二酸化塩素の新型コロナウイルスに対する不活化効果を確認

~第17回日本小児消化管感染症研究会(2021.2.6)にて大阪府立大学との共同研究成果を発表~

大幸薬品

2021年2月16日

大幸薬品株式会社

大幸薬品株式会社(本社:大阪市西区、代表取締役社長:柴田高、以下、大幸薬品)は、二酸化塩素の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する不活化効果を確認したことを、大阪府立大学生命環境科学研究科(山﨑伸二 教授)との共同研究成果として、第17回日本小児消化管感染症研究会(2021.2.6)に於いて、発表したことをお知らせします。

 

本実験は、特許二酸化塩素ガス溶存液(クレベリンPro希釈用液、大幸薬品製)の各所定濃度に、SARS-CoV-2液を加え、各時間経過後(10秒, 30秒, 1分, 3分)に中和後、その溶液をSARS-CoV-2に感受性のある培養細胞(TMPRSS2発現VeroE6細胞(*1))に接種することで、感染ウイルス量を定量する手法(TCID50法)で実施されました。その結果、SARS-CoV-2による感染価が、二酸化塩素溶存液100 ppm(*2) (1.5 mM)で10秒で99.997%(常用対数4.5)以上、10 ppm(0.15 mM)で10秒で99.96%(常用対数3.4)以上の低減となり、共に検出限界以下であることが確認されました。

SARS-CoV-2は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の糞便等から検出されており(*3,4)。また、生存SARS-CoV-2は、エアロゾルや物体表面で比較的長い時間検出されたとの報告(*5)があります。これらを踏まえ、本研究成果から、ヒトが触れる場所(ドアノブ、便座、床、洗面等)に二酸化塩素を活用することで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染対策に有効であることが期待できます。

 

大幸薬品では二酸化塩素分子が、SARS-CoV-2のヒトの体内への感染を阻止するメカニズムを解明したことを発表(*6)しており、当知見も本学会で報告されました。二酸化塩素によりSARS-CoV-2のSタンパク質のACE2への結合阻害が示唆されること、またタンパク質のチロシン残基とトリプトファン残基を特異的に酸化することで不活化することが報告されている(*7)ことから、Sタンパク質のACE2レセプター結合ドメインの453番目のチロシン残基を酸化することでACE2との結合阻害を起こさせる可能性が示唆されています。さらなる研究により、衛生対策の有効な手立てのひとつとして、低濃度二酸化塩素の活用を提言してまいります。

 

*1) TMPRSS2発現VeroE6細胞とは: 国立感染症研究所が開発した新型コロナウイルスを増殖・分離可能な細胞株。

*2) ppmの単位について: ppm(parts per million)は100万分の1という割合を表します。液体では重量比(mg/L=ppm, 1L水=1kgと近似)、気体では体積比を用います。本試験のppmは水溶液での重量比を表します。

*3) Persistence of SARS-CoV-2 virus RNA in feces: A case series of children. Wenjun D,Jinhong Y, Xiaoyan L,et al. J Infect Public Health. 13(7):926-931(2020)

*4) Detection of SARS-CoV-2 in Different Types of Clinical Specimens, Wang W, Xu Y, Gao R, et al. JAMA.323(18):1843-1844(2020)

*5) Aerosol and surface stability of SARS-CoV-2 as compared with SARS-CoV-1. van Doremalen N, Bushmaker T, Morris DH, et al. N Engl J Med. Mar 17(2020)

*6) Inhibition of the Binding of Spike Protein of SARS-CoV-2 Coronavirus to Human Angiotensin-Converting Enzyme 2 by Chloride Dioxide, Ogata N. and Miura T.,Annals of Pharmacology and Pharmaceutics Volume 5, Issue 5, Article 1195(2020)

*7) Denaturation of protein by chlorine dioxide: oxidative modification of tryptophan and tyrosine residues, Ogata, N. Biochemistry 46, 4898-4911 (2007)

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プレスリリース添付画像

グラフ 特許二酸化塩素ガス溶存液のSARS-CoV-2に対する不活化効果

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