「同志社大学-理化学研究所連携研究室」が始動

同志社大学

2018年1月29日

学校法人同志社 同志社大学

国立研究開発法人 理化学研究所

「同志社大学-理化学研究所連携研究室」が始動

1月18日、同志社大学学研都市キャンパスにおいて同志社大学研究開発推進機構(横川隆一機構長)と理化学研究所医科学イノベーションハブ推進プログラム(小安重夫プログラムディレクター)の共同研究を実施する連携研究室の整備が完了しました。

同志社大学赤ちゃん学研究センター(小西行郎センター長)と理化学研究所医科学イノベーションハブ推進プログラム(小安重夫プログラムディレクター)の健康医療データ多層統合プラットフォーム推進グループ(桜田一洋グループディレクター)は、2017年5月1日から「生体リズムに着目した発達障害の解析」、11月1日から「胎児心電図計測技術の高度化」の共同研究を進めています。

発達障害の原因は複雑で多岐にわたり、その発生過程は不明な点が多いのが現状です。本共同研究は、発達障害児の多くが睡眠障害を伴っており、睡眠治療によって発達障害の症状が改善するという三池、小西らの臨床的な発見に基づき、発達障害の新しい診断法と治療法の開発を目的としてはじめられました。

本共同研究では、妊娠期から乳幼児期までの様々なデータを取得し、発達障害の発症のリスクとなる多様な環境要因を明らかにすることを目指しています。

本プロジェクトを推進するために、同志社大学と理化学研究所の研究者がともに活動できる場を設けることとし、11月1日に「同志社大学-理化学研究所連携研究室」を設置し、理化学研究所の特別研究員(ポスドク)も学研都市キャンパスに着任しました。

赤ちゃん学研究センターの小西行郎センター長は、「赤ちゃん学研究センターは、胎児期からの発達原理と発達障害の発生メカニズムの解明に向けて、異分野融合の新しい学問領域を創造しようと活動しています。これまでの研究によって胎児のもつすばらしい能力を明らかにし、出生後もみずから動き、成長、発達する赤ちゃんという新しい赤ちゃん観をつくり出してきました。この連携研究室を活動の場として、高度なビッグデータ解析技術を持つ健康医療データ多層統合プラットフォーム推進グループと、発達障害の発症メカニズムの解明を強力に進めて行きます。」と決意を新たにしています。

理研の桜田一洋グループディレクターは、「国内有数の発達障害に関する研究機関である同志社大学赤ちゃん学研究センターとともに活動できる場を同志社大学がご提供下さったことに厚く御礼を申し上げます。多くの医療機関と連携して、質の高い、多くの臨床データを集積でき、かつその解釈が可能な赤ちゃん学研究センターとビッグデータ解析技術に優れる理化学研究所とが共同することで、発達障害の原因解明や予見や診断のアルゴリズムを開発することが可能になると確信しています。」と述べています。

なお、同志社大学研究開発推進機構と、けいはんな学研都市で事業を展開しているところである理化学研究所の科学技術ハブ推進本部医科学イノベーションハブ推進プログラムは、今後、両者の持てるポテンシャルを基に、様々なテーマに関する共同研究の構築、引いては第2、第3の連携研究室の発足を願って、「同志社大学-理化学研究所連携研究室」の英語名称を「DOSHISHA-RIKEN Joint Laboratories」としました。

連携研究室が設置される同志社大学学研都市キャンパス

桜田グループディレクター(左)と小西センター長

同志社大学-理化学研究所連携研究室内と研究メンバー

(研究概要)

○「生体リズムに着目した発達障害の解析」

リズム障害並びにリズムの同期障害に基づく発達障害発症のメカニズム、特に妊娠期間中の炎症を起点とするスキームを明らかにするため、妊婦、胎児、幼児の各種データ(胎動、心電図、睡眠等)、並びに睡眠障害児や自閉症児の生体リズムデータ等を連携機関より匿名化して収集、集積した上で、両者共同で解析・解釈し、リズム障害あるいはリズムの同期障害から発達障害が生じる仕組みの理論モデルを構築する。併せてリバーストランスレーション研究を通して、モデルで提案された自閉症発症メカニズムの因果関係の解明に取り組む。

○「胎児心電図計測技術の高度化」

胎児心拍モニターの計測に影響を与える胎児の顔の位置と計測器の貼り方に拘らずに胎児エコー計測データを取得するため、胎児心拍モニターと胎児エコー計測器を使って、胎児の顔の位置と胎児心拍モニターの計測器の貼り方、胎児エコー計測データの相関関係を見出し、計測値を適切に読み替えるアルゴリズムを開発する。

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