「第2回年齢と老化に関する意識調査~厄年について~」

エバーライフ

株式会社エバーライフが2012年4月に設立した年齢研究所(福岡市中央区、所長:板倉弘重・茨城キリスト教大学名誉教授)は、30代~60代の男女2000人を対象に、「第2回年齢と老化に関する意識調査~厄年について~」を実施しました。

2012年9月20日

株式会社エバーライフ 年齢研究所

「第2回年齢と老化に関する意識調査~厄年について~」

株式会社エバーライフが2012年4月に設立した年齢研究所(福岡市中央区、所長:板倉弘重・茨城キリスト教大学名誉教授)は、30代~60代の男女2000人を対象に、「第2回年齢と老化に関する意識調査~厄年について~」を実施しました。

年齢研究所では、加齢に伴いそれぞれの年代で体のどこかにトラブルを抱えることを「年齢リスク」と呼び、調査研究および普及啓発を行っています。本調査は「年齢リスク」の啓発活動の一環として、加齢の節目となる年「厄年」に着目し、生活者の厄年への認識や厄年に実際に生じたトラブル、厄年対策などを調査し、現代人の実態に旧来の厄年がどの程度合致しているかを把握するために実施したものです。

調査結果の主なトピックは以下の通りです。

■ 厄年を気にしている人は3人に1人(32.2%)。

■ 厄年は「体調を崩しやすい」(43.2%)、「大病を患いやすい」(40.7%)が4割強で、健康を害しやすい年齢とイメージされている。

■ 実際に厄年に何かあった人は3割(28.2%)。「大病を患った」人も18人に1人(5.5%)。

■ これまでに行った厄年対策は、「神社・寺院で厄除け・厄払いをする」が3人に1人(36.1%)など、神だのみや縁起かつぎが中心。他方、効果が高いと思う厄年対策は生活習慣の改善。

■ 厄年の効用は「健康状態チェックのきっかけ」(29.5%)や「不摂生を見直すきっかけ」(25.3%)など、生活習慣を見直す契機として捉えられている。

■ 厄年の年齢が現代人の実態に合っているかについては賛否両論。

調査概要

【調査方法】   インターネット調査

【調査対象】   30~60代の男女 計2000人

【調査期間】   2012年8月17~19日

1) 厄年を気にしているか

約3人に1人(32.3%)が厄年を気にしている。特に女性30代、男性40代の大厄の年代で多い。

気にするきっかけは「厄年一覧表」(34.8%)の存在や「母からの助言」(33.3%)が大きい。

数えで男性は25才、42才、61才(大厄は42才)、女性は19才、33才、37才(大厄は33才)と言われている厄年。まず「厄年」を気にしているかを聞いたところ、全体では約3人に1人(32.2%)が“気にしている(とても+やや)”と回答。特に女性30代(42.4%)、男性40代(39.2%)で気にしている人が4割前後と多く、「大厄」を迎える年代の人は特に気になることがわかります【グラフ1(添付画像)】。

厄年を気にするようになったきっかけは、「神社や寺院に参拝して、厄年一覧表を見て」(34.8%)、「母親に気をつけるように言われて」(33.3%)、「自分自身の年齢が『厄年』に近づいたので」(33.1%)など。女性では「母親に気をつけるよう言われて」(38.8%)が1位、男性では「自分自身の年齢が『厄年』に近づいたので」(36.2%)が1位です【グラフ2(添付画像)】。

2) 厄年の認知とイメージ

男性は42歳、女性は33歳の“大厄”の年齢については4割以上が認知。

また、厄年は「体調を崩しやすい」(43.2%)「大病を患いやすい」(40.7%)など、健康を害しやすい年齢とイメージされている。

自分の厄年が何才か知っているか聞くと、男性は「42才」(48.9%)の正答率が5割近いですが、「25才」(12.0%)、「61才」(8.8%)は1割前後となっています。また、女性は「33才」(42.4%)、「19才」(35.4%)の正答率が高く、「37才」(12.3%)については1割前後となっています。男女とも「大厄」の認知は高いようです。 

 

「厄年が何才かは分からない」という厄年の認知が曖昧な層は男女とも3割前後(男性31.8%、女性29.4%)にとどまりました【グラフ3(添付画像)】。

 

厄年は何が起こる年だと思うか聞くと、「体調を崩しやすい」(43.2%)、「大病を患いやすい」(40.7%)、「大きなけがをしやすい」(24.1%)などが上位にあげられ、厄年は主に健康を害しやすい年齢としてイメージされています【グラフ4(添付画像)】。

3) 厄年に実際に起こったこと 

厄年に何らかのトラブルを経験した人は約3割(28.2%)。女性30代では4割強(42.0%)と多い。

トラブルの内容として「大病を患った」人は18人に1人(5.5%)。

厄年や前厄・後厄の年に実際にあったことを聞くと、「体調を崩しやすくなった」(7.6%)、「大病を患った」(5.5%)をはじめ、厄年前後に何らかのトラブルを経験したことがある人は約3割(28.2%)にのぼっています。

性年代別に見ると、特に女性30代で4割強(42.0%)と、トラブルを実感する人が多くなっています【グラフ5(添付画像)】。

厄年や前厄・後厄の年に起こったことを具体的にあげてもらうと、その内容は多岐にわたりますが、くも膜下出血、糖尿病、関節症、骨折など、厄年に大病やけがを経験した人も少なくないようです。

厄年のエピソード(自由回答)

男性

■大病を患った

・糖尿病発症が42才の時にあった(57才男性)

・私自身は特にはないが兄が42才で脳内出血で大手術。今でも後遺症に苦しんでいる。(50才男性)

・42歳の時にくも膜下出血の手術をした。(62才男性)

・60才の定年直前に大病を患い、生まれて初めて手術を受けた(61才男性)

■体調を崩しやすくなった・身体機能が衰えた

・各厄年年齢近くで、体調の変化が生じやすかった。(64才男性)

■事故にあった

・交通事故を起こした。24才。(38才男性)

■仕事のトラブル

・42才、リストラされそうです。(42才男性)

女性

■大病を患った

・20才の時大病をした。入院、手術で長期欠席をし、学業に支障をきたした。(69才女性)

・33才の時、婦人科疾患で入院加療する。(68才女性)

■体調を崩しやすくなった・身体機能が衰えた

・32才位の時、ぎっくり腰になったり、転んで顔を怪我したりと体力の低下を感じた。風邪をひくと治りにくくなったりもした。(48才女性)

・31~32才の頃、それまで健康そのものだったのが急に体調を崩すようになり、疲れやすくなった。(44才女性)

・60才になって体調不良が続いている。まず、股関節が痛くて歩けなくなり、次には腰が痛くて動けなかった。(60才女性)

■けがをした

・37才の時骨折した(62才女性)

■事故にあった

・32才の時に車が台風の強風でとんだ屋根の下敷きになり、廃車になった。(40才女性)

■度重なる不幸

・19才の時に失恋をし、父親がガンで倒れ、職場でいじめにあい、拒食症になった。つらくて、沖縄に逃げた。33歳で人生二度目の大失恋。37才が怖い。(36才女性)

・19才…病気で入院/33才…母死亡/37才…交通事故(51才女性)

■家族や周囲の人の不運・不幸

・33才の時、厄払いに行った友人が大きな交通事故に遭い、大けがをしたが命は助かった。(43才女性)

・主人が42才で、人生初の入院生活をしたこと(44才女性)

4) 大厄の人の厄年対策

「厄除け・厄払い」による“神だのみ”の傾向が強いが、男性の5人に1人(19.3%)、女性の8人に1人(12.0%)は「人間ドック」を受診した、もしくは受診したいと回答。

大厄と、その前後である前厄、後厄の年齢に当たる人(男性では満40~42才、女性では満31~33才)を対象に、厄年対策として何を行ったか、何を行いたいかを聞きました。

「神社や寺院で厄除け・厄払いをする」(実施率:37.3%、実施意向49.7%)、「厄除け・厄払いのお守りやお礼を買う」(実施率:19.6%、実施意向:26.1%)、「節分に豆まきをする」(実施率:15.7%、実施率:23.5%)などの順で、“神だのみ”や“縁起かつぎ”の傾向が強いようです。

全体に女性の方が実施率も実施意向も高いものが多いですが、「神社や寺院で厄除け・厄払いをする」と回答した人は男性(42.3%)の方が女性(32.0%)よりも10ポイント以上高く、意外に縁起をかつぐ大厄男性の実態が分かります。一方で「精密な健康診断・人間ドックを受ける」も男性の方が高くなっており(実施率:男性9.0%、女性4.0% 実施意向:男性19.2%、女性12.0%)、厄払いに人間ドックと、大厄男性は真剣に厄年に向き合い、対策をとっています【グラフ6(添付画像)】。

5) 厄年対策として行ったこと、効果が高いと思うこと

今まで行ったことは「厄除け・厄払い」(36.1%)、「豆まき」(19.6%)など“神だのみ”や“縁起かつぎ”が中心。反面、効果が高いと考えるのは「生活の不摂生を避ける」(22.4%)「ストレスをためない」(22.2%)など生活習慣の改善。

対象者全員に、厄年対策としてこれまでに行ったことを聞くと、「神社や寺院で厄除け・厄払いをする」 (36.1%)、「節分に豆まきをする」(19.6%)の順で、“神だのみ”や“縁起かつぎ”が中心です。

 

他方、今後行いたい対策は、 「生活の不摂生を避ける」(23.2%)、「運動をする・体を動かす」「神社や寺院で厄除け・厄払いをする」 (22.2%)、「なるべくストレスを溜めないようにする」(20.9%)などで、生活習慣に関わる項目が上位を占めました。

効果が高いと思う対策も同様に、 「生活の不摂生を避ける」(22.4%)、「なるべくストレスを溜めないようにする」(22.2%)、 「運動をする・体を動かす」(21.3%)、「精密な健康診断・人間ドックを受ける」(21.3%)で、縁起はかつぐものの、実際に効果があり必要なのは生活習慣改善であると認識している生活者が多いことがわかります【グラフ7(添付画像)】。

6) 厄年対策をして防ぎたいこと

厄年対策で防ぎたい災厄は「病気」(60.1%)、「けが」(47.1%)、「体調を崩しやすくなる」(42.5%)など、健康問題への意識が強い。

厄年に対策を講じて防ぎたい厄災は、「病気」(60.1%)、「けが」(47.1%)、「体調を崩しやすくなる」(42.5%)と、上位3項目が健康問題で占められています。

なお、最も防ぎたい厄災としては、「病気」(32.6%)に次ぎ、「家族の不運・不幸」(12.5%)があげられています。特に「家族の不運・不幸」は女性が多くあげており、自分の健康(32.7%)とともに家族の健康(16.4%)を思いやる女性の意識が浮かび上がっています【グラフ8(添付画像)】。

7) 現在の厄年への評価

厄年は現代人の実態に“合っている”派(48.6%)と“合っていない”派(51.4%)で拮抗。

また、厄年の効用を「健康状態チェックのきっかけ」(29.5%)や「不摂生を見直すきっかけ」(25.3%)など、生活習慣を見直す契機として捉えている。

厄年として定められている年齢が現代人の実態に合っていると思うか聞くと、“合っている(とても+まあ)”は48.6%で、“合っていない”(51.4%)と拮抗しています。男性40代と女性30代では“合っている”という回答が多く(男性40代:50.0%、女性30代:60.4%)、何らかのトラブルを実感することの多い大厄の年代では、 厄年の支持率も高く出ています【グラフ9(添付画像)】。

厄年の「良い面」「良い効果」としては、「現在の健康状態をチェックするきっかけになる」(29.5%)、「生活の不摂生を見直すきかけになる」(25.3%)など、生活習慣を見直す契機になるという回答が多くあげられています【グラフ10(添付画像)】。

8) 新しい厄年へのニーズ

統計的に新しい厄年を定めるとしたら、「大病にかかりやすい年齢」(41.1%)、「体調を崩しやすい年齢」(40.0%)が厄年にふさわしいという意見が約4割。女性30代では「大病にかかりやすい年齢」が半数を超える(51.2%)。

新しい厄年を統計的に定めるとしたらどのように定めるとよいと思うか聞いたところ、1位「大病にかかりやすい年齢」(41.1%)、2位「体調を崩しやすい年齢」(40.0%)、3位「身体機能が衰えやすい年齢」(22.4%)と、健康を害しやすい年齢が厄年にふさわしいという意見が上位を占めました。特に女性ではその割合が男性よりも高く表れています【グラフ11(添付画像)】

9) 新しい厄年としてふさわしいと思う年齢とその理由

新しい厄年としてふさわしいと生活者が考える年齢は、男性は「42才」(16.3%)、「50才」(13.2%)、女性は「40才」(12.5%)、「50才」(11.9%)の順 。健康を害しやすい年齢であることが、ふさわしいと考える理由。旧来の女性の厄年が数え37才で終わることは、現代人の実態に合致していない。

新しい厄年としてふさわしいと思う年齢を聞くと、男性は「42才」(16.3%)、「50才」(13.2%)、「40才」(13.0%)の順、女性は「40才」(12.5%)、「50才」(11.9%)、「60才」(9.3%)の順でした。その年齢をあげた理由を聞くと、男性は「体力・身体機能が衰える/無理がきかなくなる/疲れやすい」が、女性は「体調を崩しやすい/変化しやすい」がいずれも上位となり、生活者の間では健康を害しやすい年齢が厄年にふさわしいとする傾向が強いことが、ここからも分かります。特に女性は、旧来の厄年の考え方では数え37才で厄年が終わるのに反し、実際にはそれよりも上の年齢を厄年にしたい、という意向が強いことが分かります【グラフ12(添付画像)】。

所感 

厄年を怖れず、不安がらず、生活習慣を見直すきっかけに。  

茨城キリスト教大学名誉教授 板倉弘重

厄年は健康を害しやすい年齢として意識されていることが本調査で明らかになった。

実際にとった厄年対策としては神だのみや縁起かつぎが多いが、人間ドックを受診した人もいるように、厄年をいたずらに怖れたり不安がることなく、前向きに生活習慣を見直すきっかけにすることをすすめたい。

実際に厄年に大病を経験した人が18人に1人という確率を高いと見るか低いと見るか、だが、その内容に、くも膜下出血、糖尿病、骨折などが並ぶのを見れば、厄年はいくら用心しても用心しすぎることはない。

一方、現在の厄年は江戸時代に定着したといわれるので、健康との関わりで捉えるならば、平均寿命が男性79.4歳、女性85.9歳まで延びた現代人によりマッチした厄年を再考する必要があるかもしれない。

現在、健康寿命を損なう主要疾患についてレセプトデータの分析を進めているが、その結果から厄年の再計算を試み、発症リスクの予測精度をより高めれば、健康寿命を延ばすことに役立つのではないかと考えている。

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