軽い運動でも認知機能は高まる!―短時間の軽運動でも高まる実行機能と脳内神経基盤の解明―

中央大学

筑波大学体育系の征矢英昭教授と中央大学理工学部の檀一平太教授の共同研究グループは、前頭前野が担う実行機能(注意・集中、判断、計画・行動を調節する高次認知機能)が短時間の低強度運動でも向上することを、最新の光脳機能イメージング法(機能的赤外線分光法)を用いて確認しました。

2014年5月27日

中央大学

軽い運動でも認知機能は高まる!―短時間の軽運動でも高まる実行機能と脳内神経基盤の解明―

<研究成果のポイント>

1.わずか10分間の軽運動でも、脳の中の、注意・集中、判断、計画・行動能力などの認知機能(実行機能)を支配する部位の活動が高まることと、実行機能が実際に高まることを世界で初めて科学的に確認

2.左脳の前頭前野背外側部(DFPFC)(1)ならびに前頭極(FP)(2)の活動が高まめることを、機能的近赤外線分光法(3)装置(fNIRS)を用いたニューロイメージングほかの手法によって実証したもの

3.加齢やストレスの影響を受けやすい前頭前野の機能向上に、軽運動でも効果があることに関して得られた初の科学的裏付け

 国立大学法人筑波大学(以下、「筑波大学」という)体育系の征矢英昭教授と中央大学理工学部の檀一平太教授の共同研究グループは、前頭前野が担う実行機能(注意・集中、判断、計画・行動を調節する高次認知機能)が短時間の低強度運動でも向上し、その裏付けとして前頭葉の特異的部位の活性化が関わっていることを、最新の光脳機能イメージング法(機能的赤外線分光法)を用いて確認しました。誰にでも実行しやすい軽運動に気分や認知機能を高める効果があることを科学的に初めて裏付けたものです。これは、ヨガや太極拳などの軽運動をベースとした東洋的身体技法が脳にも有益な効果を与えることを示唆しています。

 同研究グループは、これまで、鬱病や認知症、糖尿病、注意欠陥障害者などに共通して低下が認められる実行機能に対して、一過性の中強度運動が効果があることを明らかにしてきました。本研究はその成果を発展させ、健康な若年者を実験対象にして、軽運動の効果を検討したものです。その結果、10分間の軽運動でも実行機能課題成績が向上することと、課題成績の向上は、覚醒度の増加及び左半球の前頭前野背外側部、前頭極の活性化と関係していることを確認しました。この知見は、だれでも実行しやすく親しみやすい身体文化でもある東洋的身体技法などをより積極的に生活に取り入れることで、生活の質を向上させ、ひいては認知症予防ともなりうる、いわゆる脳フィットネスライフを推進する上での裏付けとなることが期待されます。

 本研究成果は、米国の科学専門雑誌「NeuroImage(ニューロイメージ)」オンライン版に掲載されます。

※本研究は、文部科学省特別経費プロジェクト「たくましい心を育むスポーツ科学イノベーション」(平成22~25年度)、並びに「ヒューマン・ハイ・パフォーマンス研究」(平成26~30年度)の支援を受けて行われました。

詳細は下記PDFをご覧下さい。

<お問い合わせ先>

【研究内容に関すること】

征矢 英昭(そや ひであき)

筑波大学 体育系 教授

(運動生化学研究室)

〒305-8574 つくば市天王台1-1-1

Tel: 029-853-2620

E-mail: hsoya@taiiku.tsukuba.ac.jp

檀一平太(だん いっぺいた)

中央大学 理工学部

人間総合理工学科 教授

〒112-8551 文京区春日1-13-27

Tel: 03-3817-1711

E-mail: dan@jichi.ac.jp

【取材・報道に関すること】

筑波大学 広報室

Tel: 029-853-2039

Fax: 029-853-2014

Email: kohositu@un.tsukuba.ac.jp

中央大学 研究支援室

加藤 裕幹 (かとう ゆうき)

Tel:03-3817-1603

Fax:03-3817-1677

Email: k-shien@tamajs.chuo-u.ac.jp

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