自閉症スペクトラム症の新規治療薬開発について

ウシオ

2019年1月29日

ウシオ電機、藤田医科大学、株式会社プロトセラ

自閉症スペクトラム症の新規治療薬開発で、藤田医科大学とウシオグループのプロトセラが共同研究契約を締結

ー京都大学、東京都医学総合研究所を含む全国18施設で臨床研究ー

藤田医科大学(所在地:愛知県、学長 星長 清隆)と、ウシオ電機株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 浜島 健爾)の連結子会社である株式会社プロトセラ(本社:大阪府、代表取締役社長 田中 憲次、以下プロトセラ)は、2018年9月18日付で、自閉症スペクトラム症の新規治療薬の開発に関する共同研究契約を締結しましたのでお知らせします。

なお、本共同研究契約に基づき、今後、全国18施設※1で臨床研究が開始されます。

【研究の背景】

自閉症スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)はアスペルガー症候群と同じく、他者とうまくコミュニケーションが取れなくなる発達障害の一種であり、その発症原因については遺伝的な側面以外に環境中の化学物質等との関連性が指摘されているなど、特定には至っていません。

一方、自閉症スペクトラム症の中には結節性硬化症※2に伴って発症するタイプがあることが分かっており、2015年~2017年度の国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)※3での難治性疾患対策事業では、結節性硬化症における自閉症スペクトラム症に対し、結節性硬化症の治療薬であるエベロリムス※4が著効を持つことが見出されました。

しかしながら、エベロリムスはその強力な免疫抑制作用から口内炎や気管支炎、肺炎などの感染症が生じやすいこと、若年症例では全身管理下で小児神経科の本症専門医が治療する必要があること、さらに病態の軽減には数年に渡る継続的な服用が必要など、患者および医療関係者の双方の負担が大きいという課題があります。

これに対し本共同研究では、エベロリムスのmTOR※5活性抑制効果以外の自閉症スペクトラム症に有効な薬理作用をもたらしているバイオマーカーペプチドを探索し、発見されたペプチドによって、一般の自閉症スペクトラム症の診断や治療に有効な、より安全で負担が少なく、効果の高い自閉症スペクトラム症の診断法と治療法の開発を目指すものです。

【研究の方法】

はじめに、プロトセラが特許を保有する『新規ペプチドーム解析技術(BLOTCHIP®-MS法)』によって、エベロリムス投与で結節性硬化症に伴って発症した自閉症スペクトラム症の奏功に寄与する新規バイオマーカーペプチドを探索した後、同じくプロトセラが特許を保有する『膜タンパク質ライブラリ(Membrane Protein Library®; MPL)技術』によって、バイオマーカーペプチド(リガンド)の受容体を探索します。

その後、発見されたバイオマーカーとしてのペプチドを合成して、自閉症モデルラットでの安全性薬理試験に加え、特に社会行動異常の改善効果を検証し、さらに、効力薬理試験で効果が示され最適化されたペプチドについて、その受容体を探索し、安全性と効力に優れた受容体作動薬として、国内外で未だ試行中の治療抵抗性自閉症スペクトラム症の新規治療薬の開発を目指します。

※1 藤田医科大学腎泌尿器外科学、同大学難病治療学研究部門、同大学共同利用研究推進施設、同大学小児科、京都

大学小児科、東京都医学総合研究所、静岡てんかん・神経医療センター、プロトセラを含む全国18の研究施設と共同研

究を予定。

※2 結節性硬化症(TSC:Tuberous Sclerosis Complex)は、全身のさまざまな場所に腫瘍などの症状が出る病気。脳に出た

場合には、てんかん発作や、自閉症症状、他の発達障害などがあらわれる。

※3 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)は、国が定める「医療分野研究開発推進計画」に基づき、医薬品創出、再生医療、がん等9つの統合プロジェクトを中心に、基礎研究から実用化まで一貫した研究開発を推進している。

※4 結節性硬化症治療薬エベロリムス(Everolimus)。免疫抑制剤・抗癌剤としてノバルティス社から発売されている。

※5 mTOR(mammalian target of rapamycin:エムトア)はタンパク質の一種。細胞増殖や血管新生、免疫などを制御する性質を有しており、その性質を利用したmTOR阻害剤の一種にエベロリムスがある。

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