電通、第4回「SDGsに関する生活者調査」を実施

- SDGs認知率は、コロナ禍を経て第3回調査(2020年1月)からほぼ倍増 -

電通

2021年4月26日

株式会社 電通

 株式会社電通(本社:東京都港区、社長:五十嵐 博、以下「当社」)は、電通グループ横断でSDGs※1に関するプロジェクトを推進する「電通Team SDGs」のもと、全国10~70代の男女計1,400人を対象に、第4回「SDGsに関する生活者調査」(以下「本調査」)を実施しました。

 

 本調査では、SDGsの「認知率」「情報経路」について過去調査結果との比較を行いながら、「コロナ禍によるSDGsに関する生活者意識への影響」と、「積極的にSDGsに取り組む企業」および「バリューチェーンにおける企業のSDGs活動」に対する印象については、新たに分析を行いました。

 

【主なファインディングス】※2

① 生活者のSDGs認知率は54.2%で、昨年1月の第3回調査3からほぼ倍増。10代のSDGs認知率は7割超え。

② 「コロナ禍を経てSDGsへの関心が高まった」人は32.4%で、SDGs商品・サービスの利用意向も高い。

コロナ禍がSDGs商品・サービス浸透のきっかけになる可能性。

③ 積極的にSDGsに取り組む企業は社員のエンゲージメントも高まる可能性がある。

 

※1 SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193カ国が2016~30年の15年間で達成するために掲げた目標。世界が抱える問題を解決し、持続可能な社会をつくるために世界各国が合意した17の目標と169のターゲットからなる。

※2 本調査における構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります

※3 第3回「SDGsに関する生活者調査」2020年1月18~19日実施。

https://www.dentsu.co.jp/news/release/2020/0427-010047.html

 

【各ファインディングスの詳細】

 

① 生活者のSDGs認知率は54.2%で、昨年1月の第3回調査からほぼ倍増。10代のSDGs認知率は7割超え。

 

<認知率>

・SDGsという言葉の認知率は54.2%で、第3回調査の29.1%からほぼ倍増した。ただし、「内容まで含めて知っている」のは20.5%で、内容理解の浸透は引き続き課題といえる。【図表1】

・性年代別に見ると、10代のSDGs認知率が7割を超え(10代男性75.9%、10代女性72.2%)、全年代で最も高かった。【図表2】「内容まで含めて知っている」割合も10代男性(45.7%)、10代女性(31.1%)の順に高く、若年層の認知・理解度の高さが第3回調査と同様に示された。また、SDGsアクション実践に対して「自分で何か行うにはハードルが高い」と回答した人も、10代(22.1%)が全年代で最も低かった。【図表3】

・職業別に見ると、学生(76.1%)、公務員(70.2%)、会社員(事務系)(64.3%)での認知率が高かった。また、専業主婦(夫)のSDGs認知率は42.1%で、学校・職場以外の認知経路も拡大してきていることが示唆された。【図表4】

・第3回調査と比較してSDGs認知率が大きく増加したのは、性年代別では女性30代(+44.5pt)、女性10代(+40.1pt)、男性50代(+32.8pt)で、職業別では、パート・アルバイト(+33.6pt)、学生(+31.0pt)、専業主婦(夫)(+25.7pt)だった。【図表2・4】

図表1 SDGs認知率(時系列)               図表2 SDGs認知率(性年代別・前回調査比較)

    

図表3

「SDGs について、自分で何か行うにはハードルが高い」年代別      図表4 SDGs 認知率(職業別・前回調査比較)  

 

<認知経路>

・SDGsの認知経路の上位は、テレビ番組(47.3%)、情報WEB※4(32.0%)、新聞(24.2%)で、テレビ番組は第3回調査から急増した(+18.0pt)。SDGsをテーマとするテレビ番組(コーナー)が増加した※5ことも影響したと考えられる。【図表5】

※4 ニュースサイトやキュレーションメディアなど。

※5 SDGsを扱った関東・関西圏の地上波でのテレビ番組(コーナー)は、2019年で117件、2020年で 493件だった。(当社調べ)

・テレビ番組を認知経路として回答した人は、性年代別に見ると、女性60代(63.9%)、男性60代(60.7%)、女性30代(56.3%)が多く【図表6】、職業別に見ると専業主婦(夫)(69.3%)が多い【図表7】。

 

図表5 認知経路(前回調査比較)

 

 

図表6 認知経路「テレビ番組」性年代別             図表7 認知経路「テレビ番組」職業別

※女性70代は参考値

 

 

② 「コロナ禍を経てSDGsへの関心が高まった」人は32.4%で、SDGs商品・サービスの利用意向も高い。コロナ禍がSDGs商品・サービス浸透のきっかけになる可能性。

 

・「コロナ禍を経てSDGsへの関心が高まった」人は全体の32.4%だった。性年代別では、女性70代(45.4%)、女性60代(44.6%)、女性30代(40.0%)の順に多かった。【図表8】

 

図表8 「コロナ禍を経てSDGsへの関心が高まった」性年代別

 

・SDGsに関する商品・サービスで今後利用してみたいものの上位は順に、「レジ袋を使わずに済むよう持参する買い物袋等」(64.5%)、「型落ち品、新古品、傷物、不揃いのような機能的には問題のない訳あり品」(36.9%)、「自分の必要な分だけ購入できる量り売り」(35.5%)だった。【図表9】

 

図表9 「SDGsに関する商品・サービス」今後の利用意向

 

・SDGsに関する商品・サービスの利用意向は、「コロナ禍を経てSDGsへの関心が高まった」人がそうでない人(関心変化なし+関心がさがった)よりも全選択肢において利用意向が高かった。このとき、利用意向の差が大きかったのは、「廃プラスチックや廃タイヤなど、従来廃棄される素材から作った商品」(差12.3pt)、「商品ロスを減らしたり、事業者を経済的に救済するための商品・サービス」(差11.8pt)、「世界の食料・医療問題の解決に取り組む活動」(差11.3pt)だった。【図表10】

 

図表10 コロナ禍を機にしたSDGsへの関心の変化度別「SDGsに関する商品・サービス」利用意向の差

※差異の大きい項目TOP5  ※選択肢は図表9と対応しています

 

 

③ 積極的にSDGsに取り組む企業は、社員のエンゲージメントも高まる可能性がある。

 

・就業者に対し、「積極的にSDGsに取り組む企業」が今後どのようになっていくかのイメージを聞くと、「社会からの信頼」が68.0%で最も高かった。続いて、「社員の会社への愛着(45.6%)」、「優秀な人材の確保(45.0%)」となり、企業の積極的なSDGsへの取り組みで社員のエンゲージメントも高まる可能性が示唆された。【図表11】

・その一方で、組織に属する就業者のうち、自分の勤める企業のSDGsの取り組みを認識している人は44.8%で、インナーコミュニケーションの重要性も示唆された。

・バリューチェーンにおける企業の様々なSDGs活動に対し、「活動を知るとその企業のイメージが良くなる」人は全体で74.9%だった。性年代別に見ると、女性70代(93.5%)、男性70代(87.2%)、女性50代(86.9%)の順に高く、すべての性年代で過半数を超えた。【図表12】このことから、一般にあまり浸透していないと思われる「バリューチェーンにおける企業のSDGs活動」についても発信の意義があることが示唆された。

・具体的な取り組みとしては、「売上の一部を途上国や環境保護団体等へ寄付し、衛生的な習慣の普及や環境保全に貢献する(42.9%)」、「森林・海洋の環境を保つように適切に取得した原材料を適切に活用する(42.1%)」、「CO2(二酸化炭素)を素材や燃料へ再利用し、大気中へのCO2排出を抑える技術を開発する(41.3%)」の順に高かった。

 

 

図表11 就業者におけるSDGsに積極的に取り組む企業のイメージ

 

 

図表 12「SDGs 活動を知るとその企業のイメージが良くなる」性年代別

 

 

■ マヘル・ナセル氏のコメント

(国連グローバル・コミュニケーション局 アウトリーチ部長/2020年ドバイ国際博覧会国連代表)

 

 「国連加盟国が2030年までに持続可能な開発目標(SDGs)を達成すること、それはすなわち、世界のリーダーたちが2015年9月に国連で合意したSDGsの約束を果たすことでもあります。国連がそのために行う支援は、SDGsへの意識を高めることに始まり、達成に向けた行動を促すことに尽きます。

 こうした理由から、国連は電通が日本国内で毎年実施している意識調査を非常に価値あるものと評価しています。直近の調査結果を見ると、SDGs認知率は昨年からほぼ倍増するとともに、10代の認知率は7割を超えています。これはとても嬉しい結果であり、日本で公的機関、民間組織、学術機関による力強い取り組みがなければ実現できなかったことでしょう。情報、調査、データは、企業や組織などが顧客やステークホルダーのニーズや期待により的確に応えるうえで極めて重要です。今回の調査結果を踏まえて次に挑むべき課題は、SDGsに対するこの高い認知度を、2030年までに17の目標を達成するための行動とコミットメントの強化につなげることです。

 持続可能性を達成し、ジェンダー、社会、経済の不平等を是正することは、2030アジェンダを達成し、健全な地球上で誰もが平和に、尊厳を持ち、そして平等に生きる世界を構築するための必須条件です。私たちにはそれができるはずであり、しなければならないのです。」

 

<第4回「SDGsに関する生活者調査」概要>

目   的: 日本におけるSDGsの「認知・理解」や「興味・関心」などについて現状を把握し、今後の浸透策を検討していくため。

対象エリア: 日本全国

対象者条件: 10~70代の男女

サンプル数: 性年代各100人ずつ、計1,400人を人口構成比でウエイトバック集計

調 査 手 法: インターネット調査

調 査 期 間: 2021年1月22~25日

調 査 機 関: 株式会社電通マクロミルインサイト

※構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。

 

<SDGsの17の目標テーマと調査上の表現の対応表>

本調査では、17の目標テーマからなるSDGsを、次表のとおり、どの年齢層にとっても分かりやすい表現に変更した上で、調査を実施しています。

 


以上

 

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