帝京大学医真菌研究センター「ショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する乳酸菌の発見」記者会見を開催

帝京大学

2019/5/17 16:30

2019年5月17日

帝京大学

帝京大学医真菌研究センターが

「ショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する乳酸菌の発見」

についての記者会見を開催しました

関水教授①

<関水 和久 教授>

 2019年5月17日(金)、帝京大学板橋キャンパス(東京都板橋区加賀2-11-1)にて、帝京大学医真菌研究センターセンター長 関水和久教授が、「ショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する乳酸菌の発見」についての記者会見を開催しました。

 会見では、現代人の代表的な疾病であるII型糖尿病発症の主な原因は、食品中に添加される主要な甘味料の一つであるショ糖摂取後の血糖値の上昇であるとされていますが、ショ糖の過剰摂取による血糖値の上昇を抑制する食品を開発することは、ヒトの健康的な生活を維持する上で大変重要であると考えられており、これまでにマウスなどの哺乳動物を用いた実験系で効果を示す乳酸菌の報告はありましたが、ヒトにおいてショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制することが証明されている乳酸菌の報告例はありませんでした。

 帝京大学医真菌研究センター関水和久教授らの研究グループは、コストが安く、倫理的な問題が小さいカイコを用いたショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する物質を同定するための実験手法を開発してきました。

 このカイコを用いた実験手法を利用して、ショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する乳酸菌として、腸球菌YM0831株を発見し、ヒトの腸管細胞のグルコース取り込みを阻害することを見出しました。

 また、ヒト臨床試験においてショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する活性があることを明らかにしました。

 さらに、腸球菌YM0831株を用いて製造されたヨーグルトもヒト臨床試験においてショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する活性がありました。

 腸球菌YM0831株は、食後高血糖を抑制する食品の開発に応用されることが期待されます。

関水教授プロフィール

【関水教授プロフィール】

東京大学薬学部卒業後、東京大学大学院薬学系研究科

修士課程修了、東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了。

東京大学大学院薬学系研究科 薬学博士。

昭和55年4月から東京大学薬学部助手、昭和59年8月から

米国スタンフォード大学博士研究員東京大学薬学部助教授、

九州大学薬学部教授、東京大学大学院薬学系研究科教授を

経て、平成28年4月から帝京大学医真菌研究センター教授、

平成30年4月から帝京大学医真菌研究センターセンター長、

医療技術学部スポーツ医療学科教授として現在に至る。

●発表内容

 ショ糖は、様々な食品中に添加される主要な甘味料の一つです。ショ糖は、腸管内でα-グリコシダーゼによりグルコースとフルクトースに分解され、それらが腸管から吸収され、血糖値の上昇を導きます。

α-グリコシダーゼの阻害剤であるアカルボースやボグリボースは、食後血糖値の上昇を阻害する効果があり、糖尿病治療薬として利用されています。よって、α-グリコシダーゼの阻害効果やグルコースの腸管吸収阻害効果を有する物質を含む食品は、ショ糖の過剰な摂食による食後血糖の上昇を抑制すると期待されます。

 帝京大学医真菌研究センターの松本靖彦講師および関水和久教授らのグループにより確立されたカイコを用いたショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する物質の評価系を用いて株式会社ゲノム創薬研究所と共同で機能性乳酸菌の探索を行いました。その結果、カイコを用いたショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する活性の高い乳酸菌として腸球菌YM0831株を発見しました(図1)。また、腸球菌YM0831株は、グルコースの摂食後のカイコの体液中のグルコース濃度の上昇に対しても抑制効果を示しました。さらに、腸球菌YM0831株は、ヒトの腸管由来の培養細胞であるCaco-2細胞のグルコース取り込みを阻害しました(図2)。ヒトの腸管細胞のグルコース取り込みを阻害する乳酸菌の発見は初めての報告です。

 帝京大学医真菌研究センターの松本靖彦講師、関水和久教授らのグループと株式会社ファルマシュプールの長谷川節雄博士と共同でヒト臨床試験における腸球菌YM0831株のショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する活性を評価したところ、腸球菌YM0831株にショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する活性があることが分かりました。カイコを用いた評価系を用いて発見された物質がヒトにおいても薬効を示すことを見出した点も本研究の重要な成果です。すなわち、カイコを用いた薬効評価系がヒトに対して有効な物質を見出すために有用であることを示しています。さらに、腸球菌YM0831株を用いて製造されたヨーグルトもヒト臨床試験においてショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する活性があり、腸球菌YM0831株が食品開発に有用であることも分かりました。現在、帝京大学と株式会社ゲノム創薬研究所とが共同で、経済産業省 戦略的基盤技術高度化・連携支援事業の助成を受けながら、実用化を目指した研究開発試験を実施しています。

 この成果は、Communications Biology オンライン版に英国時間5月2日午前10時に掲載されました。

 なお本研究は、日本学術振興会科学研究費助成事業 基盤研究(S)(JP15H05783)、基盤研究(C) (JP17K08288)、経済産業省 戦略的基盤技術高度化・連携支援事業〜戦略的基盤技術高度化支援事業〜、公益財団法人鈴木謙三記念医科学応用研究財団、公益財団法人ヤクルト・バイオサイエンス財団、公益財団法人武田科学振興財団の支援を受けて行われました。

●発表雑誌

雑誌名:「Communications Biology」(オンライン版の場合:2019年5月2日)

論文タイトル:Enterococcus faecalis YM0831 suppresses sucrose-induced hyperglycemia in a silkworm model and in humans

著者:Yasuhiko Matsumoto, Masaki Ishii, Setsuo Hasegawa, and Kazuhisa Sekimizu

●参考

図1 腸球菌YM0831株の電子顕微鏡像

図1

図2 腸球菌YM0831株の作用機序

図2

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プレスリリース添付画像

関水教授①

関水教授②

記者会見

関水教授プロフィール

図1

図2

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