。今後は便通改善にとどまらず、研究開発を通じて腸の健康を起点とした健康寿命延長の実現に貢献してまいります。

 

研究の目的】

 Parabacteroidesという腸内細菌は人種を超えて9割以上のヒトが保有しており、胆汁酸の調節を介して、脂質・糖代謝の改善や病原体の選択的除去など、ヒトに有益な作用をもたらす側面があります。

 「グルコラクトオリゴ糖」は近年、当社の独自製法(特許出願中)により「パーミエイト」から工業的に生産することに成功したオリゴ糖です。「グルコラクトオリゴ糖」はParabacteroidesを選択的に増加させることがヒトの便を用いた培養試験において明らかになっていましたが、ヒトでの影響は未検討でした。そこで本研究では、「グルコラクトオリゴ糖」のプレバイオティクスとしての基本的な機能である整腸作用を明らかにするとともに、Parabacteroidesの占有率をはじめとした腸内環境に与える影響を評価することを目的としました。

 

※1: 国際学術誌ACS Food Sci. Technol., https://doi.org/10.1021/acsfoodscitech.5c00316

※2: 国際学術誌Microorganisms, https://doi.org/10.3390/microorganisms14050955

 

発表内容

【演題タイトル】

グルコラクトオリゴ糖の摂取がParabacteroidesの増加を介して腸の健康にもたらす影響:無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験 ※3

 

【方法】

・排便回数が週5回以下の健康な日本人50名を対象としました。

・試験食品(「グルコラクトオリゴ糖を1.4g含む糖液」もしくは「グルコラクトオリゴ糖を含まない糖液(プラセボ)」)を1日1回、4週間摂取してもらいました。

・試験食品摂取1週間前から摂取4週間後まで日誌による排便状況を評価しました。

・試験期間の前後で便および血液を回収し、便中の菌叢や胆汁酸分析および血液生化学検査を実施しました。

 

【結果】

グルコラクトオリゴ糖摂取群では、プラセボ摂取群に比べて以下の結果が得られました。

・排便回数が有意に増加(図3は排便回数の変化量の推移)

・腸内のParabacteroides占有率が有意に増加(図4)

・胆汁酸の一種であるケノデオキシコール酸の存在比が有意に増加、デオキシコール酸の存在比が有意に減少(図5)

・腸内細菌の多様性が有意に増加

さらに、グルコラクトオリゴ糖摂取群におけるParabacteroidesの増加と血中の中性脂肪および肝機能の指標であるγ-GTの減少との間に相関傾向が認められました。

 

図3. 排便回数(摂取前からの変化量)図4. Parabacteroidesの占有率図5. 便中の胆汁酸組成 (摂取前からの変化量)

【考察】

本研究の結果から、グルコラクトオリゴ糖はParabacteroidesを増やすことにより、胆汁酸代謝を調節し、便通の改善をもたらした可能性が考えられます。また、腸内細菌叢の多様性増加や胆汁酸組成の変化から、腸内環境の改善が示唆されます。Parabacteroidesと血中代謝指標の逆相関傾向は、グルコラクトオリゴ糖がParabacteroidesの増加を介して脂質代謝を良好にする可能性を示唆しています。今後、さらなる研究を通じてグルコラクトオリゴ糖が代謝に与える影響が解明されることが期待されます。

 

※3: 無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験は、研究参加者がどちらの試験食品を摂取したか秘密にした上で、効果を公平に比べる、最も信頼性の高いヒト対象研究のデザインです。

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

プレスリリース添付画像

図3. 排便回数(摂取前からの変化量)

図4. Parabacteroidesの占有率

図5. 便中の胆汁酸組成 (摂取前からの変化量)

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