EY調査、財源の確保がネットゼロ達成の最大の障壁となる可能性

EY Japan

・国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が近づく中、現在の経済的環境にもかかわらず大部分の国が再生可能エネルギー目標の引き上げを計画

・米国がパリ協定への復帰とCO2排出量削減目標の引き上げにより、再生可能エネルギー国別魅力指数でトップの座を維持

・東アジア地域が再生可能エネルギー分野の将来有望な投資先として浮上

 

2020年世界の再生可能エネルギー設備への年間投資額は、全世界に及ぶコロナ禍の影響にも関わらず、過去2番目の高水準である30兆350億米ドル(前年比2%増)に達しました。しかし将来、温室効果ガス排出の実質ゼロ(ネットゼロ)目標を達成するための開発には、さらに推定5兆2千億米ドルの投資が必要であり、再生可能エネルギーへの転換に向けた資金調達において機関投資家の役割が重要であることを、再生可能エネルギー国別魅力指数(Renewable Energy Country Attractiveness Index [RECAI])第57号(以下、RECAI 57号)が示しています。

 

RECAI 57号は、環境・社会・ガバナンス(ESG)の目標が、これまで以上に投資家のアジェンダの優先事項となっていること、また持続可能エネルギーへの機関投資家の関心が高まり続けていることを明らかにしました。

 

2021年11月に開催予定の国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)は、各国の政府が公約している目標と、現状のアクションレベルのギャップをなくすための機会となります。RECAI 57号によると、主要国の現行のポリシーと公約の方向性から、各国がこれまで以上に説明責任を果たし、透明性を確保することにコミットしていることがわかります。これは、各国の代表者が、再生可能エネルギー投資に拍車をかけるために必要な政策の明確なロードマップと詳細を説明することが求められているためです。

 

EYグローバルの電力・ガス・コーポレート・ファイナンス・リーダーであり、RECAI編集長のBen Warrenは次のように述べています。

「世界各国の経済へのコロナ禍の影響から、投資家たちは環境、社会、コーポレートガバナンスの課題に再び注目するようになったと思われます。彼らが投資を行う際に、気候危機やエネルギー転換を考慮する傾向が高まっています。その結果、気候リスクの懸案事項の検討を意思決定プロセスに組み込むことを公約している機関投資家の間で、再生可能エネルギー開発への関心が高まっています。そのため、新しい投資モデルは、機関投資家のリスクとリターンの予想に適合する機会を特定するものとなっています」

 

また、RECAI 57号はグリーン水素という新しいテクノロジーが持つ大きな可能性を実証する、欧州と中国における事例研究を考察しています。しかしその一方で、グリーン水素が商業化の段階に達し、広く普及するためには、克服すべき障壁があることも明らかにしています。

 

米国が魅力度ランキングで首位を維持、2位に中国、3位にインドが浮上:

米国が魅力度トップの座を維持しており、バイデン大統領の下、このまま首位を保ち続ける見込みです。米国は、パリ協定に復帰したことに加え、早ければ2030年までに地球温暖化ガス排出量を半減し(50~52%減)、2035年までに電力部門を脱炭素化するという最近の発表により、一層投資家の関心を集めることになるでしょう。同様に、中国も引き続き好調なマーケットで、2位を維持しています。中国では、陸上風力発電の新規プロジェクトに対する補助金支給が2020年に終了する前に発電事業者が駆け込みで開発を行ったため、2020年に新たに72.4ギガワットの風力発電能力を確保しました。また、米中両国は、互いに協力し、また他の国々と共に、気候変動対策に取り組むことを4月に発表しました。

 

インドも、前年より順位を1つ上げ3位にランクインしました。これは、インドの太陽発電セクターに大幅な成長が期待されており、2040年までに太陽光発電が石炭火力発電の発電量を上回ることが予想されているためです。東アジアでは、それぞれ8位と17位にランキングされた日本と韓国も、昨年ネットゼロ宣言を行いました。東アジアは、すぐに着手可能な800件以上のスキームと、潜在的に3,160億米ドルの投資が可能な、クリーンエネルギープロジェクトの堅固なパイプラインを有することをRECAI 57号明らかにしています。

 

他の国々もランキングを上げています。これは、多数の国の政府が新規の洋上風力発電プロジェクト立ち上げに向けて一歩を踏み出し始めているためです。現在22位のポーランドは、競争入札を通して2030年までに5.9ギガワットの洋上風力の設備容量の確保を促進するための法律を整備しました。ブラジルでは、連邦環境当局が洋上風力発電プロジェクトに対するライセンス付与のガイドラインを発表し、同国は順位を11位に上げました。

 

ドイツは陸上風力発電設備の今後の入札制度を間際に変更したことで批難を浴びて、順位を1つ落として7位となりました。この変更は、入札に参加する発電事業者が少ない場合、規制当局が公募入札の規模を縮小することができるようにするものです。事業者はこのような不確実性があると、入札者の数がさらに減ってしまうと考えてしまいます。

 

EU復興基金から2,090億ユーロの割当を受けたイタリアは、順位を2つ上げて15位にランキングしました。イタリア政府は、4.7ギガワット相当の陸上風力発電設備および太陽発電を促進するための入札を、初回の入札参加者が少なかったため、一年間延長する意向であることを発電事業者に伝えました。

 

EYのグローバル再生可能エネルギーリーダーであるArnaud de Giovanniは次のように述べています。

「投資を実行する際、リスクを回避する傾向がより強い機関投資家は、明らかにその投資先を、化石燃料から、環境的に持続可能なエネルギー開発プロジェクトにシフトしています。そのため、投資の流れを拡大すると考えられるのは、再生可能エネルギーセクターのためにカスタマイズされたリスク緩和ツールや、体系化された資金調達メカニズム、また、規制当局によるコミットメントです。パリ協定のレガシーが実を結ぶためには、COP26参加国がコミットした行動を起こすことが不可欠です。世界の主要な先進国は、発展途上国による気候変動対策への財政支援のため、年間1,000億ドルを拠出するというパリ協定下の現行の公約を必ず果たさなくてはなりません。また、すべての国は、これ以上対応を先送りするのではなく、早急に短期的な目標を設定する必要があります。もうあまり時間は残されていないからです」

 

また、EY Japan Energy Market Segment Leader/Power & Utilities Sector Leaderの白羽龍三は、次のように述べています。

「わが国においても政府は2050年脱炭素を表明し、グリーン社会の実現に向けた取組みとしての政策が掲げられ、産業界に大きな影響を及ぼすものと考えられている。とりわけ、水素や洋上風力などの再生エネルギーの拡充と送電ネットワークの増強はエネルギー政策の柱として注目がされている。金融市場においてもESG課題への取組みを受けてサステナブルファイナンスが推進されるとともに、脱炭素に向けた技術開発やエネルギー転換を促進するトランジションファイナンスの取組みが注目されている」

 

魅力度ランキング上位40カ国の完全版リストおよび世界各国における再生可能エネルギーの最新展開の分析は、https://www.ey.com/en_gl/recai でご覧いただけます。

 

 

※本プレスリリースは、2021年5月18日(現地時間)にEYが発表したプレスリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

 

英語版プレスリリース:

https://www.ey.com/en_bg/news/2021/05/financial-hurdles-could-be-the-biggest-barrier-to-achieve-net-zero-targets

 

EY Japanのウェブサイトもぜひご覧ください。

https://www.ey.com/ja_jp/news/2021/06/ey-japan-news-release-2021-06-02

 

〈EYについて〉

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本ニュースリリースは、EYのグローバルネットワークのメンバーファームであるEYGM Limitedが発行したものです。同社は、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。

 

〈再生可能エネルギー国別魅力指数について〉

EYの再生可能エネルギー国別魅力指数(RECAI)は世界各地の40カ国を、再生可能エネルギーの投資・導入機会の魅力度でランキングしたものです。順位には各国が持つ魅力や世界のマーケットトレンドに対するEYの評価が反映されています。今回のレポートでは、コロナウイルスによるロックダウン措置で、エネルギー需要が大幅に減少し、多くの地域で再生可能エネルギーの割合が急増したと事実に基づいて、未来のエネルギー業界の姿の一端を考察しています。

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