共同研究プロジェクト「リカちゃんごっこ遊びラボ」第1回調査報告!3つの仮説の検証結果が明らかに!

タカラトミー

タカラトミーと東京学芸大こども未来研究所は、2012年3月より共同研究プロジェクト「リカちゃんごっこ遊びラボ」を発足し、「リカちゃん」人形による「ごっこ遊び」の子どもの発達への影響や効果の調査・研究を行っています。興味深い結果が明らかになりましたので、中間報告として主な調査結果をご報告いたします。

2012年8月8日

株式会社タカラトミー

特定非営利法人東京学芸大こども未来研究所

中間報告速報!「リカちゃん」人形による「ごっこ遊び」の効果を定性面から調査・検証

3つの仮説の検証結果が明らかに!

多様な「リカちゃん遊び」が子どもの発達に必要な能力獲得につながっている!

~「リカちゃん」に自分を同一化して遊ぶことで、自他認識能力を獲得~

~言語習得・社会性の獲得や自分の理想像の獲得にも効果~

 株式会社タカラトミー(本社:東京都葛飾区、代表取締役社長:富山 幹太郎)と、特定非営利法人東京学芸大こども未来研究所(所在地:東京都小金井市、理事長:松田恵示)は、2012年3月より共同研究プロジェクト「リカちゃん ごっこ遊びラボ」を発足し、「リカちゃん」人形による「ごっこ遊び」の子どもの発達への影響や効果の調査・研究を行っています。

 本プロジェクトでは、「女児のごっご遊びへの参与観察調査(定性調査)」、「母親インタビュー調査(定性調査)」、「小学校高学年女子への振り返り調査(定量調査)」など、さまざまな手法を通じて調査・検証を行っていますが、そのうち、定性調査について興味深い結果が明らかになりましたので、中間報告として主な調査結果をご報告させていただきます。

<調査結果のポイント>

今回の調査では、子どもの発達段階における下記3つの能力に「リカちゃん」人形を使った「ごっこ遊び」が効果をもらたすことが検証されました。

①自己認識、他者認識能力の獲得 ②他者との関係性構築能力・社会性の獲得 ③なりたい自分像・将来像の獲得

また、「リカちゃん遊び」特有の行動特性が改めて確認されました。

「リカちゃん」特有の行動特性 <P3>

シンプルなお人形遊びに見える「リカちゃん遊び」ですが、改めて子どもたちの遊ぶ様子を観察すると、 「リカちゃん遊び」は「砂場遊び」のような基本的な遊びと同様、幅の広いものだということがわかりました。幅広い年齢の子どもがシチュエーション・発達の段階に応じて遊び方を広げている様子が見てとれました。

3つの仮説検証

「リカちゃん遊び」は幅広い年齢の子どもの発達段階に効果をもたらしている<P3、P4>

①自己認識、他者認識能力の獲得

◆「リカちゃん遊び」は、子どもの自他認識の発達段階の全てに関わり、各発達段階に応じた能力の獲得に効果をもたらす。

◆各過程において、大人が言葉を介在させることが重要。

◆ 「なりきり遊び」「役割遊び」などは言葉の習得によってできるようになる→「リカちゃん遊び」が言語習得を大いに促進。

②他者との関係性構築能力・社会性の獲得

◆「リカちゃん遊び」によって、子どもは社会の基本的ルールを覚え、自分をコントロールすることを学ぶ。

◆5歳位からできるようになる役割遊びでは、文脈を理解して演じることが必要。この行為が社会性を構築する基盤を育てる。

③なりたい自分像・将来像の獲得

◆ 「リカちゃん遊び」は、夢と現実が重なる中で憧れを人形の世界に抱き、理想の自分像を形成することを助ける。

◆ 世代を超えた「リカちゃん文化」の形成が安心感を生み出している。

調査研究【概要】

ごっこ遊びラボでは、下記3つの能力の獲得を、「リカちゃん」人形を使ったごっこ遊びの効果とする仮説を提唱しています。今回は定性面から、仮説の確かさを検証しました。

①自己認識、他者認識能力の獲得

自分の中に「心」を発見し、一緒に遊んでいるお友達にも自分とは違う「心」があることに気づく

②他者との関係性構築能力・社会性の獲得

お友達と仲良く遊べるようになり、知らない子とも、状況や前後関係を見ながら仲良くできるようになる

③なりたい自分像・将来像の獲得

「リカちゃん」の世界観の中での体験を通じ、自分のしたいこと、なりたい自分、将来への憧れなどに気づく

定性調査【実施概要】

下記主調査、補調査の2つの調査から検証。

①女の子のごっこ遊びへの参与観察調査(主調査)女児、および親を対象にした調査。一人遊び、親子、子ども同士など異なる条件下でリカちゃん人形によるごっこ遊びをしてもらい、その様子を専門家が観察する。

②母親インタビュー調査(補調査)母親を対象にした調査。自由な受け答えの中で「リカちゃん遊び」に対する意識を分析し、主調査での観察場面以外での「リカちゃん遊び」の実態を把握する。

定性調査による検証結果【詳細】

はじめに:「リカちゃん遊び」の行動特性について

定性調査により、前述の3つの仮説の検証に加え、「リカちゃん遊び」の行動特性が明らかになりました。

特性1:「リカちゃん遊び」は多様性があり、言わば積木や砂場のような存在。

      幅広い年齢の子どもがシチュエーション・発達の段階に応じて遊び方を広げている。

調査を通して、子どもたちは年齢や状況に応じて下記のような種類の異なった遊び方をしていることが明らかになりました。

○一人遊び

(1)リカちゃんを意識せずに代理品として遊ぶ「見立て遊び」(1歳ぐらい)

(2)リカちゃんを相手=他者として遊ぶ「ふり遊び」(2歳ぐらい)

(3)メーキャップやドレスアップをする「なりきり遊び」(3歳ぐらい~)

(4)自分がリカちゃんになりきって操作する「なりきり遊び」(3歳ぐらい)

○集団遊び

(5)互いにリカちゃんを操作して世界を作り上げる「見立て遊び」(4歳ぐらい~)

(6)互いに母と子などの役割を演じて遊ぶ「役割遊び」(5~6歳ぐらい)

このように、「リカちゃん」は人形でありながら、幅広い年齢の子どもの発達のサポート役になる、多様性に富むおもちゃであることが改めて分かりました。いわば積木や砂場のように、子ども達自身で遊びをつむぎ出していく存在になっているようです。

特性2:「リカちゃん」は母親にとっても「楽しい時間」を提供。安心感があり、母子をつなぐ “ハブ” 的存在。

調査では、「リカちゃん」の洋服の型紙本が母親達の間で人気となっていることも分かりました。「リカちゃん」は母親に対しても楽しみを提供しているようです。また、母親も子ども時代に遊んだ「リカちゃん」は、母親に安心感を与えるおもちゃということもあり、 「リカちゃん」を使って子どもが人形遊びを楽しんでいるのを見ることも、母親としての楽しみとなっています。

「リカちゃん」は母子が楽しみを共有する“ハブ”となっています。

仮説①の検証 <自己認識・他者認識能力の獲得>

結果1:「リカちゃん遊び」は、子どもの自他認識の発達段階の全てに関わり、各発達段階に応じた能力の獲得に効果をもたらす。各過程において、大人が言葉を介在させることも重要。

「リカちゃん遊び」は、その遊び方の多様性から子どもの発達段階の全てに関わることができ、また、下記のような各発達段階に応じた能力を獲得できる「遊び」を用意していることが明らかになりました。

【自他認識能力獲得における発達段階】

 

STEP1 “モノ” の認識の獲得 <0~1歳>

赤ちゃんに「リカちゃん」人形を渡しても、自分の手の延長線上としか捉えません。「言語」の存在によってはじめて、それが自分の手とは独立したモノであると認識し始めます。

STEP2 “世界” の認識の獲得 <2~3歳>

「リカちゃんハウス」などを、自分が所属するのとは異なる独立した世界と認識し、想像遊びを始めます。

STEP3 自分とモノを同一化する能力の獲得 <3~4歳>

「リカちゃん」など自分以外のモノに自分を同一化して遊ぶことができるようになります。

STEP4 自分と他者の認識の獲得・客観性の獲得 <5~6歳>

自分を同一化した「リカちゃん」同士で遊ぶことにより、他者を認識し、客観的に自分を理解するようになります。

STEP5 自他の同時成立、集団としての客観的同一性の獲得 <6歳~>

「役割遊び」の中でその世界でのフレキシブルなコミュニケーションができるようになります。

なお、全ての過程において、大人の参加も重要です。自分たちの世界をつくりその中で遊んでいる子ども達に、大人が言葉を介在させることが、子ども達のイメージの世界と現実世界をつなぐ役割を担っています。

結果2:「リカちゃん遊び」は言葉の習得も大いに促進する。

調査の結果、単語(「イス」)⇒叙述(「イスに座る」)⇒会話(「イスに座ってください」)というように、年齢に応じた言語を用いて遊ぶ現象が観察されました。 「なりきり遊び」「役割遊び」などは言葉の習得によってはじめてできるようになることからも、「リカちゃん遊び」が言語習得を大いに促進していることが分かります。

また、言葉の共有により、友達や母親とも状況やイメージを共有できるようになり、このことが自己や他者の認識能力の獲得にも貢献しています。

仮説②の検証 <他者との関係性構築能力・社会性の獲得>

結果3.「リカちゃん遊び」によって、子どもは社会の基本的ルールを覚え、自分をコントロールすることを学ぶ。

子どもは「リカちゃん」に自分を同一化して遊ぶことにより、これをずさんに扱ってはいけないというルールを知ります。こういった中から子どもは自分の欲求をコントロールしながら行動することを覚えます。

また、調査では「リカちゃん」の性格づけを好きなようにできる自由さの中で、「リカちゃん」としてやっていいこと/悪いことを自ら模索している様子も見られ、モラル意識の獲得に寄与していることも分かりました。

結果4:役割遊びでは、文脈を理解して演じることが必要。(5歳ぐらい)

     この行為が社会性を構築する基盤を育てる。

調査の結果、「リカちゃん」で家庭生活を模倣するなどの役割遊びをしているとき、子ども達の間ではその世界の中での文脈が明確に存在していることが分かりました。互いが本人自身ではなく別の役割を演じ合っているため、 お互いの目を合わせない(人形の目を合わせる)コミュニケーションを取っています。新しく遊びに参加させてもらうには、その文脈を理解して、人形の視点を持って演じながら介入していくことが必要です(そうでないと遊びに入れてもらえない)。一方でこれは、文脈や前後関係を理解できれば、子ども達が知らない他者とも仲良く遊べるようになることを意味します。「リカちゃん」による役割遊びが、社会性の原型を構築していることが分かります。

エピソード)参与観察調査では、調査員が子どもの「リカちゃん遊び」に介入を試みた際、「遊ぼう」と子どもに向けて話しかけても仲間に入れてもらえず、人形を持って人形として話しかけたところ、「(リカちゃんハウスの)玄関から入ってきて」と指摘を受け、玄関から人形としてあいさつをしたら、やっと受け入れてもらえたという場面がありました。

仮説③の検証 <なりたい自分像、将来像の獲得>

結果5:「リカちゃん遊び」は、憧れを人形の世界に抱き、理想の自分像を形成することを助ける。

調査の結果、子ども達の間で「朝ごはんにケーキを食べる」などの言及が見られ、「リカちゃん遊び」によって半分現実で半分イメージ(理想)という、 現実と理想の混じり合った世界を体験していることが分かりました。

また、お母さん口調で遊ぶ子どもも多く見られましたが、その中で本物のお母さんのより良い姿を描く(お母さん役として叱るシーンを演じながらも「そんなに怒ったら子どもがめげちゃうから、ほどほどにしておく」等)様子が見られ、年齢(5歳ぐらいから)によっては場面、課題を乗り越えていく「モデル形成」が遊びの中に出てきていることが分かります。また、6歳以上になると自分の社会的経験の再現に憧れを混ぜて遊ぶ様子も見られました。これらの経験が「理想の自分」像の形成に影響を与えていることがうかがえます。

結果6:世代を超えた「リカちゃん文化」の形成が安心感を生み出している。

人は日々の生活で慣れ親しんだもの、習慣化されたものを価値のあるものと判断する傾向があります。世代を超えて遊ばれてきた「リカちゃん」は、個人の中で「遊び」として習慣化され、習慣化されたものが、世代を超えて伝承、共有されることで、既に「リカちゃん文化」として形成されているといえます。それ故、子どもに与えるのにふさわしい、安心感のあるおもちゃとして幅広い世代にとらえられています。「リカちゃん」は世代を超えた社会的絆・信頼感を獲得しているようです。

【今後の予定】

今後は、東京圏及び福岡における小学校高学年女子、及び中学生女子への振り返り調査(定量調査)を実施し、今回の定性調査結果と合わせ、より詳細な分析・考察を行い、最終報告において提示する予定です。最終報告は、11月を予定しております。

【プロジェクトメンバー】

東京学芸大学:芸術・スポーツ科学系教授    松田 恵示(リカちゃん ごっこ遊びラボ 所長)

          芸術・スポーツ科学系准教授  鈴木 聡

          総合教育科学系准教授     杉森 伸吉   他

九州共立大学:スポーツ学部スポーツ学科准教授  松田 広

株式会社タカラトミー:リカちゃんグループ

【特定非営利活動法人 東京学芸大こども未来研究所 について】

平成21年設立。日本の教員養成の基幹大学である東京学芸大学とおもちゃのテーマパークを運営する株式会社おもちゃ王国が協働、大学が持つ「知」を、社会に発信していくことを目的として設立。子どもを取り巻く「ひと(人材育成)」「モノ・コト(開発・調査)」、「コミュニケーション(伝達支援)」を軸に事業を展開。東京学芸大学内に実践研究の場として「こどモードハウス」をつくり、遊び、玩具、地域教育に関する研究開発、調査を行っている。

【「リカちゃん」について】

1967年に誕生した着せ替え人形「リカちゃん」は、身長22cmで、ドレスやハウスなどを使って「ごっこ遊び」や「おしゃれ遊び」を楽しむことができます。発売当初から年齢や家族、友達などのプロフィール設定がされているのが特徴で、常に時代ごとの流行を取り入れながら親子二世代三世代にわたって愛され続けています。

「リカちゃん基本理念」として「子どもたちが成長する上で大切な“想像力”」「家族や友達とのコミュニケーション力や会話力」「やさしさ・人をいたわり愛する心」などを育んでいけるような商品づくりを目指しています。

年少から小学3年生女児の「リカちゃん」認知率は79.9%、また、その母親世代になると97.9%となり、

ほぼすべての人が「リカちゃん」を知っていると回答しました。(2011年11月・タカラトミー調べ)

【リカちゃん公式サイト】http://licca.takaratomy.co.jp/

「リカちゃん」遊びの事例

○リカちゃんやファミリードールで”回転寿司やさんごっこ”ができます。

「リカちゃん くるくるかいてんずし」(希望小売価格5,040円)※人形は別売

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「リカちゃん」

「リカちゃん遊び」の事例

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